つい先日,日本細菌学会の理事再任を仰せつかりました。
あと3年間,何処まで行けるかわかりませんが,頑張りたいと思います。
いや,しかし,理事の仕事は本当に大変です。重労働です。
私の目下のプロジェクトで大変なのが,日本細菌学雑誌の全電子化。
独立行政法人科学技術振興機構(JST)のご協力を得て日本細菌学会の創刊号から,
全部電子化してしまおうという恐るべしプロジェクトなのです。
創刊号は「細菌學雜誌」で,1895年に刊行されています。
今から113年前の北里研究所の蔵書(現在は北里大学白金図書館に保管されています)が
電子化されて,しかも全部がテキストベースに変換されるのです。
ということで113年分の全文テキスト検索が可能となります。
また,J-Stageを通してすべての方々に情報公開されることになります。
良いことばかりですが1300号以上の蔵書を運び出すのが一苦労。
とういうことで,昨日の午後は図書館の倉庫にもぐってひたすら,
図書館の方々の指導を仰ぎながら,段ボールに貴重な蔵書を詰め込みました。
それをJSTに送ってマシーンで解読。1日に3000 ページのスキャン能力。
私はてっきりたくさんのスキャナーがずらっと並んでいるのかと思ったら,
すごいマシンがあるものですね。
ところで,あっという間に12月。
論文のレフリーはとりあえず,終わった。
あと総説がちょっと。
しかし,大学基準協会の宿題は,どっさり。やれんのか。俺。。。
まあ,今まで研究を謳歌してきた者の宿命でしょうね。
うちの若いのが楽しんで研究をやれる環境を確保するというのが,今の役目です。
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大学院生のテーマとして,
「すごく不安定なエフェクターは,何故,すごく不安定なのか?」
というテーマがあります。
ということでそのエフェクターの不安定性に関わる領域をその学生が突き詰めていったのですが,
そうすると安定なエフェクターというデリバティブもできるわけで,
その学生(天狗になるといけないので,名前は伏せますが)が,そのデリバティブを
試しに細胞に入れたら何と今まで誰も追跡できなかった,そのエフェクターの局在を知ることができたわけ。
いやあ,私も嬉しかったです。
結果がでたというよりは,蛍光顕微鏡を夜遅くまでのぞき込んで,
「あ,これは!」
という研究者としての醍醐味が,その学生さんにも訪れたことがです。
あの魂の震えるような感動を味わったら,研究者をやめれなくなります。
1年に一回あるかないかの感動を求めて,ひたすら自分の思索のなかへ。。。
考えてみたら,効率とか,生産性とか,その真逆のところにありますよね。
言ってみれば,研究は,馬鹿の世界。
まあ,何処までも馬鹿を極めたところに,真理があるかもしれません。
割なんかあわねえし。
でも,それでも研究だな。俺は。
それで,47歳。
微妙に,オバマさんと同じ年です。。。