2008-01-26

やれんのか! 第2回「細菌学・若手コロッセウム」

第2回の「細菌学・若手コロッセウム」が下記日時で開催されます。是非ともご参加くださるようお願いいたします。

私は細菌学会に所属しておりますが,この学会で育った若手研究者が「若手コロッセウム」にて他学会の若手研究者とどう勝負するのか,楽しみにしております。他領域からの素朴な疑問。「そんなことをして何が分かるのか?」「何が知りたいのか?」という問いかけは,重要だと思います。異分野の研究者がお互いにノーガードで戦うことによって,闘いの果てに見えてくるものがあるはずです。

「若手コロッセウム」は,大阪大学の堀口安彦先生の命名によるものです。「若手ピグマリオン」のほうがマイルドでいいんじゃないかと私は提案しましたが,「これでいくんじゃ!」と本人の激しい意気込みがひしひしと伝わってきました。真剣勝負,「若手コロッセウム」という命名は,強い若手研究者を育成していくという意志が感じられ,これで良かったと思います。湘南国際村のまわりに何もありません。いったん入ったら抜け出すことは困難です(ちなみに,もとまちユニオンというスーパーマーケットがありますのでご安心を)。皆でリトリートし,3日間をサイエンスの話のみで燃焼しませんか。

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ということで,今後は「細菌学・若手コロッセウム」の広報活動を展開していきたいと思います。もちろん,細菌学会以外にも積極的に広報活動していきます。早速,帯広畜産大学の嘉糠さんから,「俺たちはノーガードで行くぜ」というメールを頂き,「異分野の研究者がお互いにノーガードで戦う」というルール?を急遽作成しました。

「プライドを賭けて」とかよく使われますが,そういったものは,所詮,くだらない見栄であったり,自分が弱いためのガードであったり,弱さを隠すための防御反応であったりしますが,「ノーガード」,己を曝け出し,それをお互いに尊重し合うようなリトリートにしていきたいと思います。若手研究者の有機的な繋がりが強まっていくことで,研究領域のポテンシャルアップに繋がれば良いと思います。


(以下,広報のための文章です)
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参加対象者は細菌関連の研究者に限定に致しますが,感染現象に絞らずに,基礎細菌学,ゲノムインフォマティクス,環境,応用,モデル微生物,真菌,植物寄生細菌,工業微生物等,広範な分野から発表演題を募り,若手研究者育成の場としたいと思います。また「若手」の定義でありますが,大学院生から独立して研究している若手までを主対象にしておりますが,シニア研究者の参加・演題投稿を妨げるものではありません。

日時: 2008年8月3日(日)- 8月5日(火)
(2泊3日)
場所: 湘南国際村 (神奈川県三浦郡
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参加者数: 約70名

具体的な発表形式については決まっておりませんが口頭発表をメインとし,第1回のコロッセウムを踏襲し,発表会場は分けずに1会場にて行ないたいと思います。参加費用につきましては,若手の積極的参加を狙っておりますので,できるだけ抑えるようにしたいと思います。詳細につきまして後日連絡致したいと思いますが,上記期日につきまして記憶にとどめて頂ければ幸いであります。


第2回 細菌学・若手コロッセウム 世話人: 阿部 章夫

2008-01-22

熱く語る

ボストンからEPEC研究の専門家であるJohn Leong博士をラボに呼んで,というか成田でトランジットしてシンガポールに行くところを無理矢理引き止めてセミナーを行って頂いた。こじんまりとしたセミナーであったが,病原性大腸菌を取り巻く最新知見を熱く語りあった。また,笹川千尋先生もセミナーに参加して頂き,ディスカッションを盛り上げて下さいました。

セミナー後は,世界の細菌学者が集う「芝松」にて,焼き鳥とちゃんこ鍋で乾杯。Leong 博士はトランジットのため何処へも行くことができないことを利用して?,とことん突き詰めた。濃い一日を終え,「ああ,自分はこういったところで実は,生きていたんだ」と思うと同時に,今の一日が真剣勝負もできない茶番劇のなかで暮らしているようで愕然とした。もっともっと,サイエンスで,燃焼しなければ。。。

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ところで彼にラボを案内しているときに「まだ実験しているのか?」という話になり「最近はなかなか実験ができてないんだよう」というと,彼も実験は忙しくてできないということであった。

「でもベンチはあるぜ」 だからどうした? と言われると,ま,それだけの話ですが。

本日,東京,雪が降って飛行機が飛ぶのか不安でしたけど無事に飛んでくれて良かった。ジョンよ,またいつかどこかで会おう。

長いものにはまかれるな

誤解される人の姿は美しい。

人は誤解を恐れる。

だが本当に生きる者は当然誤解される。

誤解される分量に応じて,その人は強く豊かなのだ。

誤解の満艦飾となって,誇らかに華やぐべきだ。


ー 岡本太郎 ー

2008-01-17

真相


今は判った。
少なくとも,大部分は判った。

この仕事をやっているのは,自分にできるからだ。
それに,ことによると,ほかの仕事は何もできないからかもしれない。
もともと自分は人の下で働くのは得意ではなかった。
少なくとも,この仕事で自分の思いのままに生きてゆくことができる。

「真相」 ロバート・B・パーカー

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ロバート・B・パーカーの第30作目のスペンサー・シリーズ,「真相」のなかでスペンサー(あるいはパーカーが)が自分の生き方について内省する場面です。

研究者も探偵と同じように,ある種の,時には周りが理解できない行動規範に基づき,自分が正しいと思える信念に基づいて行動する場合があります。しかし,「自分の思いのままに生きてゆくことができる」という部分は,年を重ねるごとに様々な付帯事項が加わります。端的に言うと,自分でピペットを握りながら実験を楽しむことができる時間は,限られているのです。最近の私の最優先事項は,大学評価のための書類作成です。大学基準協会に出す書類の学内締め切りが過ぎています。。。わが国の大学の全ては、文部科学大臣の認証を受けた評価機関による評価を7年以内の周期で受けることが義務づけられています。ということで,認証評価機関である大学基準協会に提出する資料作成に,ものすごく時間が取られています。大学に所属していれば,いつかは評価委員になる場合があるので,その時は,「覚悟」しましょう(笑)。

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締め切りばかりの人生では,つまらないので,特定領域会議の翌日にはプールでぷかぷか浮かんでいました。体が冷えるとサウナに入って,そんでまたプールに入ってと,ぼうっとした休日を過ごしました。お風呂での特訓の成果が活かされ,幼稚園の娘はかなりの距離を「犬かき」で泳げるようになっていました。何も指導しないで,息継ぎのコツさえ教えれば,ていうかそれしか教えないとヒトの泳ぎは「犬かき」から始まるのかもしれません。それからいきなりバタフライとかを習得して欲しいですね。ま,俺は教えられませんが。。。まあ,教えられることとして,腕関節ならびにバックチョークの原理と基本,スノーボード,テント生活ぐらいですかね。

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大学基準協会に提出する資料のなかには,学生の「指導方法」について,また「指導者のあり方」について,こと細かく報告しなければなりません。それを短くすると,嘉糠さんがブログで言及している内容
研究と「守・破・離」)に行きつくのかもしれません。嘉糠さんのブログを見て「これだ!」と思いました。ということでリンクさせて頂きました。

2008-01-10

負けの本質

昨年の後半,ブラジリアン柔術の青帯を取得しました。青帯をとるために3年以上練習を重ねてきたので,色帯になれたことは,存外の喜びでした。しかし,嬉しさの反面,かなりのプレッシャーも感じました。白帯の時はスパーリングをしていても一本重視で楽しみながらの練習でした。何本とられても良いから色帯の人から,一本とれれば良い。そういう姿勢でスパーリングしていました。しかし今は,下の帯の方がジムにいます。色帯の先輩から,「阿部さん,もう下の帯の人からスパー申し込まれたら断れないよ」と言われました。それは冗談半分,本気半分の言葉だと思います。事実,青帯をまいた初日は,連続に近いスパーリングで5分間 X 11 本をこなしました。手荒い祝福でした。しかし,ブラジリアン柔術がここまで普及したのは,この細かな色帯制度があるからだと思います。白,青,紫,茶,黒と昇段していきますが,頑張れば何とかなるのではないか?というところに次の帯があります。 もちろん今の自分には,紫はありえないぐらいの遠い存在です。でも始めた当初は,たった5分間のスパーリングで動けなくなりました。超底辺にいた自分からは,今の青帯の自分も,あり得ない存在だったのです。

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青帯になってまたゼロからの出発。強くなるためにはこれからも負けていくでしょう。3年前の自分も,そして今の自分も,黒帯の人には勝てません。戦ったら負けですが,負けの本質が変わってきています。白帯が大学院生だとすると,青帯はドクターコースの学生さんぐらいでしょうか。白帯の時代に如何に負けて自分の弱点をたくさん知るのか? そういった時期が大学院生だと思います。実験を失敗しなければ良い論文になるのか?というとそうでもありません。自分に課しているハードルが低ければ,それだけ実験の失敗率も減るかもしれません。また,多くの場合,失敗のなかに気づきがあるものです。

目先の結果のとらわれずに,考えた上で,失敗してほしいと思います。うちの学生さんも進歩しています。その証拠にネガティブデータでも奇麗にわかるデータになってきています。はじめは,誰でも納得のいくネガティブデータも満足に出せないものです。

「負けは負け」,でもその負けは,たくさんの実践を通して深化しています。自信をなくす前に,上を向いて歩いていきましょう。

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話は変わりますが,所属ジムが移転することになり,2月1日まで新ジムが稼働しません。ということで,先日,ジムの仲間と出稽古に出かけました。出稽古先のジムには激強の紫帯の方がいて,今のところ,取りつく島もありません。あやうく落とされそうになりました。帰りはラーメン屋で「負け」の分析をして,家に帰って柔術のDVD で似たような展開を探して対応策を考えたりと趣味も行き着くところ,なんでだかプレッシャー感じるようになりました。まあでも頂点を極めることが簡単なら,誰もエベレストには行かない。そんな感じでしょうか。

2008-01-09

どら焼き(かぶりそうなネタですが)

ん? キアゲン?





おおお?






実はキアドラ焼き。  おやつにどうぞ。



2008-01-06

地デジが来た

我が家の14インチのテレビにX-BOXを繋ぐ。HELO3をやる。画面が暗すぎて,三角っぽいカニ宇宙人にいきなり襲われ,あっという間に終わり。おまけに字幕もまともに見えない。大晦日も近いし,それならばということで,液晶テレビとDVDレコーダーを購入。接続できない自信があったので,お店のお兄さんに接続してもらう。しかし,よく考えてみると今どきは「ヒデミ」(HDMI)という端子で簡単接続できるので,お兄さんなしでもできたかもしれない。X-BOX もヒデミ接続可能だし,これからはヒデミの時代だ! しかしどう考えてもヒデミの接続ケーブルは高杉。

意外にもアンテナは知らんまに地デジ対応になっていたので,思いがけず,我が家にも地デジがきてしまった。地デジの詳細は今でも不明であるが,画像が乱れるときピクセルが落ちたみたいに,四角のモザイクパターンが現れる。「おおー,これがデジタルか」と本来の地デジの機能ではないところで納得してしまった。あとはですね,地デジで「誰でも」録画できるようになります。テレビ番組の情報が勝手に配送されてくるのでそれを選択するだけ。今まで録画は妻に頼んでいたけれど,これからは自分でできます! 

地デジ,すごく,ありがとう。

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そんでもって『ロッキー・ザ・ファイナル』(原題はRocky Balboa)のDVDをレンタルして観た。この映画の前半部は派手な演出もなく,主人公ロッキーの会話のやりとりで進んでいく。その朴訥とした語りが非常に良かった。『ロッキー・ザ・ファイナル』を観ていると,『ロッキー』(1976年制作)を初めて見たときの感動が蘇ってきて,ロッキーの原点に再度触れた感じがした。当時,『ロッキー』を観た男どもは意味もなくその辺を走っていました。そして,私もその一人でした。

その他,昨年観た映画で良かったのは,007 カジノ・ロワイヤル。フィルムの発色を一昔前に落としたような手法とか,ロシアの総合格闘家っぽい007 (ダニエル・クレイグ)も,これは絶対ミスキャストだろと思わせておいて,ばしっとタキシード姿で現れるシーンなどは計算されていると思いました。007が使用しているラップトップがVAIOというのが納得いきませんが,映画会社MGMを買収したのがソニーですから,このときばかりと宣伝していますね。小物がVAIOという以外は非常に良かったです。

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かれこれ35-40年以上前になりますが,私が小学校の頃,流行っていた映画はゴジラでした。当時の映画館は,おにぎりと水筒持参でした。映画館の椅子のクッション材は藁でしたので,ごわごわした座り心地でした。映画の予告編に大人っぽい映画が入っていると,映画館のおじさんがきちんとそれを手で遮ってくれました。

隔世の感がありますが,今の最新手法もあと10年もすれば変わるでしょうね。それとサイエンスの手法も。ちょっとやそっとでは,色あせない仕事をしていきたいですね。

2008-01-05

謹賀新年


2008年がスタートしました。
皆さんは十分リラックスされましたでしょうか。私の場合いつもは深酒気味で新年を過ごすのですが,今回はお酒を控えて,これまでの疲れをとり心身をリフレッシュさせることに専念しました。

2008年はどのような年になるのでしょうか? 今年は昨年撒いた種を実らせて,収穫する時期にしたいですね。5年の任期制だとややもすると単打狙いで,ともかく打線を次に繋げていくような論文が必要な場合もありますが,今年はホームラン狙っていきましょう。

また,やり残している課題なのですが,私を含めてスタッフ2人と言う枠組みを何とか変えていかなければならないと思います。特に昨年後半は学内外の研究以外の仕事が多く,私のベンチにはぺんぺん草が生えていました。研究のバックボーンを大きくリモデルしなおす必要があるということを,ここ2−3年,思い続けています。これについては「北里大学感染制御研究機構」が新たに発足し,このような枠組みを有効利用し,小さなユニットでも情報発信できるように取り組んでいきたいと思います。そして次のステップでより深化してリモデルしていきたいと思います。

http://www.kitasato-u.ac.jp/daigaku/kansenkikou.html

うちの大学のウエブサイトは非常に混乱してますね。大学のサイトを閲覧するより,ぐぐったほうが早い(笑)。

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また大きなニュースとして,学校法人北里学園 北里大学と社団法人北里研究所が平成20年4月に統合します。

http://www.kitasato-u.ac.jp/news/070726_kitasato_02.html

統合の結果として,ワクチン部門も存在するユニークな大学となります。ただし何でもあるからすごいのではなく,統合によって派生する様々な部門が有機的につながらなければ,本学のウエブサイトのように混乱してしまいます。統合直後は混乱もあるでしょう。しかし,それを乗り越えて有機的につながってほしいと思いす。ということで,これからの北里大学,面白くなりそうです。

今年もよろしくお願い申し上げます。