2007-12-31

いい旅を、と誰もが言った


2004年3月4日の朝、通勤のバスのなかで総合格闘技ジムの広告を見た。何気なく見るとそれは私の通っている大学の近くにあり、さっそくウエブで検索。その日の昼休みにジムを訪問する。当時、浅野倫久選手がジムに寝泊まりしていて、ジムの説明を受ける。総合格闘技という言葉に惹かれたが、何が何だかわからなかったので「すみません、あのー、何か技かけて下さい」と浅野選手にお願いする。「なんか、変なおっさんがきたなあ」というウザいモードでかけてくれたのが総合で広く知られている「三角絞め」であった。「軽くかけられているのに息ができない。まじヤバい」と思い、その翌日に入門した。かれこれ3年以上のおつきあいになり、飽きっぽい性格の私がここまでこれたのは、ジム生が励ましてくれたからだと思う。入門当初、あまりに弱すぎたので、スパーリングが終わったあとマットでふて寝をしていたことがあった。「阿部さん、何してんだ」とジム生。「静かにしてあげなよ。 阿部さんは仕事で疲れているんだよ」と他のジム生。ごめん、俺はただふてくされていたんだようと深く反省。ということで、自分よりも2倍も年下の彼らにおだてられてここまで来たようなものです。本当にありがとう。

このジムは拡張にともない移転することになり、2007年12月28日が港区白金で行なう最後のスパーリング。移転のためジムに通うのが困難になったAさんとの最後のスパリーングの日でもあった。私はXガードからスィープを狙い、バタフライフックの体勢に戻ったところでかんぬきロックをかけてスイープを敢行。Aさんはこれを読んでいて極めさせてくれない。2スパーリングをやってどちらも1本を極めることはなく終了。「A さん、ありがとう。また、何処かで会おう」スパーリングが終わってから、皆で記念撮影。ジムの番犬というかマスコット犬、SONYも、心なしか寂しそうだった。

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しかしいつまでも感傷に浸っている場合ではない。本日、大晦日はジムの山本選手とハニー・ヤヒーラ選手との戦いだ。山本選手の対戦相手はブラジリアン柔術黒帯、アブダビコンバット世界大会優勝者である。手足が長く、特にスピニングチョークはくせもの。あと、数時間で戦いがはじまります。


註) タイトル「いい旅を、と誰もが言った」は片岡義男さんの小説。文庫本は赤い背表紙でした。

2007-12-30

機能性分子科学の講義評価

本大学院では学府生からの講義評価(匿名にて集計)を各教員に配布しています。今年度の機能性分子科学の講義についての評価は以下の通りです。

今後の改善について

本学府は、学部生をもたないために様々な分野の学生さんが集まりますので、そのことを考慮し、導入部分はもう少し時間をかけて解説するように致します。また講義によってプリントを作る場合と作らない場合があるのですが、「本講義の聞いてほしいポイントを箇条書きにしてほしい」というのは多いに参考になりました。ありがとうございました。かろうじてA評価のほうが多かったのですが、聴講して有意義だったと言う学生さんの数を少しでも多くしていきたいと思います。皆さんから頂いた内容は次の講義に活かしていきます。QS はQuorum sensing のことですが、QSはバイオフィルムを含む病原性、また新たな薬剤標的部位としても注目されていますので、講義には最新知見を盛り込んでいきたいと思います。

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以下、評価報告書(原文記載)です。


【評価できる点】

- 導入として感染についての基礎講義が面白かった。
- QSについての内容がコンパクトにまとまっていた。
- プレゼンのやり方
- うまい興味の引きつけ方
- 大学院の講義らしく、深いところまで講義してくれた。

【改善しなければならない点】

- 違う分野の人には難しすぎたかと思う。
- 先生の意図はあったと思いますが、やはりスライドのプリントがあった方がメモは取りやすいです。あるいは、本講義の聞いてほしいポイントを箇条書きにして頂くと、要点は漏らす事なく、メモを取る練習になると思います。

【総合評価】

A(講義が有意義など):  9人
B(普通 A・C いずれでもない):  7人
C(改善が必要など):  0人

2007-12-27

大忘年会

昨日は,ラボの忘年会。「忘年会,どうするんですか?」と永松さんに聞かれ,学生さんの希望で「焼き肉パーティー」となりました。大学の裏手にはプロ仕様のお店,ハナマサがあります。まあ10人ぐらい来るんじゃないかなということで,肉の法則 200 g X 10 = 2キロ購入。その他,焼き鳥,トルティーヤチップスとサルサなどを買って,まったりと開催。2007年,ご苦労様でした。

厚めのスライスチーズを鉄板で焼いて,とろっーとしたところを,お肉にからめたり,海苔で挟んだり,お餅の上にトッピングしたりと,とろけたチーズを楽しむのがラボの定番となりつつあります。今年からラボに入った永松さんもお気に入りで,ばらばらとスライスチーズを鉄板にのせるのですが,学生のH君にかなりの頻度でやられていたところが観ていて楽しかったです。学生さんのわしわしと平らげていく,食いっぷり,好感がもてますね。しかーし,お肉がなくなってしまった。最後の方にきてくれた学生さん,すまん,完全に俺のミスでした。久留島君,武末さんも,たくさん動いてくれてありがとうね。

お肉を食べているときのいきいき感を,講義で引き出せたらと思います。肉以上の講義,厳しい課題ですね。もう少しこのような会があっても良いと思うのですが,今年はあっという間に年の終わりにきた感じがします。ついこの間,納涼会をしたと思ったら,もう忘年会。2007年はすごく速かった。まあ2008年も俊足かもしれないので,こっちも足腰鍛えて負けないようにします。いや,しかし,時間と勝負してはだめだ。自分なりの大いなる時間のなかで生きなくては。

スタッフの皆さん,学生さん,今年も大きな夢をありがとう。
皆,頑張った。

2007-12-22

第1回日本微生物学連盟のあつまり


昨日から突貫作業で進んでいた総説が夜中の3時頃終わって、 タクシー呼んで自宅まで帰ったが、頭が冴えてしまって眠れない。1時間ほど寝坊してしまった。ラボで総説の続き(図の作り直し)をして、11時からブラックウエル社との打ち合わせ。MI誌のオンライン化に向けて陣頭指揮をとっている高田晴比古先生もここまで来るとほっとしておられるようであった。大学の食堂で一緒に食事をして、高田先生はそのまま東北大学へ戻る。私のほうはそれから総説の最終チェック。本来なら丸一日空けて頭をまっさらにしてから、最終チェックしたいところだが、今回は時間がないのでそのままPDF化して出版社に送る。やれやれ終わったと思ったら、第1回日本微生物学連盟の会合時間をとっくに過ぎている。ラボを出るときにテーブルを見ると、新たな論文審査の封筒が。。。ま、ともかくも自分では一区切りついたので良しとしましょう。それにスタッフや学生さん達が忙しそうに働いているのに、「こっちは暇だなー」なんて態度取っていたらバッサリ切られますので、これぐらいの忙しさがちょうどよいのかもしれません。

日本微生物学連盟の会合場所までタクシーをとばしたが、タイムリーというか会議が終わって意見交換会の席上にジャストインタイム。何だか食事をしにきたみたいなので、おとなしくしていると、「阿部君、会議にも出ないとだめだよ」と連盟代表の野本明男先生に釘を刺されてしまいました。スミマセン。野本明男先生の凄いところは、清濁併せ呑む能力がハンパじゃないところだと思います。それでいて判断は大胆で、しかも細かなところにも気がつくところだと思います。野本先生なら14の学会をうまくまとめながら、さらに大きくしていくことができると信じております。

現在、高田先生がチーフエディターとなって、Microbiology & Immunology のオンライン化に取り組んでおりますが、この雑誌が日本微生物学連盟のアウトプットの一つになればと思っております。現在のIFは約1.6。笹川千尋先生ともお話ししましたが、2倍の3.2ぐらいになれば嬉しいですね。そこを最初の目標にしていきたいです。ということで、これからもこの雑誌の裏方作業を続けていきます。会合には次期細菌学会総会(2008年春、京都)の総会長であります光山先生も出席されておりました。私にとって場違いな感じも致しましたが、各学会のトップのオーラを拝見するのには非常に良い機会でした。

会合が終わって、野本先生がタクシーで帰宅されるときに図々しくもご一緒させて頂きました。「野本先生、実は、私、転写制御とかに興味があったのですが、勝てないとと思って細菌学の世界に入ったのです」「1980年代、ピーエル・シャンボンとか、マーク・プタシニとか、ケビン・ストゥルールとか、凄かったじゃないですか」と私のほうが懺悔している間に、タクシーは私の目的地に着きました。野本先生はそのままタクシーでご自宅に帰られました。先生は別れ際に「感染の本体を捕まえることだ」みたいなことを言われました。感染現象に関わる細菌分子、一方ではその分子と相互作用する宿主側因子があります。そのなかで、もっともファンダメンタルなものを取れと私は解釈しました。細菌学をやっていても今のメインの対象は宿主側因子の同定ですから、1980年代に逃げていたツケを、そろそろ、きっちりお返ししたいと思います。

ということで、アメリカの古い歌。

Do or die, fundamental things apply as time goes by.

それでは、皆さん、良いクリスマスを。


P.S.  帰りに一人でスタンドバーに行きました。今週への乾杯は ゾエ・ルージュ 2005 です。私的にはもうちょっと重いほうが好きかな。

2007-12-21

Journal of the American Medical Association

って、何だろう。

ともかくも、Microbiology & Immunology のリファレンスフォーマットはこれと同じです。ということの返事をもらうまでに、随分時間がかかりました。自分で作るのはかったるいので、待った甲斐はありました。あとはEndNoteでフォーマットですが、これは1分ぐらいで終わりました。あっけないですね。。。以前は手作業でした。番号ずれると、あああー、どうなっているんだと。論文、でき終わったときに限って、ボスという人間は、「これを削って、これとこれを入れ替えて」なんてことを軽々しく言うので、腹立つことありませんか。まあ、そういった不条理に耐えて、人間は強くなるのです。今はこんなこと言われたって別に何ともありませんが、以前は辛かったのよー。

特にタイプライターの時代は。。。
白いリボンたくさん使ったです。

まあ、今の時代には今の時代なりの苦労がありますね。
これから図作っておわり。
スパーリングで言うと、6本やったぐらいの感じでしょうか?

総説、面倒くさいけど痛くはないです。
それに総合格闘技ほどは疲れないです。
ということで、まだまだいけるで。

2007-12-20

もう少し

もう少しで、依頼されていた総説がフィニッシュ! 

締切は金曜日。なんとか頑張ります。ここの学府は冷暖房が集中管理なので、午後10時に全ての冷暖房が切れるのです。せこい。ああー、だんだん寒くなってきた。シャワーでも浴びてからリファレンスの作ろうかな。ということでリファレンスは個性を出さなくても良いと思います。フォーマット作るのめんど靴下臭いので。ということでMicrobiology & Immunology に投稿する方は、私が作った特製EndNote style 差し上げます(笑)。ていうか、これから作るのだけれど。。。

あと一踏ん張り。

ワタナベさん、冷蔵庫の悪露奈民C、違ったオロナミンC、頂きまーす。

2007-12-17

Ave Maria 139回

1. Ave Maria - Sarah Brightman 139
2. La Wally - Sarah Brightman 116
3. Winter Light - Sarah Brightman 115
4. Before You Walk Out Of My Life - Monica 110
5. Alahmbra - Sarah Brightman 107
6. Dans La Nuit - Sarah Brightman 103
7. O Mio Babbino Caro - Sarah Brightman 103
8. YURENAGARA - KEN-U 94
9. Figlio Perduto - Sarah Brightman 93
10. DOKO - KEN-U 90

iTunes に収録されている自分の音楽コレクションについて統計してみると,これまでに一番良く聴いた曲は,なんとAve Mariaでした。ええええって感じですが,事実です。通算で139回のAve Mariaが断然トップ。Filippa GiordanoのAve Mariaも味がありますが,Sarah Brightmanがすごく好きなのですね。。。 ということでプロフィール欄に書いてあるお気に入りの音楽と全然違ってすみません。しかも,O Mio Babbino Caroは日本語で「私のお父さん」でしょ。プッチーニ 作曲の歌劇「ジャンニ・スキッキ」中の曲ですが,結構,クラシック好きと判明。歌劇「La Wally」は映画DIVA(ジャン ジャック・ベネックス監督作品)でも有名になりました。

KEN-U あたりが入っていてほっとしたけど,1376曲(3.4日分)のなかでAve Mariaが一位でした。

2007-12-16

シャトー デュッグ


昨日は無事に1週間が終わったのを記念して,シャトー デュッグのヴァンダンジュ・デ・シェフで乾杯。2002年にローヌ地方は大洪水に見舞われ,デュックの畑も例外ではありませんでした。「ワイン畑が大変だ!」ということで,デュック所有のメルロー畑は水害を受ける前に,地元レストランのシェフたちが自ら収穫を手伝いました。そのお礼としてメルローだけで造られたのが,このヴァンダンジュ・デ・シェフ。2002年産は手伝ってくれたレストランのすべてに贈られたそうです。「これはうまい,引き続き作ってほしい」ということで少しずつ生産されております。この赤ワイン,私の好みです。最初はポートワインのような独特の甘みが広がり,それから力強い味が押し寄せてきます。ということでまた来週も頑張ります。

この歳になると。。。

この歳になると,卒業生を交えた会合とかが増えてきます。そうなると卒業生とかで微生物関連のネットワークを組みましょうみたいな話があるわけです。そういう話になると,下っ端の私が世話人になれとかいわれる訳なのです。まあでも俺の性格としては,群れたくはないのですよね。卒業生同士で群れあっても意味がないと思うのです。それにそんなヒマがあったらジムに行って強くなりたいですね。 

しかし,卒業生同士でオヤジバトルやりましょうとかは,話は別。

「あのー,皆,社会人なんで,打撃はなしで」

なんていう話があれば,

「しょうがないなあ。やってやるか」となりますが,

群れる題材として「微生物関連」はつまらないので,やる気がしないのです。微生物関連なら「細菌学会」「ウイルス学会」等がありますし,そういったなかで卒業生が個々に強くなっていけば良いのです。卒業生のイベントよりも,細菌学会にフォーカスを当てたいですね。それに北里大学では卒後教育,生涯教育が充実しているので,そういったところを有効活用すべきでしょう。

2007-12-14

渋谷のスクランブル交差点

「渋谷のスクランブル交差点を見たい」という外国の方に,いままで数人あっています。
外国版,地球の歩き方みたいな本に載っているのか?


あの交差点,四方からヒトが入り乱れ,ちょうど真ん中付近で
合戦状態になりますが,我々日本人としては普通にすり抜けています。ほぼ無意識に。。。ところが外国人には,あのような交差点で暴動や喧嘩が起きないことが不思議であるらしい。

何故ぶつからな
いのか,アメージングだ。といわれても答えられません。。。電車のなかで眠っているヒトが多すぎるとか,満員電車がすごいとか,まあ普通の生活が彼らには貴重な体験になったりします。本日も普通のジョロウグモを見て,「これはすごいぞ。これは毒を出すのか?」とデジカメに撮っている方を発見。

「日本で色々な発見をしている外国のヒトを発見す
る」というこちらの楽しみもあります。

後記: 「日本なのに何故パン屋が多いの?」という質問も多いですね。

BMB2007

今回のBMB2007は,ワークショップのオーガナイズのみの参加でした。堀口先生と一緒に企画した小さなワークショップは,お立ち見がでるほど盛況でした。来て頂いた方々には本当に感謝したいと思います。しかし,堀口先生,細菌学会でもシンポジウム企画等で走り回っていますから,すごいバイタリティーだと思います。

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本日は,妻の仕事の都合で,娘を幼稚園からピックアップできないという状況に。。。ということで覚悟を決めて娘と学会に参加しました。緑色がばい菌なの? いっぱい増えているけど,やっつけたの?と娘なりに理解しようとしていました。シンポジウムが終わったあとは,大好きなアグニータと食事をして娘は満足でした。食後はエフェクターのターゲットである宿主側因子の同定に役立ちそうなポスターを見に行きました。ポスターと併設して展示会場があったので,娘は学会よりもこっちのほうがお気に入りでした。おまけに娘のチョコボール,「銀のエンゼル」がでていました。私は銀のエンゼル,今までに3回ぐらい出ていますが46年たっても,おもちゃの缶詰に行き着けません。おまけにすぐになくしてしまいます。銀のエンゼルで,おもちゃの缶詰もらった方は,本当にすごいと思います。話をポスターに戻します。端から見るとかすんで見えるぐらいで,映画「マトリックス」で武器のキャビネットがざーっとならぶシーンがありましたがあんな感じ。圧巻でした。

将来はiPODにプログラムと要旨集を入れてほしいっす。膨大な要旨集も,いずれはトイレットペーパーっしょ。それこそ科研費を使って知的資源の有効活用を行ってほしいっすね。久々に hugeな学会にでて思ったのは,知の利用という観点からは,小さな学会がたんにふくれあがったにすぎないという印象です。本当にマジな連中が,学会企画したら,今の学会運営会社は,ばんばん潰れるだろうなあと思いました。環境保護という立場からも,そろそろ紙媒体をなんとかしてほしい。ていうか小さすぎて字が見えない。まあ,それでこの学会は,若さを保っているのかもしれません(笑)。Old soldiers never die; they just fade away. 眼鏡の出し入れが激しい一日であった。

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明日は午後から,学内シンポジウムの世話人です。色々な学会,会議,締め切りが重なってしまうけど,
ラボのみんな,俺にはかまわず,先に行ってくれ。

2007-12-09

じわじわとくる12月

ご無沙汰しております。
10月の科研費関連の仕事が終わったと思ったら,11月ぐらいから,また忙しくなってきました。来週からBMB2007が始まります。先日のブログでも紹介しましたが,阪大の堀口先生とワークショップを企画しましたので,ご興味がある方は是非とも参加してください。また,今回はシンポジウムの演者にカロリンスカ研究所のアグニータも呼ばれています。ということで昨日は世界の細菌学者が集まる芝松という「ちゃんこ鍋」兼「焼き鳥屋さん」で食事をしました。アグニータ,お店の方から頂いたおすもうさんカレンダー,苦笑って感じでした。まあ,相撲に親しみの無い外国人から見たら,ちょっと異様な感じがします。留学時代に知り合ったポスドクは南はメキシコ,北はアグニータのスエーデンと世界に散らばっていますが,そういったポスドクたちが自分のラボをもって,すごいデータを日本で話すというのは嬉しいことです。アグニータは細菌学者なのにニューロサイエンスのデパートメントに新たなラボを設立したり,相変わらずアクティブです。

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話が変わって,私の目下の課題は,この学会時期に,21日までのミッションを終わらせることができるかということ。しかも英語の総説。時間がない。しかしこんな時期に限って論文紹介の順番が回ってきたりする。mazEFの論文,面白かったけど少し時間が欲しかった。もう少しレビューを入れたりして論文紹介したかったが,皆さん,ごめんね。バクテリアにもプログラムされた死が存在するというのは面白いです。

こんな忙しい時期ですが,ジムには通ってストレス発散するようにしています。まあ,これから21日までは,いけませんが。。。そういえば,先日,ブラジリアン柔術で何とか昇段しました。苦節,4年間,長かったですが色帯にやっと手が届きました。今までは高速タップしていましたが,白帯のジム生には負けれないので今は変なプレッシャーがあります。どんなにぼこぼこにされても,立ち上がれば,知らず知らずのうちに強くなっていくものです。

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本日は論文の審査。はっきりいってディスカッションがresultsより長いのは,どうかと思う。こういうディスカッションに限って,やたらイントロと結論部分で述べたことが重複しており,ネイティブのくせにしっかりしろ!といいたくなる。しかもスペキュレーションの上にスペキュレーションを重ねたら,結局,それは妄想? 忙しいときに限ってこういった論文を審査しなければならないのは辛い。つらすぎっす。

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こういったローキックのようにじわじわとくる忙しさに耐えることによって,自分というものの器を大きくしていきたいです。今まで一番忙しかったのは,留学の2ヶ月前に論文のreviseがきたことでしょうか。実験しながら福島の実家まで家具を運び込んだり,家具やふとんがなくってから,がらんどうの部屋に寝袋一つで暮らしながら,論文の追試験。論文,終わったのが留学出発当日の朝5時頃で,東京駅の近くにある中央郵便局で論文を再投稿し,成田空港へ。この2ヶ月の地獄に比べたら,まだまだいけます。まあ,何かしら,すごい忙しい時期に雑用が飛び込んできたり,やらなければならないことが重なる。そういうもんじゃないっすかね,お金を貰って仕事をするというのは。

できないと言うのは簡単。耐えることで人間は強くなるのだと思います。ということで実験は人間を強くします。まさに実験はハードボイルドの世界なのです。もちろん基本は自分が研究を楽しみ,わくわくしながら対象に向かうものでありますが,それが世の中にでるときには苦労がつきものだと思います。そこでのスタンス,どう対峙するかで,生き方が大きく変わるのかもしれません。乱文ですが,今の状況でーす。が,基本は,笑顔です。

月曜から忙しくなりそうですが,上を向いて歩きたいと思います。


2007-12-04

常識

私は大学院の学生に簡単な問題を出したことがある。

例えば,20%のグルコース溶液を1リットル作ってください,というような問題。しかしほとんどの学生ができない。何故できないのかというと,グルコースの分子量をさりげなく問題に書いておくわけ。分子量を入れることによって学生はモル数の問題と混同し,思考能力にブレが生じ自ら轟沈。正解率10-20%ぐらいかな。パーセント算出はおそらく小学校の問題であると思うが,分子量で計算し,また,1リットルは作らないだろうみたいな変な常識が邪魔をしてしまい問題が解けなくなるという仕組み。

もちろん大学院入試では高度な問題が出され,皆,優秀な成績でパスしてきたはずである。しかしグルコースの問題と同様に,実際の実験では普段の生活の常識的なセンスが何故かスイッチオフになっていることが多い。サイエンスは常識となった真理の延長線上にあり,そういった基礎体系のなかで,ある逸脱した現象があらわれると「これは何だろう?」ということになり,そこから新たな発見が始まるのであると思う。つまり,ある基準(常識)がないと,精妙な事象までには行き着けない。

エッペンドルフのなかに入っているバスクリンも,風呂桶に汲み取ったバスクリンも同じ。生活で使っている頭を実験にも使って欲しいわけ。実験=特別なことと考えた時点で,かなりやばい。

1 μgで考えると理解できない事象は,スケールを1トンにずらす。自分では感じられない重さを,敢えて押しつぶされそうな重さに変えてみる。見えない事象をスケールを変えることによって,思考の中でビジュアル化できるようにする訓練,重要だと思うのです。

今の日本,学力低下ではなく,常識力の低下だと思うのです。教育の何もかも学校という枠組みに押し付けてしまって(親の丸投げ状態です),今の日本経済は成り立っているのですから,ここまで頑張って来れたほうが奇跡。

そして,奇跡は,そう長くは続かないものである。

2007-12-01

会議 x MI x 総合格闘

昨日,細菌学会理事会が無事に終了。当初,理事に任命されたときには面倒な仕事を背負い込んだというネガティブな気持ちでこなしていた部分が,正直,ありました。しかし最近になってようやく充実感と言うか,現理事会の先生方と一緒に働いてきて良かったと思っています。任期はあと1年。どこまで自分を伸ばしていけるのか,また新たな気持ちで頑張っていきたいと思います。

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理事会が終わってから,Microbiology & Immunology のremodelの仕事を手伝いました。この雑誌は来年1月からBlackwell Publishing 社から発刊されます。これまでは紙媒体の査読システムでしたが,今後はCellular MicrobiologyやMolecular Microbiology と同じようにオンラインによる論文投稿,査読システムに移行し,日本細菌学会,日本ウイルス学会,日本生体防御学会のアライアンスによって運営されます。「Microbiology & Immunologyは,ちょっとなあ」というあなたに是非とも投稿して欲しいです。日本発の国際誌,大きくしていけるよう貢献していきたいと思います。

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というわけで1日の締めくくりは総合格闘のジムでスパーリング。これで完全にリセット。チョークスリーパー,完全に極って嬉しかったです。スパーリング後,ラボにもどりメールのチェック。終バスに飛び乗って帰宅途中にラーメンとビール。長い一日でした。

本当に強い大学?

週刊東洋経済誌(2007.10.13)にて,財務力,教育力,就職力の3項目について「本当に強い大学」を選んだところ,北里大学は国公私立大学を含む日本の大学のなかで第11位にランクされました。しかし,10位と11位ではフォントの大きさが全く違います。

http://www.kitasato-u.ac.jp/news/news_071029.html

帝国大学グループでは名古屋大学を除いて全部に負けていますが,うちも慶応義塾大学ぐらいの迫力はほしいです。まあでも研究者にとって重要な科研費獲得額は本当になさけない数字でありますので,11位で喜んではいられませんが。しかも昨年よりランクダウン。まあ,私的には「本当に強い教授」でベスト10にランクインしたいです。