2007-12-31

いい旅を、と誰もが言った


2004年3月4日の朝、通勤のバスのなかで総合格闘技ジムの広告を見た。何気なく見るとそれは私の通っている大学の近くにあり、さっそくウエブで検索。その日の昼休みにジムを訪問する。当時、浅野倫久選手がジムに寝泊まりしていて、ジムの説明を受ける。総合格闘技という言葉に惹かれたが、何が何だかわからなかったので「すみません、あのー、何か技かけて下さい」と浅野選手にお願いする。「なんか、変なおっさんがきたなあ」というウザいモードでかけてくれたのが総合で広く知られている「三角絞め」であった。「軽くかけられているのに息ができない。まじヤバい」と思い、その翌日に入門した。かれこれ3年以上のおつきあいになり、飽きっぽい性格の私がここまでこれたのは、ジム生が励ましてくれたからだと思う。入門当初、あまりに弱すぎたので、スパーリングが終わったあとマットでふて寝をしていたことがあった。「阿部さん、何してんだ」とジム生。「静かにしてあげなよ。 阿部さんは仕事で疲れているんだよ」と他のジム生。ごめん、俺はただふてくされていたんだようと深く反省。ということで、自分よりも2倍も年下の彼らにおだてられてここまで来たようなものです。本当にありがとう。

このジムは拡張にともない移転することになり、2007年12月28日が港区白金で行なう最後のスパーリング。移転のためジムに通うのが困難になったAさんとの最後のスパリーングの日でもあった。私はXガードからスィープを狙い、バタフライフックの体勢に戻ったところでかんぬきロックをかけてスイープを敢行。Aさんはこれを読んでいて極めさせてくれない。2スパーリングをやってどちらも1本を極めることはなく終了。「A さん、ありがとう。また、何処かで会おう」スパーリングが終わってから、皆で記念撮影。ジムの番犬というかマスコット犬、SONYも、心なしか寂しそうだった。

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しかしいつまでも感傷に浸っている場合ではない。本日、大晦日はジムの山本選手とハニー・ヤヒーラ選手との戦いだ。山本選手の対戦相手はブラジリアン柔術黒帯、アブダビコンバット世界大会優勝者である。手足が長く、特にスピニングチョークはくせもの。あと、数時間で戦いがはじまります。


註) タイトル「いい旅を、と誰もが言った」は片岡義男さんの小説。文庫本は赤い背表紙でした。