2017-02-24

鳥インフルエンザが「種の壁」を越えるとき

 現在,中国において鳥インフルエンザウイルス(H7N9)による感染者が急増しております。今のところヒトからヒトへの感染は報告されておりません。鳥インフルエンザウイルスがヒトにおいても効率よく増殖するためには種の壁をこえる必要があります。なので,今のところパンデミックにはなりえません。

1) 種の壁を越える
 病原体の多くは,感染宿主の体温に適応しております。たとえばヒトに病原性を発揮する腸管病原性大腸菌は,ヒトの腸管温度(37℃)で病原遺伝子が発現されます。細菌に比べてはるかに遺伝情報が少ないウイルスも同様に,宿主の体温に適応しております。鳥インフルエンザウイルスは水鳥の腸管温度である41℃ (水鳥はヒトよりも体温高いです)でウイルス増殖が効率よく起きるようセットされています。一方,ヒトインフルエンザウイルスはヒト上気道の体温(33℃)で効率よく増殖します。気道は空気の流れがあるために,通常のヒト体温より3-4℃低いです。鳥インフルエンザウイルスは33℃という環境には適応していないので,ヒトへの感染は稀であります。
 鳥インフルエンザが「種の壁を越える」ためには,我々の上気道の温度に適応する必要があります。これまでの研究で,ウイルスRNAポリメラーゼに変異が入ることで哺乳類の上気道温度で増殖しやすくなることが明らかになっています。
 種の壁を越える能力(変異)をもった鳥インフルエンザウイルスは,ヒトからヒトへに効率よく感染するので,新型インフルエンザと成り得るのです。また,我々の多くは新型インフルエンザウイルスに対する免疫をもたないために,世界的な大流行となることが予想されています。

2) 宿主特異性のカギをにぎる受容体
 インフルエンザウイルスはウイルス表面に発現しているヘマグルチニン(HA)とよばれるタンパク質が,宿主の細胞表面に発現している糖鎖を受容体として付着します。もう少し詳しく述べると,HAはシアル酸を末端にもつ糖鎖を特異的に認識します。また,HAとヒトの糖鎖(受容体)における結合の強さは,シアル酸と結合しているガラクトースの結合様式に大きく左右されることがわかっております。
 鳥インフルエンザウイルスのHAは,シアル酸とガラクトースが α2-3 結合したもの (SAα2,3Gal) を認識して結合します。これに対して,ヒトインフルエンザウイルスのHAは,SAα2,6Gal を認識します。鳥インフルエンザウイルスの自然宿主であるカモの腸管上皮細胞は SA2,3Gal を高率で発現しており,一方,ヒト上気道の細胞は SAα2,6Gal が多く発現しております。このようにインフルエンザウイルスの宿主特異性については,「宿主の体温」ならびに「HAが結合する受容体の違い」から説明することが可能です。

3) 鳥インフルエンザウイルスに濃厚に暴露されたときに起きること
 ヒトは鳥インフルエンザウイルスの受容体がないのにも関わらず,何故,感染するのでしょうか? 実は,その後の研究で,ヒトの下気道(細気管支管や肺胞)にはヒトインフルエンザウイルスHAの受容体 (SAα2,6Gal) だけではなく,鳥インフルエンザウイルスHAの受容体である SAα2,3Gal も発現していることが明らかになったのです。
 鳥インフルエンザウイルスは重篤な下気道感染を起こしますが,これは本ウイルスの受容体が組織の深部でしか発現していないことに起因していたのです。濃厚なウイルスに暴露されると下気道までウイルスが到達してしまい,SAα2,3Gal を受容体として肺胞にダメージを与えるために重篤化しやいのです。

 現段階では,鳥インフルエンザウイルスは「ヒト-ヒト伝播」を引き起こしておりませんが,今後も警戒する必要はあります。

 詳しくは拙著「もっとよくわかる!感染症」をご覧ください。

「もっとよくわかる!感染症(羊土社)」より改変引用

2016-12-09

シオタ君と鳥平にいった話

Monash大学 (オーストラリア)の Trevor Lithgow Labにて外膜タンパク質の輸送の研究している塩田拓也君がラボに遊びに来てくれました。

ちょうど分子生物学会が横浜で開催されていたので,僕のラボに遊びに来てくれたのですが,塩田君にお会いするのは今回が初めてでした。

さて,塩田君がどういう目的で僕のラボにくるのか解らなかったので,最初はお互いに「どもどもども」みたいな感じで,しかし,10分ぐらいですべての会話が終わってしまいました。

まあ男同士の会話は短いほうが良いですよね。

ここで,「はい,さようなら」というのもアレなので,大学からすぐ近くにある鳥平に行場所を移しました。メンバーは塩田君,桑江先生,僕でした。ホッピーとともに,塩田君のエンジンも徐々に点火していき,たくさん食べて飲んで大いに語らいました。

大阪箕面の出身らしく,ツッコミも最高の野郎でした。久々に元気な若手研究者を見て圧倒されつつも,ブラジリアン柔術なら負けねえ,,,と思っていました。

塩田君は目尻に切った後があり,首も太いので総合格闘技か何かやっているのかな?と思ったら,学生時代にアメフトで眼底骨折したらしいです。やっぱ研究者は丈夫なほうが良いですよね。。。

「研究者にとって論文は名刺だ」という名言を残して,恵比寿駅方面に去っていきましたが,旧北里研究所時代の事務長もこの飲み会に参入して,後半は一気に加速しました。

僕は「シオダ」で検索したので,「あれ,業績ないじゃん!」と思っていたのですが,「シオタ」で検索したら,「サイエンス」がありました。

たくさん食べますが業績もすごかったです(笑)研究内容はココに詳しいです。無骨にみえて,ミトコンドリア輸送系の研究も行っており,マルチプレイヤーとしての片鱗も見え隠れしてました。あなどれないですね。。。

当分,オーストラリアにいるそうですが,もし日本で塩田君を見かけたら,大好物の「キュウリ」(注)をご馳走してやって下さい。

豪快で,ほんとに良い奴です。

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(注) 塩田君の唯一の弱点は「キュウリ」なのです。ごめんなさいね。。。
はじめてお会いしたのに彼の懐に飛び込む力は,すごいなあと思いました。コミュニケーション能力の高さとオフェンス力の強さを体感したとりへいでの一夜でした。今後の塩田君の益々のご発展を祈念します。そして,是非とも細菌学の世界で活躍してほしいと思います。

2016-11-12

iPhone 6 から P9 lite へ移行してみた アンドロイド携帯のファーストインプレッション

山岳地帯ではまったく繋がらないソ◯トバンクに見切りをつけて,ドコモ回線を使用している NifMo に変えました。使用している iPhone 6 はソ◯トバンクで購入したので, SIMフリー にはなりません。下駄を履かせたりして色々試しましたが,うまくいきませんでした。

今までの僕なら iPhone 7 にいくところですが,僕の欲しかったプラスは納期が 3 週間かかるらしいです。待つのは嫌なので,アンドロイド携帯である P9 lite に乗り換えました。

ここでは iPhone 6 から P9 lite へ乗り換えるために僕がしてきたことを報告します。仕事は Mac なので,Mac と異星人であるアンドロイド携帯との連携は必須です。
なので,連携機能を中心として解説していきたいと思います。

1. 日本語入力を見直す
iPhone に近いキー配列を保つために,Google 日本語入力をインストール。デフォルトの iWnn は今ひとつでした。「Google 日本語入力」のフリック入力は iPhone とほぼ同じで,すぐに慣れました。

2. Macの「連絡先」を Google アカウントに移行する
Mac上で「連絡先」アプリを開いてアドレスを全部選択したあとに,vCard でエクスポートします。次にMac上で Google コンタクトを開いて,左下メニューにある「もっと見る」をクリックします。インポート項目があるので,先ほど作成した vCard をインポートします。

次にMac上で「連絡先」の環境設定の「アカウント」項目を開いて,Gmail のアカウントを有効にします。一方,iCloud アカウントは同期しませんので,こちらのチェックボックスは外します。また,iPad などの「連絡先」も Google アカウントにして,iCloud を外します。これで Mac 側の連絡先データは Google アカウントでの運用となりました。

最後に,P9 lite の「設定」>「アカウント」で Google を選択して自分が使っているメールアドレスでログインして,「連絡先」の同期項目をチェックすれば完了です。

3. カレンダーは「Solカレンダー」で一発解決!
Sol カレンダーは iCloud で同期できるので,母艦の Mac であるカレンダーと同期が可能です。また,このカレンダーにはタスク項目もあります。ただし,Google Tasks との同期のみをサポートしているので,Mac で使用していた「リマインダー」はやめて,Mac のほうに「gTasks」(Google Tasks で動くアプリ) をインストールしました。タスク管理も Mac と P9 lite で同期できるようになりました。

4. パスワード管理は 1Password で一発解決!
僕は dropbox 経由で 1Password の同期を行っております。P9 lite の指紋認証は反応性がとても良いので,指紋認証とあわせることで快適に利用することが可能です。

5. 画像管理は Google フォトにおまかせ
色々考えましたが,最終的に Google フォトにダウンロードすることにしました。P9 lite で撮った写真は Google フォトにバックアップしておけば,母艦の Mac でも閲覧可能です。

6. まとめ
突然,アンドロイド携帯を持つことになりました。約 1 週間の使用では,ここが決定的にダメだ!という不満点は見つかりませんでした。Evernote, Dropbox, Facebook, インスタグラムなどの使用感はほとんど変わりませんし,よく使うアプリは iOS とアンドロイドOS のどちらにも存在します。

なので,iPhone に固執することもないのかな? と思ったりもします。一方,P9 lite の長所は,指紋認識が iPhone 6 と比べてずば抜けて速いことです。押した瞬間に画面がズバッと飛び込んでくる感じです。ここは決定的に,P9 lite のほうが優れています。また,指紋認証が本体ウラにあるので,指で携帯を支えた瞬間に開く感じです。これがとても快適です。

今回,黒部下ノ廊下をこの 2 台で行動しましたが,冷え込んだ外気にあたると iPhone はすぐに冬眠モードに入るのに対して,P9 lite のバッテリーは iPhone よりも優れていました。iPhone は寒さに弱いことは知っていたので,Anker バッテリーで充電しながら行動していましたが,P9 lite のほうが寒さに強いのは意外でした。

また,P9 lite デフォルトのカメラ機能がマニアックです。マニュアル撮影があって,下の画像は,ISO 500 で 6 秒間開放して撮影しました。

P9 lite で撮影

今回は山行前日に NifMo によるドコモ回線が開通したので,慣れない P9 lite のみで行くのは不安でした。そこで P9 lite のテザリング機能で,iPhone を動かしたりしました。バッテリーのことを考えると,冬場はアンドロイド携帯のほうが優れています。

結論として,移行のハードルは高くはないと思いました。

追記:P9 lite は画像や動画ファイルを,SDカードを外部ストレージとして保存することが可能です。アンドロイドアプリのなかには外部ストレージにアプリを移行できるものがあるのですが,これは P9 lite では動作しませんでした。内部ストレージはもう少しあったほうが良いかもしれません。。。

あと,iPhone のほうが良いと思ったのは,アンドロイド携帯ではメッセンジャーなどにアイコンバッジがつかないことです。web上に解決策が書いてありますが,このへんはシステムのデフォルトでなんとかしてほしいですね。基本,すべての通知が今ひとつです。このへんは iPhone のほうがしっかりしています。

まあでも,P9 lite の指紋認証になれると,iPhone はなんて遅いんだろうと,思ってしまいます。あと溝にゴミが入る物理ボタンも入らないかなと思います。アンドロイド携帯は使いにくいという先入観で入りましたが,そんなことはないというのが,今の気持ちです。







2016-11-01

個人的な山の装備 Vol. 4: StretchDown RS Hooded Jacket のファーストインプレッション

マウンテンハードウエアの Ghost Whisperer Hooded Down Jacket (219 g) は,撥水処理を施したダウン (Q.Shield Down 800-Fill, 79 g) を封入したジャケットとして人気があります。また,Whisperer 7D x 10D Ripstop という繊維で極力軽くしております。

今回,15D Ghost Lite face fabric という繊維で強度をあげた StretchDown RS Hooded Jacket を海外通販にて購入しました。このジャケットの最大の特長は溶着することで縫い目を極力なくして,ダウン抜けを防止していることです。その一方で 423 g と重くなっております。StretchDown RS Hooded Jacket は,Q.Shield DOWN 750-Fillという羽毛を使用しているのですがダウン封入量は記載されておりませんでした。

StretchDown RS Hooded Jacket

ファストパッキングを純粋に考えるならば,軽くてコンパクトにもなる Ghost Whisperer Hooded Down Jacket にすべきだと思います。

ミシンによる縫製ではなく溶着しています
まあしかし,Ghost Whisperer ほどはタイトではないので,また,アウター部分の強度も上がっているので,普段着としても良いと思います。

冬場は絶対的に化繊が良い!と思っていましたが,撥水処理のダウンならオールラウンドで活躍してくれそうです。


個人的な山の装備 Vol. 3: ミドルレイヤーについて

ミドルレイヤーは汗を効率よく外へ追い出すことと,アウターとベースレイヤーの間に空気のロフトを作って体温を維持することにあります。体温調節の根幹となるレイヤーだけに,たくさんの意見があります。そして,そのどれもが部分的には,正しいということになります。

僕のなかでのミドルレイヤーのスタメン 2016 は以下になります。

1. Houdiniのアルファフーディー
春先から初秋にかけてはアルファフーディーを愛用しています。Houdiniのフーディーのなかでは薄手の部類となり,通気性が良くて乾きやすいです。また,独特のしなやかさがあり,普段の旅行にも使用しています。

2. アウトドアリサーチのDeviator Hoody
アルファフーディーでは少々肌寒く感じる晩秋から春にかけては,アウトドアリサーチの Deviator Hoody の出番です。まあでも明確な区別はなく,通気性が良いので年間を通じて使用しています。こちらは Backpacker 誌の Editors' Choice Awards 2015 を受賞した製品です。前回のブログでも書きましたが,前身ごろの部分にポーラテックの Polartec Alpha インサレーションを使用しており,保温と同時に透湿性ならびに速乾性を確保しています。素材については「さかいや」さんのブログで詳しく解説されております。一方,フード,両袖,背中の部分は速乾性に富んだ Polartec Power Dry High Efficiency とよばれるグリッドパターンのフリースを使用しています。

体幹部は保温を重視した素材,一方,荷物で汗がこもる背中や袖部分は汗抜けしやすい素材で作られています。ミレーのトイ アクティブインシュレーションも同じような考え方でデザインされています。もっともこちらの前身ごろは Polartec Alphaではなく,TORAY が開発した 3DeFX+ という素材です。ミレーのジャケットも人気が高そうですね。

いずれにしても,最先端の素材を適材適所に使い分けるのが,今後のミッドレイヤーのトレンドになりそうです。

Deviator Hoody。白い部分が Polartec Alphaインサレーションとなります
フード,袖,背中は,グリッド状のフリースです。従来のフリースよりも通気性が良いです。

3. アークテリクスのAtom SL Hoody

アルファフーディーや Deviator Hoody を着用しても肌寒いときには,Atom SL Hoodyを重ね着しています。アークテリクスのなかで最も薄手のソフトシェルで,軽くてとても着心地が良いです。この Atom SL Hoody は撥水性もあるので,多少の雨ならこのジャケットで行動するときがあります。中綿はアークテリクス独自のコアロフトという素材で,熱がこもりにくいです。真夏でも日没すると気温が急激に下がりますので,1年中持ち歩いています。

 Atom SL Hoody。飯豊山。太陽が沈むと一気に冷え込みました。。。


4. まとめ
冬場は厚手の素材を選んでしまいがちですが,大量の汗で冷えてしまえば意味がありません。薄手のインシュレーションを重ね着することで体温調節をしたほうが快適だと思います。
特に Atom SL Hoody はソフトシェルとしても,激しくないときのレインウエアとしても使用できます。アークテリクスは SV シリーズが注目されがちですが,利用頻度は圧倒的に Atom SL Hoody にあると思います。また,アルファーフーディーもDeviator Hoodyもオススメです。この3着は揃えておいて,後悔しないと思います。

2016-10-28

Trekkinn を使ってみた

モノには適正価格というものがあります。その一方で,山の装備は「命をかけるもの」だから「プロダクトの良さは値段に比例する」という言葉も真実だと思います。

たとえばゴアテックスプロを使用したハードシェルの海外製品は日本の代理店だと7~8万円ぐらいします。厳冬期にも対応しているからそんなものなのか,,,と思ってしまいますが,まったく同じ製品を海外の通販サイトで比較してみると,値段がまったく異なります。たとえば,7万円のハードシェルは,4万5000円ぐらいで販売されていることがあります。この2万5000円という価格差は,ないんじゃないのかなぁ。

そういったこともあり,Trekkin.com というサイトを利用するようになりました。


Trekkinnのサイトです

海外通販の不安な点として,注文したものが本当に届くのか? バッタモンではないのか? クレジットカード情報を渡すのは怖い,,,などがあげられます。僕もはじめは不安でしたが,気がつけば Trekkin で登山用品を3点購入しています。キチンとしたものが届いたし,PayPal に対応しているので,Trekkin.com にクレジットカード情報を渡すこともありません。

唯一の欠点として,到着時間に幅があることです。海外からの取り寄せなので税関とかで時間がかかる場合があり,まあしょうがないです。それでも追跡サービスはしっかりしているので,これまで注文した3商品はトラブルもなく手元に届いています。

ここでは Trekkin の利用方法について,ざっと説明したいと思います。まあしかし,この通販サイトから何らかのマージンを貰っているわけでもありません(笑)
自己責任にて購入してくださいね。

I. Trekkinの利用方法
1.  まずはじめに,Trekkin.com でアカウントを作ります。

2.  品物を選んでカートに入れて,国内の通販会社と同じように決済します。

品物を選んだあと,輸送会社を指定します
3. 「お届方法の指定」という項目があります。日本郵便とDHLを選択することができますが,日本郵便のほうが安いのでこっちにしています。一刻もはやく商品を受け取りたいという方はDHLを選ぶほうが賢明でしょう。

4. 決済は,PayPal かクレジットカードを選ぶことができます。

5. オーダーが完了すると商品の配達状況についてのメールが届きます。メールに貼られてあるリンクをクリックすると追跡状況がわかります。関税等の英語がわからない場合は,コピペしてググると,親切なページがたくさんあります。

このようなリンクが貼られています
6. 英語表記で不安だという方は,日本郵便の個別番号検索のサイトを訪れ Trekkin から発行された「問い合わせ番号」を入力することで,日本語での追跡が可能となります。

国際交換局の場所を見極めることが必要です

7. ここでまぎらわしいのは,「国際交換局から発送」という言葉です。10/24 17:03 付けの「国際交換局」はオランダのアムステルダムをさしています。最初にこの画面を見て,明日あたり着くのでは?と思っていましたが,日本の国際交換局ではないので数日かかりました。

8. 「国際交換局から発送」(10/24 17:03 付け) という知らせが届いたあと,国内の国際交換局に届くまでの数日間,何のレスポンスもないので少々心配になりますが,海をわたっているのでしょうがないですね。割高なDHLのほうが安心するのかもしれませんが,僕は利用したことがありません。

9. さて,日本の国際交換局に到着後は,通関手続になります。これが済めば晴れて国際交換局からの発送となり,郵便局員さんからの荷物を待つだけとなります。

通関手続中です

11. あとはぐるぐるに梱包された品物を受け取るだけです。
品物によって関税がかかる場合がありますが,あまり詳しくは知りません。僕の場合,国内品よりも高くついたということはありませんでした。上記はゲイターを例にあげておりますが輸送費用がつくので,これぐらいの値段だと国内との価格差は微妙です。

II. まとめ
サイズがあわなかったらどうしようとか,関税っていくらかかるのだろうかと,心配性の方は海外通販には向いていないのかもしれません。最初の荷物が届くまでは,僕も不安でした。数万円の買い物ですからね。

いつ届くのか? サイズはあうのかなぁ,も含めて楽しむことが海外通販の醍醐味だと思います。アウトドアで注目された海外ブランドも一般に認識されるようになると,代理店は売れそうな路線だけに絞ってきます(国内で在庫を抱えたくないですから,,,)。日本の代理店が輸入しないようなマニアックな製品も海外通販なら入手可能です。一方,国内代理店にてきっちりとしたアフターサービスを希望するのなら,値段の高さも納得できるかもしれません。

それでは良い山行を!

2016-10-25

個人的な山の装備 Vol.2:レイヤリングシステムについて

登山靴の次に頭を悩ませるのが登山時の服装です。タイトルにはレイヤリングシステムと格好良く書いていますが,簡単に言うと「重ね着」のことです。

いかに効率よく「重ね着」するかで,荷物の容量も大幅に変わります。心配すればそれだけ持っていくものが増えていきます。逆に,軽装で凍死することは避けなければなりません。

山の服装のレイヤーは4つのカテゴリーに分けることができます。すなわち,1) ドライレイヤー,2) ベースレイヤー,3) ミッドレイヤー 4) アウターレイヤーです。面倒くさそうですが覚えてしまえば簡単です。それよりも意外とお金がかかります。

山の店に行く前に,「今日はこれを買う!」という強い意志がないと,ついつい余分なものまで買ってしまいます。

ここでは主に冬のレイヤリングについて解説していきたいと思います。とは言っても,低山の冬が自分の守備範囲だと思っています。それでも吹雪かれると心臓がドキドキします。

1) ドライレイヤー
肌に一番近いところに着るもので,かいた汗が肌と密着するのを防ぐためのレイヤーです。身体が濡れた状態で風に吹かれると体温が急速に奪われます。高価なハードシェルよりも,ドライレイヤーがいちばん重要だったりします。僕はファイントラックのアクティブスキンというドライレイヤーを上下で愛用しています。また,スキンメッシュソックスクルーもオススメです。足のムレが軽減されるので通年使用しています。ドライレイヤーは大量の汗をかく夏場にも必要です。ちなみに春から秋にかけてはミレーのドライナミックメッシュを使用しています。

2) ベースレイヤー
ベースレイヤーには速乾性の化繊と,速乾性は劣るけれども防寒性に優れるメリノウールがあります。あるいは化繊とメリノウールのハイブリッドです。ベースレイヤーで汗を吸って肌に戻さないようにするのが理想です。メリノウールは吸湿しても暖かいという特性をもっています。また,化繊と比べて防臭性も優れています。僕は年間を通じてメリノウールのベースレイヤーを使用しています。冬場に愛用しているのはモンベルのスーパーメリノウールの長袖でコスパが非常に良いです。あと,パタゴニアがリリースした Merino Air Hoody はシームレスな編み方でとても興味があるのですが,値段が少々高価です。

3) ミドルレイヤー
ミドルレイヤーはベースレイヤー部分の汗を効率よく外へ追い出すことと,アウターレイヤーとベースレイヤーの間に空気のロフトを作って体温を維持することにあります。
春から秋にかけてはフーディニのアルファフーディーを愛用していますが,冬場はアウトドアリサーチのDeviator Hoody を着用しています。このフーディーは前身ごろの部分をポーラテック社の最新素材であるPolartec Alpha インサレーションを使用しており,透湿性と速乾性に優れています。また,フードと袖の部分は通気性に富んだPolartec Power Dry High Efficiencyとよばれるフリースを使用しています。まさに,最先端の素材を惜しげもなくつぎ込んだのが,このフーディーなのです。汗のコントロールに優れているので,とても気に入っております。 アウトドアリサーチの製品はもう少し評価されていいと思うのですが,こちらも希少生物的な扱いです。また,Deviator Hoody で少し肌寒いときはアークテリクスのAtom SL Hoodyを重ね着しています。春から秋にかけては多少の雨もはじいてしまうAtom SL Hoodyをアウターレイヤーとして使用することが多いです。

僕はフリース独特のこもるような熱気がとても苦手で,この2枚の重ね着で調節しています。特に冬場は,快晴とブリザードの日では驚くほど温度域が異なりますから,この2つの重ね技で,調節しています。

3) アウターレイヤー
アウターレイヤーにはハードシェルとソフトシェルがあります。これらの違いについては,ギアジンさんのHPに詳しくまとめられております。

Outdoor Gearzine

冬場の積雪期に求められるのは,ハードシェルのジャケットです。ハードシェルは雨や雪を完全に凌いで,また,積雪時の滑落に対応するために生地も厚く滑りにくい素材です。レインウエアは代用にもなりますが,表面がサラサラしているので滑ったときのことを考えると怖いです。

僕が使用しているのは,ホグロフスの ROC Spirit Jacket です。Gore-Tex Pro 3 Layer という素材を使用しています。ゴアテックスファミリーのなかでも最高強度を誇りますので,過酷な状況に対応するジャケットに多用されています。レイヤーのなかでは一番,お金がかかります。。。

ホグロフスのROC SPIRIT JACKET

また,パンツはホグロフスのリザードパンツを使用しています。撥水性もそこそこあってストレッチ性に優れています。冬場にはこれにGore-Tex Pro 3 Layer を使用したモンベルライトアルパインパンツを重ね着することで雨や雪を防ぎます。さらに,膝までのゲイターも着用して雪の侵入を防ぎます。

4) テント内にて
テント内ではマウンテンハードウエアの Stretchdown RS Hooded を使用する予定です。この製品は買ったばかりで,まだ野外で試しておりません。今まで,パタゴニアの初代ナノエアーを使用していたのですが,かさばるので羽毛に変えました。羽毛の最大の弱点は濡れるとロフトを失うことです。この理由で僕はこれまでダウンを利用してきませんでした。このジャケットの最大の特長は,ストレッチ性のある素材に撥水処理をしたダウン(Q.Shield DOWN)を詰め込んでいることです。このダウンについては改めてリポートします。

5) まとめ
ここでは冬場のレイヤーについて解説しました。色んなものを揃える必要がありますが,山に登っていくうちに徐々に取捨選択できるようになります。過去に僕は4月の磐梯山に木綿のTシャツを着て登って,ほんとに泣きそうになったことがあります。ドライレイヤーとベースレイヤーは汗をコントロールするためにとても重要です。ここにはきちんとした投資が必要です。
また,レイヤーのなかで一番たいへんなのがミドルレイヤーです。ある程度の通気性を確保しないとすぐに汗が出てきます。なので,行動量や外気温にあわせ薄手の素材の重ね合わせで温度をコントロールしています。

もちろん厳冬期の冬山では上記装備よりシビアになるでしょう。また,東北と秩父の山では同じ2000 m でも装備は全く異なります。ここでは,僕がたどり着いたレイヤリングシステムについて,ざっくりと解説しました。

低山の冬山でも,GPSならびにヘッドライトは2つ装備しています。また,ツエルトも必携です。装備も膨れ上がるので,初期投資が大変です(笑)

ここまで書いてきて言うのも何ですが,山登りをはじめるのなら,5月の連休を過ぎてからでしょうか。。。

4月はじめの磐梯山。途中から雨が降ってきて,ずぶ濡れになりました。ここでの失敗が大いに勉強になりました。

これは2016年5月の連休の吾妻山です。5月でも山域によっては厳冬期並みの装備が必要となります。この年は雪が少なかったのですが,吹雪いて10 cm ほどの新雪が積もりました。

それではよい山行を!

追記: ミドルレイヤーについてはこちらでも取り上げております。

2016-10-22

個人的な山の装備:登山靴について

最近,僕のまわりで登山に興味を持つ方が増えてきました。山登りで一番最初にそろえなければならないのが登山靴だと思います。まあしかし山のお店に行くと,たくさんありすぎて,どれを選んだら良いのか判りませんよね。実は僕もすごく悩んでいます。。。

今年の夏は日本アルプスと飯豊連峰を縦走しましたが,テントと食糧込みで12 kg 弱でした。比較的軽量なので厳冬期以外はハイカットのトレッキングシューズを中心としてなるべく軽いものを選んでいます。

なので,ここで取り上げるシューズは,日帰りや小屋泊まりからはじめる方々にもある程度の参考になると思います。もちろん登山靴は履いてみなければわかりません。

山をはじめて登るのなら,このへんから入った方が楽しいかも?という極めて近視眼的な提案です。

1. サイズについて

僕の足の大きさは,25.5 cm です。登山靴を購入するとき,縦走とかでむくむことも考えて,27.0 cm ぐらいのものを購入しています。足の爪先が靴の先端にあたっていないことがきわめて重要です。少しでも当たっていると,下山時にとても嫌な思いをすることになります。親指,小指,そして土踏まずあたりが多少でも窮屈に感じるのなら,おそらくサイズが小さいか,メーカーの木型があっていないので,別な靴を選択したほうが無難です。また,サイズを上げたときに,踵が少しでも浮くような登山靴もアウトです(まあこれはインソールを変えることで解決できる場合があります)。
普段,履いているシューズと同じぐらいに,違和感のない登山靴を選ぶべきです。

諦めてはいけません。

2. おすすめのトレッキングシューズ

(1) HOKA ONE ONE TOR ULTRA HI WP (ホカオネオネ トーアウルトラHI WP)

トレイルランで有名なHOKAのハイカットモデルです。重さは片足で約500 g。HOKAは足幅が若干狭いので,27.5 cm にしました。分厚いソールも健在でグリップの良さで定評があるビブラム・メガグリップを採用しているところも購入のポイントとなりました。
転がすように歩くソール構造で,長期のファストパッキングにも向いているかと思います。このシューズはeVentとよばれる防水素材を使用しており,ゲイターとあわせることで,高い防水性能が期待できます。まあしかし極めて手に入りにくいです。。。シューズ界の希少生物と言っても過言ではないでしょう。なので,通販で取り寄せました。

HOKA ONE ONE TOR ULTRA HI WP

(2) マムート COMFORT HIGH GTX SURROUND

どうしても蒸れたくはない。。。それならゴアテックスサラウンドという新技術を投入したシューズがオススメです。これまでのゴアテックス製品と異なり,足底の湿気も外へ逃がすような構造を取っています。UK8.5で片足459 g。試し履きしかしてませんが,僕の足には27.0 cmでジャストフィットでした。もし,HOKA ONE ONE TOR ULTRA HI WPが合わなかったら,このシューズを選択してました。全体的に柔らかいので岩稜帯では心細いかもしれませんが,足入れ感はとても良かったです。また,マムート原宿店の店員さんの対応も最高でした。
マムート COMFORT HIGH GTX SURROUND
(3) サロモン EVASION MID GTX

サロモンはたくさんのシューズをトレラン界に送り込んでいますが,実は登山靴も良いものを作ってます。また,比較的リーズナブルな価格設定です。このシューズも僕の足にあいました。片足の重さは約400 g で軽い! サイズは27.0 cm がジャストフィットでした。こちらはゴアテックスサラウンドではありませんが,ゴアテックス素材で防水性は備えています。また,軽い割にはレザーで補強されているので心強いです。あと,ミッドカットのゴアテックスシューズも人気がありますね。サロモン iciclub 原宿店の店員さんも親切で,頼りになります。あと,スント製品もたくさんあります。
サロモン EVASION MID GTX


3. まとめ

ここでは片足の重さが約 400 - 500 g のトレッキングシューズを紹介してきました。軽いシューズは重いものに比べホールド感はなくなりますが,考え方によっては「より慎重に歩くこと」を求められます。足裏の感覚を鍛えるためには軽量なものがオススメです。

結局のところ,どんなシューズがベストなのかは山を登るスタンスによって異なり,これだ!と言った答えはありません。ごめんなさい。。。

まあでも,登山靴購入のヒントになれば幸いであります。
それでは良い山行を!

個人的な山の装備 Vol.2 はコチラです。レイヤリングシステムについて解説しています。

2016-10-04

大隅良典先生のノーベル賞受賞によせて 「自然免疫としてのオートファジー」

大隅良典先生の2016年ノーベル生理学・医学賞受賞に際して,お慶びを申し上げます。

オートファジーについては,今後,いろいろなところで取り上げられると思いますが,このブログではオートファジーによる細菌の排除機構について解説したいと思います。

1. オートファジーとは?
 オートファジーの「auto」はギリシャ語で「自己」を,そして「phagy」は「食べる」を意味しています。これまでオートファジーは,生体内におけるバルクな分解系として考えられてきました。たとえば,細胞が飢餓やストレス条件に曝されたときに,細胞質の大きな区画をオートファジーによって分解することで,それらをアミノ酸として再利用します。このような機能のほかに,アルツハイマーなどの神経変性疾患,がんの進展などにもオートファジーは関与しています。
 オートファジーは飢餓状態における自己成分のリサイクル系として,酵母の領域でその研究が進んできました。ノーベル賞を受賞された大隅先生は,オートファゴソーム形成に異常をきたす酵母変異株を作製しオートファジー(autophagy :ATG)遺伝子のクローニングに成功しました。現在では,35種類のATG遺伝子群(もう少し増えているかも)が出芽酵母で同定され,これら多くは哺乳類においても保存されています。

2. 細胞内寄生細菌とは?
 細菌のなかには,マクロファージのような食細胞に貪食されても細胞内で生存・増殖が可能なものが存在しており,細胞内寄生細菌と呼ばれています。たとえば,結核菌はマクロファージによって貪食されたあと,ファゴソームとリソソームの融合を阻害して,特殊な小胞 Mycobacterium-containing vacuole (MCV)を形成します。同じように細胞内寄生細菌のサルモネラも,細胞質のなかに特殊小胞 (Salmonella-containing vacuole: SCV) を形成します。最近の研究で感染細胞はオートファジーを利用することで,これら特殊小胞内で寄生している細菌を排除することが明らかになってきました。

3. オートファジーによる細胞内寄生細菌の排除機構
 細胞内寄生細菌にはグラム陽性菌と陰性菌の両者が存在します。宿主は生体内に侵入してきた細菌をどのように認識してオートファジーによる殺菌排除を行なっているのでしょうか? これについては少なくとも2つの経路が提唱されています。一つは細菌が作り出す特殊小胞膜の破綻を認識する経路で,もう一つは,菌体の構成成分をスペシフィックに認識する経路です。菌体成分を特異的に認識する機構は,サルモネラで解析が進んでいますが,ここでは膜破壊によるオートファジーの仕組みについて解説したいと思います(下図を参照下さい)。

4. 膜破壊によって誘導されるオートファジーの仕組み
 サルモネラは特殊小胞であるSCVのなかで増殖します。その後,SCVの膜構造を破壊し細胞質へ逃れることで,新たな増殖の場を確立しようとします。しかしその一方で,SCVの恒常性は宿主側に厳重に監視されているのです。SCVを構成している膜がサルモネラによって壊されると,オートファジーが速やかに誘導されます。
 SCV膜の堅牢性を監視するために働いている分子が,糖鎖結合タンパク質のガレクチン-8です。サルモネラは宿主細胞に侵入するときに,膜表面に存在している糖鎖を取り込んだかたちでSCVを形成します。サルモネラが増殖してSCV膜が破壊されると,内膜側に取り込まれていた糖鎖が細胞質に漏出します。細胞質に漏出した糖鎖にガレクチン-8とよばれる分子が結合します。この糖鎖-ガレクチン結合体に,アダプタータンパク質であるNDP52が結合することで,オートファジーの初期段階が誘導されます。

5. アダプタータンパク質による選択的オートファジー
 研究の当初,オートファジーの選択性は曖昧でしたが,現在では複数種のアダプタータンパク質がオートファジーの選択性に関与していることが明らかになっています。たとえば,サルモネラ感染では,NDP52がガレクチン-8と隔離膜上のLC3と結びつけるアダプターとして機能することで,SCVのまわりにオートファゴソームが形成されます。NDP52は,A群レンサ球菌,結核菌,赤痢菌,リステリアにおける選択的オートファジーにも関与しています。

6. おわりに
 病原体の侵襲による特殊小胞膜の破綻は,ガレクチン結合性のNDP52で感知していることが明らかになってきました。膜の破綻を認識するシステムは個々の細菌をいちいち認識する必要がないので,自然免疫としての普遍性が成り立ちます。その一方で,菌体の構成成分を認識してオートファジーが誘導される論文も出されており,膜の破綻を認識する以外に,いくつかのバックアップがあるようです。
 オートファジーによる細菌の排除機構については,拙著「もっとよくわかる! 感染症」(羊土社)で詳しく解説しております。興味がありましたらよろしくお願いします。

 自然免疫としてのオートファジー研究は,発展途上にあります。研究がはじまってまだ10年もたっていません。大隅先生のノーベル賞受賞によって,今後の研究が加速することを願っております。

オートファジーを介したサルモネラの殺菌排除。「もっとよくわかる!感染症」(羊土社)より改変引用。

2016-09-21

飯豊連峰を縦走してみた(弥平四郎から大石ダムまで)

日本アルプスの縦走から自宅へと戻り,達成感とともにテントやシュラフをベランダに干しました。今回の縦走はあまりにも完璧だったので,明日からはじまる飯豊連峰の縦走に迷いがでました。

わさび平にて
エスケープルートがほとんどない飯豊連峰に登るのが少し億劫になったというのが,正直な気持ちでした。まあしかし,レトルト食品や燃料も含めてすべて揃っていたので重い腰をあげ,奥穂高の翌日には東北行きの新幹線に乗りこみました。

飯豊連峰の主脈を縦走してみました。福島県側の弥平四郎から北上し新潟県側の大石ダムに下山しました。
1. 野沢駅にて

車窓からみえた磐梯山
実家に一泊して,福島県にある野沢駅で下車しました。

JR野沢駅

今回はデマンドバスの「こゆりちゃん号」という乗り合いバスを予約してあります。

こゆりちゃん号
僕以外に乗客はいなかったので,登山口に近い弥平四郎まで45分ぐらいで到着しました。ちなみに料金は500円でタクシー移動だと10000円はかかると思います。こゆりちゃん号は廃校になった小学校前に停車しました。

弥平四郎の廃校。
ここから1時間ほど歩いて登山口へ向かうのですが,途中,百名山の完全登頂を目指している S さんの車に拾って頂き,時間の短縮となりました。Sさん,ありがとうございます☆
さて,いよいよ飯豊連峰のふもとにたどり着きました。主峰である飯豊本山に至るルートはいくつかあるのですが,僕は新長坂を選びました。高校時代に下山に利用したルートです。飯豊山はどのルートもそうなのですが,稜線上にたどり着くまでが長いです。あまり見通しのよくない樹木帯を移動するのですが,湿度が高く喉がすぐに乾きます。それと,人間よりもこの山域のフォースのほうが圧倒的に強く,しかも歓迎されてない感じです。。。すれ違う登山客もほとんどなく,あまり考え事をしないよう集中して稜線を目指しました。疣岩山の分岐へと合流する稜線上にやっとたどり着きました。

疣岩山に至る稜線にて
ここまでくると濃い樹木帯のフォースも弱くなります。ここから三国小屋を目指します。小屋についたときにまだ時間があったので,切合避難小屋のテント場を目指しました。
夕方頃,切合小屋に到着しました。ここにテントを張って飯豊本山や飯豊連峰の最高峰である大日岳に向かう方が結構いるのでテント場は賑やかでした。小屋裏のテント場は一杯だったので,すこし離れたところにNEMO Tani を設営。夕日を独り占めできる最高のロケーションでした。それにキンキンに冷えたビールが最高でした。

キンキンに冷えたビールで乾杯
切合小屋のテント場でNEMOを設営
晩御飯です
もうすぐ日が落ちます。最高のロケーションでテント泊

2. 飯豊本山,御西岳,烏帽子岳,北股岳を経由して門内小屋へ

翌日は曇り空で,僕のテンションも下がり気味でした。それでも雨は降っていないので,切合小屋を午前6時頃,出発しました。少し歩くと唯一のクサリ場である御秘所に到着です。

鎖場がある御秘所
ここを越えると飯豊連峰の主脈が姿をあらわします。しかし,飯豊山避難小屋についたときにはガスがかかって何も見えませんでした。

飯豊山避難小屋
飯豊本山も濃い霧のなかで広がっているであろう周りの風景も視界ゼロでした。これに続く御西岳もガスに包まれていました。

霧に包まれた御西小屋
なので,最高峰である大日岳へのピストンは諦めました。。。そこで,北股岳方面に向けて歩き出しました。GPXファイルをみると,12:22 に北股岳を通過して13:22には門内小屋のテント場についています。「山と高原地図」のタイムコースは,すごくゆとりがあるように思えました。

霧の合間に雪渓が見えてきました
相変わらずの天気で何も見えないので,門内小屋のテント場でカップヌードルを食べたあと昼寝をしました。夕方になってやけに周りが騒々しいので起きてみると,完全に澄み渡った世界がそこにありました。テントからガバッと起きて,夕焼けに映える山々を飽きることなく見続けました。日本海側に沈む太陽は圧巻でした。

門内小屋からの絶景
日本海側に沈む太陽
夕日に照らされた稜線
太陽が沈みかけるとあたりはひんやりとしてきた

3. 朳差岳を越えて大石ダムへ

翌日も快晴。この天気なら梶川尾根を下って飯豊山荘でのんびりできるだろうと思いながら下山開始。ほどなくして梶川尾根に下る分岐に到着しました。空は晴れ渡り,鉾立峰,杁差岳へと続く稜線が目の前に広がっています。

「これは行けるんじゃないか?」という衝動に駆られました。

同時に,Curiosity killed the cat... という諺も思い浮かびました。天候が悪化するのは午後だから,急げば大石ダムまでたどり着けるのでは?と思えてきました。大石ダムに至る林道のマップはGPSアプリにダウンロードされており,道に迷うことはないと確信しました。

頼母木小屋が見えます。杁差岳に続くたおやかな稜線
門内小屋から頼母木小屋までは1時間20分で到達したので,このタイムなら午前中に下山できると思いました。それにしても頼母木小屋は素晴らしいロケーションにあり,稜線上にぽつんと立つ姿は可愛らしくもあります。次回はこの小屋の前にテント泊したいと強く思いました。

健気な頼母木小屋
頼母木小屋の水場

頼母木小屋から鉾立峰に至る登りはかなり急でしたが,お花畑が全開で,まさに桃源郷です。百名山として飯豊本山方面は人気がありますが,主脈を縦走する登山客はあまりいないようです。門内岳から大石ダムへ至る稜線上ですれ違ったのはたったの4名でした。なので,静かな山々をじっくりと縦走してみたいという方には,杁差岳方面はオススメです。

鉾立峰に至る稜線。どこまでも歩きたくなる世界

杁差岳を過ぎると,寂しくなるぐらい,どんどん降下していきます。

カモス峰(847 m)まで下るとまた湿気が襲ってきます

大内淵。水がすごく綺麗です。
此処から先は人間と猿の世界。
林道終点についたのは11:40でした。このあたりで天気予報どおりに大雨が降ってきました。そして,林道の終わりから大石ダムの駐車場まで,1時間半ぐらいかかりました。この間,ずっと目に突入してくる小さな虫にイライラしながら,また,登山靴はぐしょ濡れで不快感マックスでした。。。

大石ダムの管理所
大石ダムの駐車場について,山ではまったく役に立たないソフト◯ンクがギリギリ繋がって,どうにかタクシーを手配することができました。荒川タクシーさんにJR越後下関駅までと伝えると「日帰り温泉がありますよ」と教えていただき,速攻で「お願いします!」と返事をしました。濡れた登山靴はザックのなかにしまいこんで,サンダルに履き替えて,温泉でサッパリして,同じ運転手さんを指名して駅に向かいました。

JR越後下関駅
4. 後記

今回,久々に飯豊連峰を訪れました。僕の高校時代はトイレ設備も不十分で,また,入山者も極端に少ない山塊でした。当時はキスリングで登り,6テンとよばれるキャンバス地のテントでした。22キロを超えていて4泊5日の山行でした。。。当時は足元の風景しか見えていませんでしたが,今回は「ああああ,こんなにも綺麗な稜線だったのか!」と感動しきりでした。
今回は2泊3日で縦走しました。荷物の重さはテント有りで12キロです。当時は肩に食い込むキスリングの重さに辟易していましたが装備の進化に感謝です。

来年夏は,是非,頼母木小屋でテント泊したいです。

2016-09-16

日本アルプスの最深部へ

気がついたら僕は,同じ職場で30年働いていました。20代はじめから働きだして,もう50代のなかばになろうとしています。こういった真面目な僕?に,30年勤続したから5日間連続で休みなさいね,と大学から通達がきました。土日をあわせれば,かなり長いあいだ山にこもることができます。

もう行きたい場所は決まっていました。それは,日本アルプスの最深部に位置する雲ノ平という秘境です(地図☆印参照)。

雲ノ平の位置を☆印で記載しました。


富山県折立まで電車とバスを乗り継いで,ひたすら移動の旅でした。それでも今回は一緒に行動してくれる友人がいたので,とても楽しかったです。

折立から薬師岳の麓にあるテント場について,初日の宿泊です。テントはかなり混んでいました。

薬師峠のテント場にて。今回はシングルウオールのテントで軽量化をはかりました。

水が豊富です。
翌日は,太郎平から薬師沢に降りて,黒部川を横切ります。その前に,薬師沢小屋から黒部川に降りて,冷たい川の水でリフレッシュしました。

薬師沢小屋から黒部川までは階段で降りることができます。僕と友人はここでしばらく洗濯をしてリラックスしました。
黒部川。左上に薬師沢小屋があります。雲ノ平には赤い吊橋を渡っていきます。

薬師沢から吊橋を渡ると,雲ノ平に至る登山道が見えてきました。しかし,ここからは急登で,GPSアプリで等高線を何度も確認してしまいました。しかし,視界が急に明るくなって,雲ノ平の縁にたどり着いたことを知りました。

ようやく見えてきた雲ノ平。
雲ノ平山荘でテントの受付をして,友人とビールで乾杯しました。二泊目は雲ノ平のテント場です。テント場にはビールがなかったので,また歩いて山荘まで行って,午後3時ぐらいの素晴らしいひとときをビールを飲みながら過ごしました。

雲ノ平山荘。

翌日は,鷲羽岳を経由して黒部五郎岳の麓にある黒部五郎小舎を目指しました。

鷲羽岳,一瞬だけ晴れました。

小屋がかなり下ったところにあるので,明日の急登を思うと,少しだけ憂鬱になりました。

なかなかたどり着けない黒部五郎小舎。
テントを設営した後,黒部五郎岳を目指しました。あいにくの雨で頂上についても何も見えませんでした。登山靴のなかにまで浸水してきて,カエルのような気分でテント場にたどり着きました。小屋のストーブで暖をとるだけではアレなので,友人が生ビールを買ってくれて,ベビーラーメンを肴にして,乾杯しました。夕方には雨が止んでいましたが,寒いので,そそくさと眠りにつきました。

お世話になった黒部五郎小舎。

テント場も快適でした。

翌日は,快晴のなか三俣蓮華岳を目指しました。

テント場からの風景。遠くに笠ヶ岳が見えます。

三泊目に突入するのですが,疲れはほとんどなく最高の気分でした。三俣蓮華岳の頂上からは槍ヶ岳もくっきり見えて,かなり長いあいだ,頂上で過ごしました。そこから稜線をのんびり歩いて,双六岳へと登りつめました。青空を燕が風を切って飛んでいます。その風をきる音が聞こえるのに少し感動しました。ここの頂上でものんびりと過ごしました。

双六岳頂上での友人。遠くに槍が見えます。

ここから双六岳のテント場へは,なだらかな稜線上を進んでいきます。

双六岳から双六小屋を目指す。稜線はなだらか。槍ヶ岳は雲に隠れてしまった。

気持ちのいい稜線を歩く。

双六小屋のテント場は柔らかな砂地で,とても寝心地が良いです。いつの日か,ここをベースにして,槍ヶ岳,水晶岳へと足を伸ばしたいです。明日は下山なので,友人と生ビールで乾杯しました。思えばビールを飲まない日はありませんでした。

ロケーションも最高な双六小屋のテント場。
キンドルで読書をしながらのんびりと過ごす。

日が沈むと急に温度が下がり,双六小屋でカレーうどんを食べたあと,キンドルで池澤夏樹の小説を読んでいるうちにいつの間にか寝てしまいました。

帰りは新穂高ロープウェイを目指しました。ここからバスに乗って,松本駅にたどり着きました。こうやって僕の勤続30年記念登山の第一部が完結しました。

グラナイトギアの軽量パック。バルトロよりも1.5 kg ほど軽い。

まだ四泊五日の縦走をこなせることに感謝です。今回は,テントもシングルウォールの軽量なものにして,極力軽量化を図りました。最終的には10キロちょっとの重量に抑えることができました。ただし,シュラフの適温はプラス7度のもので,ここは軽量化(約400 g )しすぎたかなと思いました。夜中に寒さで何度も目を覚ましました。こういったことをフィードバックして,東北のアルプスへ向かうことになります。

どうして旅に出かけるのか?と聞かれることがありますが,映画「Into The Wild」のなかでの言葉に集約することができます。自分を試すことにあります。

わさび平にて。


人生において必要なことは,実際の強さよりも強いと感じる心だ。

一度は自分を試すこと。一度は太古の人間のような環境に身をおくこと。

自分の頭と手しか頼れない,過酷な状況に一人で立ち向かうこと。

Into The Wild