2009-12-15

プレスリリース: Inflammation stops at Bop

永松さんの論文がついにJEMデビューしました!
くわしくはこちらをクリックしてください。

また,Amyさんによる論文サマリーが "In This Issue"に掲載されています。

百日咳菌に代表されるボルデテラ属細菌は,IL-10を積極的に利用することで感染成立を図ります。我々は,III形分泌装置によって宿主細胞内に送られるBopNというエフェクターが,IL-10の産生増強に関わる病原因子であることを,初めて明らかにしました。

感染においては局所で炎症反応が惹起され,そのアラートによって好中球が出動し,速やかに殺菌排除が行われます。ボルデテラ属細菌では,抗炎症性サイトカインであるIL-10を巧妙に利用することによって,あたかも感染が起きていないような環境を作り出して,好中球の攻撃から回避するような感染戦略をとっています。この論文で「BopNはステルスエフェクターとして機能している」ことを見出しました。感染初期のアラートをステルスエフェクターで沈静化させることで,静かに宿主内に入り込むのではないか? という作業仮説のもとで,さらに研究を進めております。

病原細菌が積極的に作り出す「炎症反応の回避機構」は,エルシニア属細菌(IL-10を利用することが知られております)や他の病原細菌の感染現象を理解するうえでも,重要であります。また,このような感染システムを理解することで,百日咳ワクチンの新たなコンポーネント開発にも,応用可能ではないかと考えております。

興味がある方は,是非,上記サイトを訪れて下さい。

以上プレスリリースでした。