2009-11-22

それぞれが還る場所


宮崎のコロッセウム前後から風邪を引いてしまい,ほとんど運動らしいことをしていなかった。体の底からエネルギーが湧いてこない感じ。それでも少しだけ回復してきたので,バッグに柔術着を詰め込んで,ジムで汗を流した。ほぼ1ヶ月ぶりのフルメニューで,どっと疲れる。サイドから抑え込まれると息が上がってしまい,ほとんど動けない状態。相手の喉に手首を入れてエビでエスケープしようとするが,逆に腕を取られてしまい,V1アームロックで一本を取られてしまった。本来ならば絡め取られている腕をねじ上げられないように,相手の力が分散される方向にポジションを移動しなければならないのだけれど,足が動かない。指導者からは「もっと動け」と言われたが,マジ動けなかった。いつもは極まる袖車絞めも不発。それでも足首の強化は日々,怠らなかったので,足の関節技への対処は意外とできていた。そこだけが合格点か。寝る前に足首をぐるぐる回すだけだが,200回もやると,ふくらはぎがパンパンにふくれる。それをやるでけでもアキレス腱固めに効果的。何処のジムにも足関節技が得意な連中はいるので,お試しあれ。

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とにかくここ1ヶ月汗を流さなかったので,練習が終わった後は,気持ちがよかった。また,KO大学を出て就職したT君に,ジムで久々に再会。今年4月に就職した彼は,今が一番辛い時期かも知れない。実戦配備され,研修期間と現実のズレ。その乖離に直面する時期かも知れない。「今の仕事が辛いのなら,いっそのこと,自分へのリターンは考えずに,すべての利益は他人に与えてみたらどうよ」とアドバイス。自分にとって,今の仕事の価値が感じられない場合には,他人がハッピーになるように働きかければ,君の仕事は,それだけでも誰かのためになっているのだから。 あ,ついつい職業柄,若い人たちには,突っ込んでしまう。若いときには「ああ,この仕事,俺には合わないかも」と思ってしまう。俺もそうだった。しかも,給料,メチャクチャ低かったし。。。とりあえず,メシ食って,寝る場所があって,着るものがあるだけで,満足しないとね。初めの一歩は。最初は夢なんか追いかけない方が,良いと思う。夢がすぐ叶うのは,アホばかりが登場するトレンディードラマ(既に死語かな)の世界だけだ。カネをもらっているのに,夢までも欲しいのか,というのが,雇う側の論理であろう。ある程度の力がつくまでは,夢を追いかけるよりも,どん欲に生き延びる力のほうが重要だと思う。

「地に足を付けないで,夢ばかりを追いかけすぎると,精霊になってしまうぜ」

そんでもって帰りに,T君といっしょにラーメンと餃子を食べてから別れた。良い青年だと思う。今は,頑張って何とか凌ぎきって欲しい。まあ,こっちも「必殺仕分け人」から,いつ何時,自分の関与している科学研究費の縮減あるいはカットが来るか解らないけど。ライフサイエンスは政治のなかにあるものではないし,こっちの考えているビジョンの枠組みまでは,仕分けされては,ならない。現存のシステムとしては,そういう流れにあるけど,思考はその流れから完全に,漁師ジャンプ,ちがった,量子ジャンプ,している必要がある。

2009-11-19

事業仕分けの優先順位

ライフサイエンスを何故行うのか,それは個人的な情動だと思う。肉体的,生理的欲求,に近い感じだろうか。

それを如何に,国民が納得できるかたちに,変換していくのかが,デフェンスする側の力量だと思う。

感染症のライフサイエンスのアウトプットとして「感染症の撲滅」がある。ライフサイエンスに対しての予算削減は,人類の死活問題に焦点を当てて,優先事項を決定することが可能である。そしてそれは,国民の理解を得やすいかもしれない。しかしそういう動きになってしまうと,大いに困ってしまう。私の例,「感染症」を例にあげると,

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現在,再興感染症としても危惧されている百日咳を制御するために研究を行っています。
百日咳にはワクチンが有効で,その感染制御に役立っています。しかし,我が国や欧米の国々では,ワクチン接種率が高いにも関わらず,患者数が増加しつつあるのが現状であります。 新たなワクチン抗原(新規病原因子)を同定し,それらの知見を感染制御(ワクチン開発)に応用することが,研究の目的であります。

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まあ,このようなディフェンスが一般論として,展開可能なわけだ。しかし,「死活問題」まで,話を落とされると,いや絞られると,当然,「百日咳の研究」より「結核の撲滅」のほうが優先順位が高いのである。だから,百日咳よりも結核の研究をすべきだという論理は,人類の死活問題的には正しい。また,実際に多くの人々が救われるはずだ。そして,結核菌を完全に撲滅する手法を考案したら,歴史に名を残すかもしれない。

今まで,対岸の火事として「事業仕分け」を見てきたが,ライフサイエンス領域にまで,この話が及んできた。感染症を具体的な数字で換算するのは,ある意味,簡単である。WHOの資料を見て,あるいは感染症情報センターの資料を見て,世界で,あるいは我が国で,人々がどんな感染症で亡くなっているかを抽出することが可能である。そして,科研費をよりシビアに執行したいのなら,感染症死亡率トップ10の研究のみを国が推進すれば良い。多くの国民が納得できるアイディアかもしれない。そして,税金は今より有効に使われるかも知れない。

しかし,そこには,我々の「どうしてもこれをやりたい」という情動は含まれない。

私は「鈴木信太郎」の絵が好きだ。しかし誰かが,こう言ったとしよう。

「いや,ピカソのほうが資産価値があるから,君はピカソの絵を好きになるべきだ」と。。。

資産として残すのなら,もちろん,絶対的に,ピカソを選択すべきだ。

しかし,どらが好きかと言われると,私は鈴木信太郎と答える。

どちらが,好きか。
どちらを,やりたいか。どちらを,やりたくないか。

個人的な情動を数字に換算し,ディフェンスする作業も,ときとして重要であろう。しかし,ライフサイエンスの多様性をせばめることは,特に感染症について言えば,将来的に死亡率を上げてしまうことになるかもしれない。

「その将来的にとは,いつなんですか」「その根拠はどこにあるのですか」

そういったことを激しく,追求され,立ちすくんでいる自分がみえてしまう。もちろん無駄な予算削減には大賛成である。しかし,サイエンスに多様性がなかったのなら,それは非常につまらないものに,なっていただろう。野沢屋のチャーハンはおいしいが,ラーメンも餃子もあるから行くのであって,もし,チャーハンだけしかなかったら,本日の晩飯を野沢屋で食べなかったはずだ。

ライフサイエンスに対して,今後,もっと突っ込んだ仕分けがなされるかもしれない。そうなったときに,子供たちの,これからサイエンスをはじめる若い人たちの希望を奪うような仕分けであってはならないと思う。効率を優先するあまりに,ライフサイエンスの多様性に影を落とすことがあっては,ならないと思う。

2009-11-17

小さな一歩

カナダから日本に帰国して,初めてラボをもったのが1999年で,そんときはひときわ嬉しかった。中古の冷蔵庫がぽつんと2台あるのみで閑散としていたが,それはまぎれもなく,自分のラボであった。

そのときに旧北里研究所から要望のあった百日咳関連の研究をすることになった。しかもワクチンに直結するような研究をしなければならなかった。本来,ワクチン研究を行うためには,小動物を使用したパイロット試験が絶対的に必要であるが,旧研究所時代には,この枠組みを構築することができずに頓挫していた。しかし,北里学園と北里研究所が統合して「北里大学感染制御研究機構」が設置され,ようやくin vivo実験でワクチンの効果を試す枠組みができあがったのである。基礎と応用を結びつけるトランスレーショナルリサーチの枠組みが,10年かけてようやく構築されつつある。「統合」という大きな枠組みの改革は,私にとっては非常に有益な結果をもたらしてくれたと思っている。

ワクチン創製は難しいことではない。きちんと抗原デザインがうまくいって,それを大量に精製するスタッフがいて,それをin vivoで評価できるスタッフがいればうまくいくはずである。しかし,正直なところ,論文に繋がりにくい領域でもあり,抗原の精製からin vivo評価までは,私の研究室ではできない。スタッフが一人しか獲れない現状では,あまりにもリスキーすぎた。一方,ワクチンを実際に創っている連中にしてみれば,実際のin vivoでの評価がある程度なければ動けない,というスタンスであった。両者にらみ合いのまま互いの国境線を越えることもなく,長い沈黙が続いたが,「統合」という激変があって,壁や既得権が崩壊し,北里全体のなかで感染症に対する枠組みが再編成された。

今では何種類かの大量精製された抗原が,ラボのフリーザーのなかで,静かに眠っているのである。

もうじきこれらの抗原が,実際にワクチンとして使用可能なのかを本当に評価する日がやってきた。応用研究が基礎と並行して,動き出すことができたのは,北里で長い間やってこれた幸せだと思う。

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基礎研究やりたい,応用研究やりたい,しかし中間のトランスレーショナルリサーチはどうもなあというのが組織の中で10年続いたわけであるが,そこを解決してくれたのが,人材派遣の優秀なスペシャリストたちだ。半年足らずで私の要求に見事に応えてくれた。何とか,かたちになるまで,もう少しのところである。それには皆が「大丈夫だ」という想いを一つにする必要がある。それにはお互いを信じる力が必要だと思う。ということで私もプロジェクトのなかで,ちょっとだけバージョンアップしたかな。。。

もちろん,ありがとうを言うのは,ワクチンができてからの話だけれど,ワクチンプロジェクトの小さな一歩に感謝です。

2009-11-14

喪失感とPRAMクリア

ここ最近の出来事。

先日,This is itを観ました。このドキュメンタリーを観た直後のマイケルジャクソンの喪失感は,私にとってはごくごく普通の反応であったと思います。「ああ,ビッグスターが,また一人亡くなった」という通常の感情でした。しかし,日を追うごとにその喪失感が大きくなっていくという自分にとっては理解できない出来事になっています。フラッシュバックのように,元気だった頃の彼の笑顔がよぎるとき,感情の流れを制御するのが困難になります。私はそんなにマイケルジャクソンを崇拝していたわけでも,ありません。しかし,喪失感の大きさに戸惑いを感じるこの頃です。先日,夜中にふっと目を醒ましました。そんなときにマイケルが放った言葉,「大丈夫,きっとうまくいく」が,映像とともに,ばーっと飛び込んできて,体全身が安心感で満たされました。ティーンエイジャーでもあるまいし,しかし,マイケルを失った喪失感は,ここしばらくは止まりそうにもありません。しばし,この感情に身を委ねることにします。

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先日,アップルのマジックマウスを購入。スクロールボタンがないので物理的にゴミがつまる心配もなく快適でした。ところが先日,システムをアップデートしたら,うんともすんとも動かなくなりました。そして,bluetooth対応のキーボードも使用不能となりました。リスタートしてもだめで,電池を入れ替えても動きません。しょうがないので有線?マウスとキーボードをごそごそと出してきて使用していたのですが,キータッチも慣れないし,有線マウスの使用感は最悪でした。本日,おまじないであるPRAMクリアをやってみようということになりました。再スタート時に「オプション,コマンド,Pボタン, Rボタン」の同時押しで,再スタート音がもう一回余分に聞こえるまで,押し続けます。あら不思議! 全てのbluetooth機器が正常に認識されました。UNIXベースになった今でもこのコマンドは,健在なのですね。。。ちょっと意外でした。ということで,マジックマウスが認識できないというトラブルに見舞われている方は,是非,お試し下さい。今は,快適な生活を送っています。

2009-11-11

論文レビュー

研究者の仕事の一つとして,論文のレビューがあります。論文レビューを依頼されるのは,非常にありがたいことであります。最初はIFの低い雑紙より依頼が来ますが,ある程度数をこなしていくと,レビューする論文のクオリティーも上がっていきます。ただし,IF10ぐらいの雑紙から論文レビューが来るようになったのは,ごくごく最近の出来事ですが。。。ということで,日々,何処かの雑誌の論文レビューをしていることになります。そして,締切に追われることになったりします。

レビューで気がついたことを書きます。

1 結論にディスカッションを盛り込まない。
どうしても入れたい場合は,少しだけ述べて,ディスカッションで考察すると書いて欲しいです。

2 ディスカッションに結論,イントロを入れない。
これは非常に多くの論文で,繰り返される悲劇です。「結論の繰り返し」は極力避けて,考察のみを書いて欲しいです。ありがちなのはディスカッションの冒頭部分で延々とイントロが繰り返され,結論のリピートがあってから,やっとディスカッションに行き着くスタイル。もちろん,良くない例として,述べております。
しかし,どうしても意気込みすぎて,ディスカッションが重複する場合があります。書いている本人は,愛着があるあまりにバサッと削れない。まあそれが普通だと思います。そのため,共著者に general audience の視点から論文をみてもらうことは重要だと思います。まあ,書いている本人,あるいは指導者が頑固な人だったりすると,第3者の意見は無視されて,ひどい内容のままでレビュープロセスに回され,「何が書いてあるのかわからない」みたいなコメントを共著者に回覧することになりますので,「問題はどこの時点で恥をかくのか?」に尽きると思います。genaral audienceとしての共著者を大切にしましょう。あとはかけ離れたディスカッションもありがちですが,あんまり盛り込みすぎると「じゃあ,この論点をきちんと実験的に証明しなさい」みたいな突っ込みが入るので,ファンタジーをディスカッションに入れるのは禁物です。

他人にレビューされ,また,レビューすることによって,研究領域のコミュニティーが成立するのですから,ある程度の作法は重要だと思うのです。

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なんて,偉そうなことを書いておりますが,自分なりの論文のスタイルが確立されたのは,そんな昔ではありません。しかし,スタイルが確立される過程も,楽しいと思います。

2009-11-10

データ整理術



年も暮れに近づいてきました。今年の溜まった書類も窓枠に届きそうな勢いです。こういった書類たちは,窓枠に到達すると,下の地層から順番にセキュリティー会社へ送られ,強アルカリで完全溶解され,再処理されます。また,重要な書類はPDF化され,保存されることになります。以前は,せっせとファイリングしていましたが,ある日,溜まったファイルはほとんど使用されないことに気がつきました。ということで,このような「古い地層から溶けていく方式」を採用しました。

私は超ズボラなので,ほとんど手書きの文書を提出しません。2度以上使うと思ったひな形は,必ずPDF化して,再利用しています。大学内の申請書のほとんどはワードファイルになりましたので,便利になりましたが,ひな形がないものはスキャンスナップというスキャナーでPDF化しています。アクロバットで日本語認識が可能なので,ハードディスクのどこかにしまったファイルの内部検索も可能です。もちろん,ささっと事務に提出したほうが,はやい場合がありますが,手書きだと後に証拠として残りませんし,記録を残す意味でも,極力,電子化しています。

自分の字は,どちらかというと大人げない字です。まるで中学生が大きな字で,がつがつ書いた感じです。もし,字がうまかったら,きっと,たくさん,手書きの文書で提出したことでしょう。オマケに筆圧が高いので,長時間,たくさん手書きをすることは苦痛です。また話は飛びますが,筆圧の高さを軽減する意味で,万年筆は手放せません。

結局の話,ヒラギノよりも美しい字をかけるのなら,私はもっと手書きで色々なことをしていたと思います。コンピューターがパーソナル化されて一番喜んだのは,字がへたな人間ではないでしょうか。まあでも,論文を最後の段階で推敲するのは,手書きです。コンピュータだと論文のなかの重複部分が,なかなか抽出できません。

それでは〜。

2009-11-09

This is it

本日は大学の祝日でした。ということで,六本木にある映画館に行ってきました。お目当ては,This is it. 映画にいくのはかれこれ10年ぶりになるでしょうか。週末は娘と一緒にチキチキバンバンをDVDで観て,本日は本物の映画館です。ちゃんとポップコーンとかがあって,バターソースもかけて,久々なのでプレミアシート。

マイケルジャクソンのダンスは,鞭のように体がしなり,ばしっと止まるところは,止まる! 俺の年代は誰もがムーンウォークに挑戦したはずだ。50とは思えない体の動き。すごかった。生きていて欲しかった。驚いたのは,あれほどの彼が,リハーサルではとてもフレンドリーで謙虚で,何よりも観客にこたえるべくベストを尽くしていたことだ。彼の伝えることができなかった思いが,残された映像を通して,ヒシヒシと伝わってきた。

映画館を出て,しばし虚脱状態。。。そこで大学まで歩いて帰り,腹が減ったので,モーリーのお店,バーガーマニアで, メキシカンバーガーを注文した。うまかった。

おいしいハンバーガーで心を落ち着けた後,ラボに向かう。そこで,溜まっていた論文のレビューを粛々と進める。

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彼はフレンドリーで謙虚で,音楽を熟知していた。。。
そんなナレーションが心をよぎる。

夕方になって,やはり腹が減ったので,大学の近所の野沢屋で肉野菜定食を注文した。これもうまかった。こまごまとしたことを終えて,前線基地に戻り,またラボに戻ってシャワーを浴びた。かなり本質的に重要なことを忘れていた。。。休日・祝日は,お湯がでない! ということを。しかし,もうシャワールームに入ったあとなので,気合いを入れて,冷たい水に打たれる。顔を冷たい水で洗って,石けんですばやく体全体を洗って,シャワールームから飛び出す。それからキックボードで前線基地に後退。冷たくなった体を温めなければ。。。

お金は研究のために使って,ほとんどないんだよ。。。

家に帰ると,娘がまたチキチキバンバンを観ていた。
上記のようなセルフが耳に飛び込んできた。

どうでもよいですが,正確な発音は,Chitty Chitty Bang Bangで,
非常に歌いにくいっす。それでは〜

2009-11-08

関東支部総会

本日、大学は停電です。一応、フリーザー等がバックアップ電源に繋がれているかを確認しました。

先週、細菌学会の関東支部総会がありました。目だったのは感染研の先生方の発表が多かったことです。情報交換会では、感染研をテーマにして情報交換することにきめました。まずはマユ毛がヒクソン グレイシーに似ている大西先生に色々なお話を伺いました。それから石原さん。EspFuのお話、おもしろかったです。共同研究ヨロシクお願いします。
それから、インターラボセミナーを北里大学にて開催します。詳細はまた次回に連絡しまーす。

やはり携帯から発信するのは大変ですが、どこからでもブログをアップできるという利点があります。これからPTA関連で小学校にいきます。
それでは〜

2009-11-01

代官山 ミケランジェロ

ハリウッド ランチ マーケットで久方ぶりにパーカーを購入しました。ここのパーカーの適度な保温性が気にいっています。これから数年間、着ます!

それからミケランジェロで遅めのランチ。カプチーノ、美味しかったです。

HRM

パーカー買いました!

ハロウィン




10月31日はカボチャ祭り,もとい,ハロウィン!

子供たちが驚喜乱舞する一夜です。ケルト人の収穫感謝祭がはじまりとされています。子供たちにとっては怖いメークで仮装し,カボチャマークのあるお家を訪ねて,”Trick or treat”と叫ぶとお菓子が貰えるのですから,こんなに興奮する行事もないと思います。うちの小学校低学年の娘にいたってはハロウィンに備え,お菓子とジュースはとらないと高らかに宣言し,かなり禁欲的な生活を送っていました。そしてハロウィンでは,「とめてくれるなおっかさん」てな感じで,お菓子の食べ放題でした。。。

広尾・麻布の大使館周辺にある高級マンションも,この日ばかりはオープンなところも多かったです。多くはフロントまでですが,なかにはマンションのコンシェルジェが案内してくれて,階上に連れて行ってくれるところもありました。銀鏡加工されたエレベータには,フロアを示す小さな発光ダイオードがちかちか点滅し,何の音もなく目的のフロアに到着。そこにもコンシェルジェがいて,こちらでございますと案内される。仮装しているうちら家族が現実にかえってしまうような雰囲気。娘も前線基地との違いをかなり激しく察知してか,静かになります。

「こちらのお客様が,Trick or treatでございます」
「有り難く頂戴致します」

うやうやしくキャンデーを頂くというのも親にとっては,良い社会見学になりました。

ということで留学以来のハロウィンでしたが,大学近辺では盛り上がっていました。


追記:

写真上段: カボチャマーク。すなわち,お菓子マーク!
写真中断: 夜にもかかわらず,子供たちがわんさか繰り出しています。
写真下段: ブラジリアン柔術エディション。即,実戦可能な状態です!

第三回若手コロッセウム報告


今週の月曜日から水曜日にかけて,第三回若手コロッセウムが宮崎にて開催されました。会場のサンホテルフェニックスはシーガイアのなかにあり,シーガイアというエリアはとてつもなく広すぎ。まわりにコンビニもなく,リトリートには最適の場所。今回の世話人は林哲也先生(宮崎大学フロンティア科学実験総合センター)で,林先生の個性が随所に感じられる素晴らしいワークショップでありました。また,情報交換会はバスで移動して,タイレストランで行われました。グリーンカレーおいしかったです。コップンカ! 林先生のホスピタリティーに感動したワークショップでもありました。

会場の熱気は堀口さんのブログにて既に紹介されてしまったので,ピンポイントでの講演内容をご報告です。

教育講演は,東工大の丸山史人先生による「高速シーケンサーの現状と細菌学への応用」というタイトルでありました。普段は丸山先生ではなく,マルちゃんと呼んでいるのですが,そして,結構,飲み会にも行ったりしているのですが,高速シーケンサーは大変なことになっているというのを実感しました。DNAポリメラーゼを1分子くっつけた次世代シーケンサーの紹介とか,ゲノム情報でのデータストレージの問題とか,面白いトピックスを紹介して頂きました。次世代シーケンサーについては,これまでの概念が通用しないということをしっかり認識しました。コンピューターの電気代が2億円以上で,ドライはドライなりに資金投入が必要であることも実感しました。ワークショップでも,トランスクリプトーム解析で接合伝達に関連する遺伝子の動きをダイナミックに解析する研究成果の発表(東北大学・宮腰昌利先生)があり,こういった手法はエフェクターの同定にも応用可能かなと思いました。

もう一つの教育講演は,京都大学の跡見晴幸先生による「第3の生物界アーキア」というタイトルでした。アーキアは古細菌とも呼ばれますが,跡見先生は主に超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensis KOD1を使って,研究を行っております。跡見先生は中学時代の途中までを米国で過ごされ(シカゴ4年,ニューヨーク7年),いわゆる帰国子女であります。情報交換会の席上で,「跡見先生,かっこ良いじゃないですか」と単純に私が質問すると,日本語が理解できなくて,野球とアメフトというコミュニケーションがなかったなら,米国に戻ったかもしれないとおしゃっていました。日本というか日本語というか,この国の文化圏は難解なのでしょう。まあしかし,それからの研究生活はルンルンであったと思います! 英語ネイティブ,やっぱ羨ましいなあ。。。ちなみに私は福島訛りの英語です! 跡見先生は酵母の世界に11年いて,私も酵母の世界にトータル4年ほどいたので,お互いのバックボーンが共通なので大いに話が弾みました。また,ゲノム情報を有効利用して,超好熱始原菌の代謝経路をひとつひとつ情熱をもって解析していく先生のお姿は圧倒的でした。跡見ワールドによる始原菌の代謝系の美しさに目を奪われるばかりでした。私は薬学出身なので,代謝とか生合成経路の話はたくさん聞いてきたのですが,跡見先生の話は次元が違いましたね。くどいようですが,ミニマムな代謝系のなかに秘められた美しさを,先生独自の視点から丁寧に紡いでいく実直な姿勢に感動しました。また,古細菌という日本語名にだまされますが,転写系・複製系は真核生物そのもので,プロモーターにはTATA box があり,真核生物の原始的なモデル系としても注目されています。先生の酵母(真核生物のモデル系として)での11年間は,超好熱始原菌の研究においても応用可能であったわけで,例えば栄養要求生による変異株取得の方法とか(高熱杉でアンプ耐性で選択できないっ),これまでの研究背景が古細菌領域でも大きく開花したというストーリー展開も,鳥肌が立ちました。

林哲也先生,そしてスタッフの皆さん,本当にありがとうございました!
さあ,次は誰が世話人となるのでしょう。。。

次のコロッセウムに乞うご期待!