研究者の仕事の一つとして,論文のレビューがあります。論文レビューを依頼されるのは,非常にありがたいことであります。最初はIFの低い雑紙より依頼が来ますが,ある程度数をこなしていくと,レビューする論文のクオリティーも上がっていきます。ただし,IF10ぐらいの雑紙から論文レビューが来るようになったのは,ごくごく最近の出来事ですが。。。ということで,日々,何処かの雑誌の論文レビューをしていることになります。そして,締切に追われることになったりします。
レビューで気がついたことを書きます。
1 結論にディスカッションを盛り込まない。
どうしても入れたい場合は,少しだけ述べて,ディスカッションで考察すると書いて欲しいです。
2 ディスカッションに結論,イントロを入れない。
これは非常に多くの論文で,繰り返される悲劇です。「結論の繰り返し」は極力避けて,考察のみを書いて欲しいです。ありがちなのはディスカッションの冒頭部分で延々とイントロが繰り返され,結論のリピートがあってから,やっとディスカッションに行き着くスタイル。もちろん,良くない例として,述べております。
しかし,どうしても意気込みすぎて,ディスカッションが重複する場合があります。書いている本人は,愛着があるあまりにバサッと削れない。まあそれが普通だと思います。そのため,共著者に general audience の視点から論文をみてもらうことは重要だと思います。まあ,書いている本人,あるいは指導者が頑固な人だったりすると,第3者の意見は無視されて,ひどい内容のままでレビュープロセスに回され,「何が書いてあるのかわからない」みたいなコメントを共著者に回覧することになりますので,「問題はどこの時点で恥をかくのか?」に尽きると思います。genaral audienceとしての共著者を大切にしましょう。あとはかけ離れたディスカッションもありがちですが,あんまり盛り込みすぎると「じゃあ,この論点をきちんと実験的に証明しなさい」みたいな突っ込みが入るので,ファンタジーをディスカッションに入れるのは禁物です。
他人にレビューされ,また,レビューすることによって,研究領域のコミュニティーが成立するのですから,ある程度の作法は重要だと思うのです。
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なんて,偉そうなことを書いておりますが,自分なりの論文のスタイルが確立されたのは,そんな昔ではありません。しかし,スタイルが確立される過程も,楽しいと思います。