2009-05-17

Kitasato Institute for...

昨日,オープンラボが無事に終了しました。昨年より学生の数が増えているので嬉しかったですね。学生の前で各教授が2分間のプレゼンを行いましたが,やりすぎなのでは,と思うプレゼンもありました。企業への就職率をやたらアピールするのは,如何なものかと思います。修士1年の秋頃から本格的な就職活動が始まり,それが翌年の春頃まで続きますので,実験ができるのは正味1年。実験どころではない,のが学生の本音でしょう。「あのラボに入れば就職に有利」というのは学生にとって,おいしい話です。しかし,我々は Kitasato Institute for Life Sciences に属しているのであって,Kitasato Institute for Get A Job に属しているのではありません。もし,学生がよりよい就職を考えているのなら,旧帝大系の名の知れた大学に入って名の知れた教授のもとへ,大学院生としてもぐりこむことも,選択肢のなかに入れるべきでしょう。北里はライフサイエンスでは名の知れた私学かもしれませんが,慶應などと比べるとブランドイメージは低いのです。慶應がすごいと感じたのは,薬学部ができたときに,受験者数が私学の中ではダントツだったことです。ヴィトンがあたらしいバッグを出せば,それに群がるようなブランド力の強さ。それが今の慶應にはあります。ということで,私学のライフサイエンス系大学でも上はたくさんいるのです。

結論として,就職を主眼とするのなら,別にここにこなくても良いのです。じゃあ何が北里の強みなのかというと,北里は基礎と応用のコラボが強力であるという点です。自前でワクチン創れる大学は世界中のなかでもそんなにないと思います。また,大学の感染制御研究機構も稼働し,我々のラボに関連したプロジェクトとしては,百日咳ワクチンの共同研究が動き出しています。大学の生き残りをかけた競争が熾烈化していくなかで,大学の個性を強く打ち出していくことが重要になってきますが,「ワクチン創製」は一つのキーワードになりそうだと思っています。

オープン・ラボは学生確保の場ではなくて,自分たちの研究をアピールし,それで興味をもった学生がいたら,「まじでやる気があるのなら来てもいいぜ。ただしハードワークだぜ」ぐらいの軽い気持ちで良いのではないでしょうか。ハード・ワークは学生確保の禁句ですが(笑),1年で修論をまとめなければならない現状を考えると,遊んではいられないという事実があります。また,学生が「ハード・ワーク=辛い」と思う感覚は,間違っていると思うのです。ハード・ワークで完全燃焼して「ああ,今日はやれるだけのことはやった」と寝床につくのは快感でもあります。しかし,変な方向性の間違ったハード・ワークは辛いです。「こんなことやって何になるんだ。馬鹿じゃないのか?」と,私も学生の頃に思ったことがあります。そうなると研究が辛い。自分が納得できない理不尽な研究が辛いのであって,ハード・ワークが辛いのでは,ありません。研究室を徹底的にリサーチして,学生の皆さんが楽しくハードに実験できる環境を選んでほしいですね。いっしょに感染制御を目指していく仲間として,学生がうちのラボにくることを期待しています。ということで,「確保」はしたくはないのです。

ぐだぐだ書きましたが,俺的にはテンション下がったオープンラボでした。。。ま,人生,雨の日もあります。
Can you stand the rain?