2008-03-14

第5回 森村豊明会奨励賞: 片桐岳信先生

第179回北里研究会にて,第5回森村豊明会奨励賞受賞者特別講演会がありました。今回の受賞者は,埼玉医科大学ゲノム医学研究センターの片桐岳信先生でした。受賞内容は「骨誘導因子(BMP)シグナルに基づく生理的および病的骨形成の解明」です。

僕がM2のときに,片桐君は3年生で,研究室が少しだけだぶりました。清潔そうな白いシャツにジーンズ,それにスタジャンというスタイルで,テニスが抜群にうまい好青年でした。その片桐君にプラスミドの構築を少しだけ教えました。彼はどんなに小さな実験でもすごく愛着をもって実験をしていました。なんと,当時の彼の研究内容も骨誘導因子(BMP)でした。彼は実直に研究を進め,というよりは愚直に研究を進め,骨形成の世界で重要な成果を出しております。修士のテーマにしては壮大すぎると思いましたが,彼は機関車のように前進し,今の地位を築いております。

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片桐先生は,昨年,教授に就任され埼玉医科大学ゲノム医学研究センターの牽引者の一人として邁進していくことでしょう。片桐先生は3つ年下ですから,気がつけば40を過ぎていることになります。講演会での見事なプレゼンを聞きながら,あっという間に月日が過ぎてしまったような感じがしました。自分と同じ大学の卒業生が頑張っているのをみるとやはり嬉しいですね。

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ということで,片桐先生をみていると,やっぱ,重要なのは明るく前進していく力だと思いました。どんなに優秀な奴でも自分で歩かなかったら研究は進まない。まあ,そんなの当たり前だと思うでしょう。でも僕は今まで飽きるほど,「それをやっても,こうなるって論文に出ているので,やってもしょうがないです」という台詞を何度も聞いております。歩き疲れたなかに研究の発見があり,歩かなければなにも得られない。一方,情報って,歩かなくても,今では図書館に行かなくても,とれるじゃないですか。調べるだけで,自己満足のなかでやったような,自分ではすごいことを知ったような気分になれるのが,今の時代の怖さだと思います。

片桐先生の講演を拝聴し,研究者としての原点をかいま見た感じがしました。

これからもお互いに頑張ろう!