2010-01-01

2009を振り返って


明けましておめでとうございます。

ある偉大な僧侶は,年が明けることを,大いに悲観したといいます。僧侶の精神性の拡がりと比較して,到達しようとする境地がまだまだ遠いところにあることを実感すると,年が明けることになんの喜びも見いださなかったのでしょう。研究者もこれに近いものがものがありますね。まあそれでも,前に進まなければなりません。

2009年の年頭所感はこんな感じでした。自分なりのマニフェストが到達されたのか,検証したいと思います。

我々の当面の目標であった「ボルデテラ属細菌はどのような戦略でIL-10を利用しているのか」については,BopNという細菌の分子が関わっていることを明らかにしました。マクロではこの分子の働きによってIL-10が産生され,結果的に感染局所の炎症反応が抑えられることになります。宿主側では通常,炎症反応がアラートになって感染局所に総攻撃をかけるのですが,ボルデテラ属細菌ではこのような反応を抑制し,感染の足場を確立します。マクロの大筋は見えてきたので,次はミクロレベルで何が起きているのかを突き止めなければなりません。大きな課題が残されていますが,進むべき方向は見えていますので,あとは突き進むだけです。

長年の目標であったスタッフ枠の拡充は,北里大学感染制御機構が本格的に動き出し,特別研究員の金木さんが新たに加わりました。現在,彼女は百日咳の新規コンポーネントの探索を行っております。ワクチン抗原のin vivo評価系がようやく動き出して,これから本格的に新規コンポーネントの探索に入ります。アウトプットが求められる研究領域なので,ガチンコ勝負です。ガチでぶつかりあって,ようやく結果が見えてきました。徐々にではありますが,スタッフも増えてきました。
まあでも私が望むのは,恒久的なスタッフ枠の増加です。自分がリタイアするまでに何人のPIを出せるのか,冷静に考える必要があります。現状ではうまくいっても,せいぜい3−5人だと思います。自分からもっと積極的に動いていく必要があると思っています。これについては,継続課題です。

そして,今年は年頭から,スタッフの大きな移動があります。これまで当ブログでも登場してきた永松さんは,1月半ばにハルトグレン教授のラボに留学します。留学という一つの機会を通して,PIとして独立するための基盤を作って欲しいと思います。そして,スェーデンに留学していた桑江講師が3月に帰還する予定であります。大きな入れ替えを通して,ラボもリフレッシュすることで進化していきたいと思います。新年度より学生さんの新規参入がないのは残念ですが,細菌の感染戦略に興味をもっている学生さんがおりましたら,何時でもラボ見学に来て下さい。そして,将来,プロを目指している方,歓迎します。

ここからは個人的なこと
今年は自分の身体のさらなる進化がみられるでしょうか。肘関節が痛いです。年末にアームロックを完全に極められて,今は静養中です。プロならともかくも,早めのタップが重要ですね。今年は内臓機能の強化を図りつつも,心肺機能の強化を徐々にトライしていきたいと思います。最近は若手の成長がめざましいので,きちんと練習に付き合って頂くためにも,今までの漫然とした練習内容を変えていくことが重要です。これについてはビデオを購入し,スパーリング中の動きを解析して行きたいと思います。頑張ります!

最後になりましたが,皆様の研究のご成功をお祈りして,新年のご挨拶とさせていただきます。

註)ジャンプしているところを撮るのは,大変でした。。。