久留島君は修士課程から,ここのラボに入った学生である。ガンダムのアムロ似で物静かな学生であった。当初,久留島君はヒキが弱く,苦労の連続であった。それをハードワークでカバーし,修士2年になってから,ポツポツとデータがではじめた。今回,彼の研究内容をMicrobiology and Immunologyという雑誌に投稿。最初のリバイズでかなりの追加実験を行い,2度目のリバイズでレビューワーに向けた実験結果をサプリのかたちで提出。3度目のリバイズで,ようやく文言の訂正のみで留まり,最終的に,めでたくアクセプトになった。私がエディターをしているから楽に通ったという内容ではない。また,レビューワーのコメントは,まさに痛いところを突いてきており,ぎりぎりまで時間を使って何とか投稿することができた。こっちも死に物狂いであった。過去のMicrobiology and Immunologyではないことを実感。採択率は2割を切っているから,我々もその洗礼を受けたことになった。
きちんとオンラインに掲載されるまでは,詳しいことは言えないが,とても不安定なエフェクターに関する研究である。エフェクターの不安定性に関わる領域はどこか?ということに着目し,研究を進め,結果的に安定なエフェクターのデリバティブをとることに成功した。安定なデリバティブを使って実験したところ,そのエフェクターは細胞内のある特定の領域に局在したというストーリーである。エフェクターの機能をクリアに提示できれば,もう少し質を上げることができたが,私の指導力不足で,最後まで詰めきれなかった。
ちょっと難航しそうな雰囲気が漂い始めたので,早めに論文にしようという事になった。ということで,D1の夏休みを論文作成に費やしてもらって,9月の半ばにオンライン投稿のボタンをポチっと押した。論文作成のイロハを教えるのは楽しい。次も楽しみながら論文を出したいですね。当初のヒキの弱さを,まじハンパねえ実験量で強引にヒキよせた彼の努力は評価したいと思います。また,それがアクセプトにつながって,本当に嬉しいです。
そして,うちらがMicrobiology and ImmunologyのIFを引き上げます!
たぶん。
たぶん。