先週の金曜日は,第48回日本放線菌学会学術講演会にて「新たな薬剤標的としての病原細菌の分泌装置」というタイトルで話をしました。大学院修士までは放線菌関連の研究室,大村智先生のラボに在籍していたので,放線菌関連の先生方には色々なことをご指導頂いたという経緯があります。大学院修士までは,B型肝炎ウイルスのHBsAg (表面抗原)の培養細胞での発現手法の開発を行っており,放線菌関連のラボで,まったく異質なことをやっていました。ハイブリッドな背景で育ってきましたので,III型分泌装置阻害剤の研究も自然な感じで,構築されていった感じがあります。ということで,放線菌学会の学術講演ではこちらの話をしました。このあたりの話も論文にして,がつんと出さなければ。。。
今回は,ちょっときつかったですね。阪大微研セミナーの翌日は,企業との共同研究の打ち合わせ。これで水曜日の午後が全部吹っ飛んで,木曜日の一日で微研で行ったセミナーとはまったく別なストーリーを組み立てなければなりませんでした。以前に使用したプレゼン資料があるのですが,それなりにカスタマイズしていかないと,聞き手に響かないですから,ああでもない,こうでもないと,やはり時間はかかりました。それ以外にも大学基準協会の資料作成とかで,ぐだぐだになりながらの,プレゼン準備でした。
応用研究については抵抗がないので,企業と共同研究が組めるのですが,論文が契約の関係で出せない時期がありますので,注意が必要です。それに受託研究費の獲得は,世間では純粋に評価されないと思うのですね。競争的資金ではありませんし,ヒモつきですし。。。多くの大学で企業との共同研究を推進していますが,受託研究費はインセンティブにはならないということを認識した上で,やって欲しいですね。結局,研究者は論文書いてナンボの世界なので,それでしか評価されませんので,任期制教員としては応用研究はリスキーな選択なのです。まあでも自分たちのやってきたものが,薬剤なり,ワクチンに繋がれば,嬉しいことだと思います。
ということで,第48回日本放線菌学会学術講演会の当日。目黒と五反田の中間当たりにある会場にタクシーで移動しました。シンポジウムで面白かったのは,「リボソームタンパク質を指標とした質量分析法によるバクテリアの系統分類」で,寺本華奈江先生(日本電子(株)開発本部)によるお話。マスでこんなことができるの? という目から鱗なお話でした。その他のタイトルも,非学会会員の私でも楽しめるお話でした。お世話頂きました理化学研究所の植木雅志先生,武蔵野大学薬学研究所の市瀬浩志先生に深く感謝いたします。本当はシンポジウムを聞いたら,ステルスモードで早々に退散しようかと思っていたのですが,マスの話や,まあ何か嗅覚的に惹かれるものを察知したので,最後までここにいようと決めました。懇親会の席上で,何と,私のブログを頻繁に訪れて下さっている独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 食品バイオテクノロジー研究領域 生物機能解析ユニットという非常に長ーいご所属の,岡本 晋先生とお会いしました。その岡本先生が非常に面白い研究を行っていて,「今度,共同研究を行いましょう」という展開になりました。岡本先生は私と同じ誕生日で,おまけにサウスポー。ブログで私の過去?を知っているので,二次会の居酒屋かあさんでは,大いに盛り上がりました。ということで最後までいようと思ったのは,ビンゴでした。あと,東大の加藤淳也君(イェール大学医学部細菌感染部門ポストドクトラルフェロー)の後輩に会えたことも楽しかったです。みんな良い眼力を持っていました。
他学会に参加しても,旧知のように話が展開するというのもブログの効果でしょうか。昭和系ブログで,学生さんを惹き付ける魅力に乏しいのかも知れませんが,これからもつれづれなるままに書いていこうと思います。今後とも宜しくお願いいたします。