2010-05-06

コミュニケーション能力=ググる能力?

いつの世にも,企業が求めているのは,コミュニケーション能力に秀でた人材である。これは不況になっても変わらない重要なファクターである。

しかしながら研究領域について言えることは,コミュニケーション能力がなくてもググる能力があれば,ある程度,何とかなってしまうことだ。これは悪いことでも何でもなく事実としてこうなっていることにすぎない。大抵のことはインターネットで検索することで何とかなってしまう。郵便番号や電車の運賃とか,論文のIFとか,プライマーの設計とか,本日の運勢とか,まあ調べれば何かは出てくる。当然,隣の奴に聞くよりも便利だ。しかも,「そんなことも知らないのか」と反論されもしない。自尊心を保つこともできる。

以前は何か判らないことがあると「じゃあ〇〇先生に聞きましょう」となった。電話では失礼だからアポをとって直々に伺うとか,その時に手ぶらではなんだから菓子折りを持っていこうとか,色々なセットアップが必要となるわけ。そんでもってお世話になった後は,電話では失礼だから,お礼状を出そうとか,用件が終わった後にもそれなりの作法が求められる。そのような一連のなかで必要とされるのがコミュニケーション能力であって,ググる能力ではないのである。もっともこのような作法も,ググることで,詳細な情報を引き出すことが可能であるが,実際に人とあって実践しなければコミュニケーション能力を鍛えることは難しい。

コミュニケーション能力を極力省くようなシステムを作っておいて,コミュニケーション能力は重要!というのは,ちょっと可哀想な感じもするが,まあ面倒な世の中になったと思う。しかし逆に言えば,相手が尽くしてくれたことに対して,質量保存の法則を適用することで,もっと生きやすい環境を自ら構築することが可能である。

相手があなたに対してどれだけの時間を使ったのか? それと同じだけの時間を使って,あなたは礼を尽しているのか,そこを確認するだけでもコミュニケーションのスキルアップに繋がると思う。以前,若手の先生と飲みに行ったことがありました。しばらくして葉書による礼状が届きました。私はその先生に,飲み会翌日にe-mailでお礼を出したのに「あいつは返事もだせないのか」とプチ切れしていたところに,奇麗な字で返事が届いて「ああやられた」と思いましたね。嬉しい誤算は,印象をさらに強めることになります。ぐだぐだと書きましたが質量保存,あるいは質量倍返しの法則で,あなたもハッピーライフ間違いなしです。