2010-02-17

レビューシステム

あるあるあるー(堀口さんとの連動企画です)。 いや本当に論文のレビューシステムが崩壊しつつあるなーと思いますね。先日,うちらがリジェクト喰らったCM(細菌の世界では一応,名の通った雑誌。IFもまあまあ)では,BopCエフェクターの論文であるにも関わらず,BopNの研究(我々がJEMにだしたもの)で我々が詰めていなかったことをコメントしていたり,馬鹿かと思いましたね。これではどんなに頑張っても,論旨から完全に外れたところでリジェクトされるという,つまらない結果になりますよね。あと,きちんとした方に英文校閲を頼んでいるのにも関わらず,「English is often awkward and should be revised throughout the manuscript. 」とか。

このような背景には,終身雇用権の熾烈な争いも起因しているのかも知れないですね。あいつの論文通ったら,ちょっとまずい,みたいな。また,匿名であるがゆえにピア レビュー制度がきちんと機能するというのは過去の話であって,今は匿名であるがゆえに,とんでもない要求をばんばん押し付けて,まあいってみれば,単に遅らせること,リジェクトすること,を念頭においたコメントが横行しているような感じがします。もう少し一般常識を働かせて,コメントを書いて欲しいですね。

私がレビューワーとして見るときには,きちんとコントロールがとれているかどうか,私のコメントによって,レビューしている論文の確かな質的向上が見られるのか,この2つを柱にしてレビューしています。また,名前を入れられる場合には,極力入れるようにしています。

CMでのコメントには,非常に良いサジェスチョンもありました。また,実際に我々の弱点をついていることもあり,今回はリジェクトを承諾しました。もっとも,リジェクトのほうが断然多いので,リジェクトでメゲることはありませんが,何か質的に落ちてきたというか,「本当にこのレビューワーは,論文の質的向上に貢献しているのだろうか」というコメントが目立ちます。特に,細菌の病原因子と宿主応答を交えた研究は,病原因子と相互作用する宿主側因子を同定しないとだめだとか,FACSでもっと解析しろとか,2重の突っ込みどころ満載ですから,今後は,病原因子と宿主応答の箇所は,戦略的に切り離して作成しないとやばいかなと思いました。

CMに出した論文もきっちり,落とし前をつけるので,ヨロシク。もっと良い論文を書いて,もっと突き落とすしか,ないですよね。まあ,俺も任期制だし,このまま引き下がったらこっちの人生もやばいので,かなり火がついたぜ。ありがとう。しっかし,レビューワーの馬鹿コメントで,研究の領域がつまらなくなってしまうのは,大いに避けたいですね。研究というのは益々,生産性とか,効率性とか,かけ離れたところにあるのを実感しました。まあ,こういったことがあるからアクセプトされたときには,すごく嬉しいのですが。。。サイエンスに要求されるのは実験能力よりも,こういったことでフルボッコされても,明るく立ち上がれる能力だと思います。明るい修正力が必要です。

レビューワーが匿名なら,出すほうも匿名で良いのでは。

審査が終わった時点で,著者を公開するシステムはどうよ。まあでも関連論文でバレバレか。レビューワー匿名のほうが有利だわな。 

寝る!