2019-09-01

夏から秋にかけてのテント泊縦走: 2019 アップデート

8月に屋久島・宮之浦岳をテントを担いで縦走してきました。今回は夏山装備の集大成とも言える内容で出かけました。ちなみに水を抜いてトータル 11 kg でした(2泊3日の食料含む)。屋久島は水が豊富なので行動中は 2 L もあれば安心です。

ここでは夏山テント泊を基本としておりますが衣類を追加することで,秋山にも対応可能です。どんな装備で屋久島・宮之浦岳に登ったのか解説したいと思います。

黒味岳でのご来光。


A. デフォルトで必要なもの
  1. 登山靴 (個人的にはグリップ力がとても高いモンベルのアルパインクルーザー2000を愛用しております。アッパーは 2.2 ㎜ 厚のヌバックレザーを使用し,それにゴアテックスファブリクスを組み合わせた登山靴です。皮革製にも関わらずツオロミーブーツとほとんど変わらない重さは評価できます。ツオロミーブーツはトータル 200 km ぐらい歩いたところで浸水してきたので,防水性を考えるとヌバックレザーを採用したアルパインクルーザー2000が優れていると思います。)
  2. バックパック(当初,グラナイトギアの Crown V.C. 60 を使っておりました。次にグレゴリー・パラゴン 68 に変えました。重さが 1.4 kg で 68 L の容量は凄いなと思いましたが軽量化のためかフレーム剛性が今一つで,パックの揺れを感じました。これが微妙に疲れのモトになるんですよね。。。なので,現在はミステリーランチの Terraframe 50 を利用しております。3-ZIP 方式なので奥の方にある荷物も取り出すことができます。Crown V.C. 60 やパラゴン 68 だと奥にある荷物は,「ま,良いかなあ」と諦めてました。なにしろ上にあるスタッフサックを取り出してから下までたどり着くのに難儀します。Terraframe 50 だとガバっと開くことが可能です。この便利さに慣れると他のバックパックに戻れません。あと,Terraframe 50 のフレームはこれまで使用してきたどのパックよりも堅牢で,また,しなやかなので適当にパッキングしてもそれなりに背負えるのが最高です。特に雨の日のテント撤収時には早くパッキングしたいので助かります。
  3. プラティパス 1 L(デュオロックソフトボトルを使用しております。旧タイプと比べて給水口が取れるので洗浄しやすいです。また,旧タイプはキャップを無くしやすいという欠点がありましたが,この点も改良されております。)
  4. プラティパス ハイドレーションパック 2 L(ビッグジップ LP 2.0 L を使用しております。給水口が大きいので使いやすいです。寝るときは枕代わりにもなるのでオススメです。空気式の枕だとなんとなく落ち着かないのですが,水枕は夏の暑いときにも重宝します。)
  5. サンダル(XERO SHOES ウマラ ゼットトレイル サンダルを使用。クロックスを山で見かけるのですが,ウマラのサンダルはぺしゃんこになり,また,かなり過酷な使い方も可能です。登山靴のソールが剥がれた場合にも代用することができます。)
  6. ストック(LOCUS GEAR CP3 トレッキングポールを使用しております。カーボン製 で無駄のないデザインが気に入っております。今回は使用しませんでした。主に冬山がメインとなります。)
  7. 熊よけの鈴(あまり効果がないという見方もありますが,熊がいるところでは持参してます。)
  8. スントアルファ(これは必需品です。避難小屋やエスケープルートなどの分岐の位置情報を入れてから出かけるようにしております。詳しくはココをご参照ください。)
  9. 財布,免許証,保険証 (財布はパーゴワークスのトレイルバンクMを使用しております。よく考えられた作りで普段使いにも便利です。)
ミステリーランチのテラフレーム50。スペック的には重い部類に入りますが,長時間歩くことを考えてデザインされたバックパックです。フレーム剛性も高く雑に詰めてもなんとかバランス良く収まるのも最高です。

アルパインクルーザー 2000 から XERO SHOES ウマラゼットトレイルサンダルに履き替え完了。登山靴がブラブラしますが舗装された林道についたらこのスタイルが多いです。

B. バックパックの上部に入れておくもの
  1. トイレットペーパー(芯は抜いておきます。)
  2. ノート・ペン(山行のタイムコースなどを記入します。)
  3. MSR ろ過フィルター(ストロータイプよりも重いのですが,ハンドポンプがついていてボトルに水を入れるときに重宝します。マップに水の記載があっても茶色の水だと,かなりテンションが下がります。万が一のためにも携行をオススメします。)
  4. ポイズンリムーバー(虫刺されにあると便利です。)
  5. 行動食(ナッツ類,乾燥した果実,Shotz, 井村屋のスポーツようかんなどを携行しております。)
  6. ヘッドライト(ペツルの REACTIK+ を使用しております。照度が自動調節されるのでとても便利です。)

D. チェストパック(パーゴワークス スイングL を使用しております)
  1. iPhone7 Plus(GPS 精度も優れており,また,防水性,耐寒性がアップしております。キャリアは山岳地帯に強いドコモにしております。ソフトバンク系は繋がりにくいです。)
  2. ANKER バッテリー, ケーブル(バッテリーは信頼性が高い Anker 製です。)
  3. GoPro,ミニ3脚,バッテリー(防水で軽量コンパクトなので,GoPro を使用しております。音声コマンドが便利です。GoPro 純正の三脚であるショーティーは引っかる部分がなくとても使いやすいです。)
  4. ナイフ(コンパクトなレザーマンのマイクラに確定です。ナイフよりもハサミのほうが重宝するというのが僕の考えです。)
  5. サプリメント(梅丹の2RUNを愛用しております。)
  6. ミント系タブレット(夏場の縦走は暑さで唾液がネバネバしてくるので,ミント系タブレットで喉の渇きを癒すようにしております。)

E. 電源のバックアップ
  1. iPhone 予備のケーブルとバッテリー(過去にマイナス 20℃ ぐらいの冬山でケーブルが断線したことがあり,それからは予備のケーブルとバッテリーを用意しております。)
  2. 電源タップ (iPhone用の電源タップです。山小屋で使えるところはないと思いますが,下山したときにあると便利です。)
  3. GoPro 備品(バッテリー5個)
  4. スント用ケーブル(スントの充電用ケーブルです。特殊な形状なので忘れないように注意します。)
  5. FM ラジオ(気象情報などの収集のほかに,大雨や吹雪で閉じ込められたときに気休めとなります。)

F. パック1
  1. ビニール袋,ジップロック(ゴミ袋にジップロックを使用するとコンパクトになり匂いもしないのでマストアイテムです。)
  2. ダイニーマライン(テントのガイライン,洗濯物干し,登山靴の修理に重宝します。僕は 2 mm のダイニーマラインを使用しております。物凄く引っ張り強度に強いです。)
  3. ダクトテープ(テントポールやストックの補修に重宝します。あと,足にマメができそうになったときに,ワセリンを塗ってからこのダクトテープで覆うと効果的です。バンドエイドの代わりとしても利用できます。また,テントの破れや登山靴の応急修理など,利用範囲がとても広いです。市販品を購入し軽量化のためにプラスチックのロールなどに巻いておいて使用します。)
  4. エマージェンシーブランケット(万が一のために一番軽量なものを持参しております。)
  5. ハンガー X 1(折りたたみ式の軽量ハンガーはあると便利です。)
  6. LED ランタン(ソーラーチャージできる LED ランタンを使用しております。)
  7. 蚊取り線香,クリップ(数センチに折った蚊取り線香を持参しております。それをクリップで固定して簡易スタンドにしております。)
  8. 軍手(火傷防止のために持参しております。)

G.  パック2
  1. 常備薬
  2. ワセリン,日焼け止め(特にワセリンは山の必需品です。火傷,切り傷,足のマメなどの対処に重宝します。また,雨の日に身体に塗っておくことで,水をはじき身体を暖めるために利用することができます。あと着火剤としても利用可です。何はなくてもワセリンです。)
  3. コンタクトレンズ(眼鏡のバックアップとして持参します。)
  4. バンドエイド(ダクトテープでも代用可です。)
  5. 虫除けスプレー(アブ,ブヨ避けにハッカ油のスプレーを持参します。)

H. ウエア
  1. ドライナミックメッシュ半袖(山といえばドライナミックメッシュですね。ファイントラックも似たようなものを出しておりますが,一旦,変な匂いがつくと洗濯してもなかなか取れません。ミレーのこの製品は匂いがつくこともなく気に入っております。)
  2. Tシャツ代わりに: パタゴニア キャプリーン・クール・トレイルとキャプリーン・クール・ライトウエイト(発汗対策と縦走の軽量化にオススメです。防臭性もあり,とても優れています。今回の縦走ではトレイルのほうが保温性があり良かったです。実際にはドライナミックメッシュの上にクール・トレイルを重ねます。これにより肌とキャプリーン・クール・トレイルが密着することがなく,より快適になります。)
  3. 下着:モンベルのジオラインパンツ(軽量で速乾性があります)
  4. 靴下(FITSのヘビーラグドブーツという靴下を使用。)
  5. パタゴニア・バギーショーツ(インナーはややタイトなのでハサミで切って取り外しております。膝があらわになって危ないという意見もありますが,逆に僕の場合,皮膚感覚が繊細になって,このほうが安全であるという結論に達しております。)
  6. 帽子(夏場は必須です!)
  7. モンベル・トレントフライヤージャケット(このゴアテックスジャケットは何と言っても軽量です。雨の日以外使わないので軽量にこだわります。)
  8. モンベル・ロングテイル トレッキングアンブレラ(結局,今回の縦走では上記レインジャケットを使うことはなく,この傘で間に合いました。蒸れないし風が強くないならば傘も重宝します。)
  9. アウトドアリサーチ ヘリウムパンツ(ゴアテックスではないのですが超軽量なので使用しております。これも使うことはありませんでした。なので夏山は場所にもよりますがパフォーマンスよりも超軽量で選択したほうが良いと思います。)
  10. ゲイター(夏場はモンベルの短めのものを使用しております。屋久島縦走ではほぼつけっぱなしでした。朝露や砂,小雨の侵入の防ぎます。)
  11. ATOM SLフーディー(年間を通して一番愛用しております。少々の雨ならこれでオーケーで,薄手なので寒いときの重ね着にもベストです。また,ゴワゴワしないのでシュラフにくるまって寝るときにも最適です。最初のウエアの選択で失敗するのは,ついつい厚手のものを買ってしまうことです。暑すぎて着用時間が寝るとき以外はないという経験を通してたどり着いたのが,このジャケットです。)

I. テント,シュラフ類
  1. ZEROGRAM EL CHALTEN 1.5P(もっと軽いテントもあるのですが,雨の日の停滞日を考えてこのテントにしました。テントの高さが低いものは,長期縦走には絶対,オススメしません。テント内でご飯を食べたり着替えるときに上体をかがみながらだと,とても疲れます。このテントは出入り口が2つあるので風通しもよくおすすめです。また,モノフィラメントという特殊素材できたインナーは結露がほとんどありません。設営もラクで,もっと評価されるべきテントだと思っております。)
  2. テントポール(北アルプスのテン場で「しまった!テントポール忘れた!」と隣のオジサンが叫んでいたので,きちんと書き出しています。)
  3. ペグ(ここは軽めのチタンペグにしております。)
  4. ZEROGRAM Tuolumne SUL Sleeping Bag(オールシーズンを通してこれ一択です。冬場はこれにシュラフカバーをつけます。屋久島で使うのにはオーバースペックでしたが重量が 470 g。夏用の化繊シュラフとほぼ同じ重量です。最高級の撥水ダウンを使用しているので,とてもコンパクトになります。)
  5. マットレスもサーマレストの NeoAir XTherm 一択です(ロールタイプのマットも愛用しておりましたが,結局,NeoAir しか使わなくなりました。430 g で寝心地を確保するほうです。軽量化したい場合には,エバニューの FPmat125 がオススメです。)ロールタイプのものは岩稜帯などで引っかる場合もあり危険です。基本,バックパックの外にはあまり荷物をつけないです。


石塚小屋での風景: ZEROGRAM Tuolumne SUL Sleeping Bag と NeoAir XTherm は年間を通して使用しております。
新高塚小屋での風景:手前がZEROGRAM EL CHALTEN 1.5Pです。ペグダウンできないので,石で固定してます。フライ,インナーテント,グランドシートが一体化しているために吊り下げるだけで設営が完了です。

オールシーズンを通して,ZEROGRAM Tuolumne SUL Sleeping Bag と NeoAir XTherm です。このシュラフはセンタージッパーなところも気に入っております。どうもサイドジッパーは苦手です。。。

J. 調理用具
  1. SOTO マイクロレギュレーター(縦走には火力調節が楽なガスストーブです。風にも強いので安心の一台です。)
  2. ガスカートリッジ予備(今回,空路での移動で屋久島には SOTO OD 缶がありませんでした。PRIMUS の OD 缶を緊急処置として利用。)
  3. EVERNEW チタンマグポット 500 (これでお湯を沸かします)
  4. EPI シングルチタンマグ カバーセット(コーヒー,スープなどを飲みます)
  5. ユニフレーム スプーン&フォークセット(折りたたみ式のものでチタンマグポット  500 に収納できます。)
  6. MSR クイックスキレット(フライパンを持参すると何かと便利です。取っ手も外れるので運搬時にもコンパクトになります。)
  7. 食料(これまではほとんどフリーズドライでしたが飽きてしまいスーパーで食べたいものを買っていくスタイルになりました。)
フライパンがあると無味乾燥な山のごはんも少しだけバージョンアップします。MSR のクイックスキレットは小さすぎず,重宝します。

山のコーヒーは格別ですね。

K. まとめ: これまではややストイックな装備でしたが,今回は,ゆっくり食事やコーヒーを飲むスタイルに変えました。食事に時間をかけて,また,まわりの風景を見ながら飲むコーヒーは格別です。いつからか徐々に UL 志向になって,また,本来の自分のスタイルに戻ってきた感じです。何らかの参考になりましたら嬉しいです。

ブログを利用したことによる間接的ならびに直接的に生じたいかなる損害においても当方は一切責任負いかねますのでご了承くださるようお願いします。

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