2012-11-11

進路について

先日、学部4年生の方がラボに見学に来てくれました。今の学生が何を思っているのか,自分が学生だった頃と重ね合わせると、面白いです。

ぼくの大学時代は,真面目にやっていれば,必ず就職できました。しかし,今の日本では,大学をでても就職できない時代になりつつあります。

大学を出ても,なかなか就職先がない。じゃあ,学生は大学に何を求めればよいのか?ということになります。勉強をたくさんしたいのであれば,大学にいかなくても,iTunes Uで学ぶことが可能です。ハーバード大学の講義を受けることも無料なのです。「英語はわからない!」それならiTunes Uで英語のクラスを探しましょう。オンライン講義は素晴らしすぎて一流大学の在校生からは,「何のために俺たちは授業料を払うのか?」と,大学にクレームがくるぐらいです。もはや知識は,大学にいかなくても取得可能なのです。しかし,オンラインの無料講義では卒業資格を出しませんから,資格をほしい学生さんは大学にいく必要があるかもしれません(このへんも変わりつつあるようですが)。

理系大学院のアドバンテージ

我々のようなライフサイエンス系の大学院では,文系大学とは異なって,技能を獲得することが可能です。ここが大きな違いです。実験をオンラインで学ぶことは,ハードルが高いと思います。そして失敗から学ぶことは,オンラインでは,できません。何よりも実際に実験を行うことで,今のわからない部分を,自分のちからで明らかにしていくことが可能なのです。大学院の2年間でも,(程度の差はあるけれど)サイエンスに貢献することが十分可能です。修士の2年間は,自分が道の最先端にいつでも立っているというドキドキ感を,感じて欲しいと思います。

一方,ほんとうの科学者を目指すのであれば,博士課程に進んで,研究者として,一人前になる必要があります。

一番難しいのは,修士のみなさんの多くが希望している「製薬会社の研究職」です。ぼくらにとっても悔しいのは,修士でやっている研究内容は,ほとんど就職に関係がないということです。しいてあげれば,自分の行っている研究内容を如何に面白くプレゼンできるか? こちらの技能の方が優先されます。企業の研究職を目指すためには,はじめから完璧なエントリーシートを作成して,しかも何故その企業にいきたいのか?激しくアツい動機を,もっていなければなりません。また,毎年募集するわけではありませんので,運も必要です。

一方,企業の経営が苦しくなってきた時に最初にリストラされるのは,研究・開発部門かもしれません。テーマも自分で選ぶことはできませんし,個人的な意見として,それほど企業に魅力を感じません。大企業が安定しているのは,過去の話です。むしろ大きくなりすぎて,今の経済のサイズにあわなくて,苦労している部分もあります。

企業だから安定していると理由で,大きいところを狙いにいくという路線は,ちょっとあぶないと思います。

だったら,自分のやりたいことに情熱を賭けて生きた方が,後悔しないと思います。長々となった割には,「結局、素の自分で生きてみよう!」ということです。