2009-06-08

ハードボイルドと研究

読みたいと思った本は,何でも買う。ことに決めた。

「死なないカラダ,死なない心」(成瀬雅春著)を読んで生活のなかに取り入れたのは,カラダの柔軟性。ちょうど右肩をやられたので,リハビリをかねてストレッチ体操をやることに。先週の金曜日は,ジムの空いているスペースでストレッチ。隣のマットではジム生が練習。ナマウスから来た指導者が「おまえは,練習をしないのか」とたずねてきた。肩を壊しているからと,ゼスチャーで答えた。彼はわかったとうなずきマットに戻った。肩に痛みが走るが,スパーリングをしたくなってきた。「やっぱり参加させてほしい」と指導者に断りを入れてから,マットに入る。

スパーリングを終えて,ストレッチ体操は絶対にすべきであると思った。カラダが柔らかくなったぶんだけ,相手の力を分散できる。相対的に相手の力が弱くなる。柔軟なカラダは固められてもロックするまでに時間を稼ぐことができる。その間にエスケープできるかもしれない。コンマ何秒かも知れないが,相手に対する時間的な余裕ができた。これは大きな収穫であった。スパーしたKさんに「カラダの動きがよくなりましたね」と言われた。単純に嬉しかった。怪我をする。何故,怪我をしたのか考える。対処法を実践する。実際に戦い,その効果を確認する。また改良していく。これだからスポーツは楽しい。

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他に村上龍氏の「無趣味のすすめ」を読んだ。字が大きい。2週間近くたった今,あまり思い出せないが,全部が本気で繋がっているってことか(後述)。それからバガボンド30巻で「引け目」を学び,そうこうするうちにロバート・B・パーカーの文庫本「冷たい銃声」がでた。このなかで朋友ホークが撃たれた。果たして結末は? そんでもって,今は福岡さんの「生物と無生物のあいだ」を読んでいる。この本が最近発刊された「動的平衡」にどう繋がっていくのか,読み進めているところ。通勤時間に感謝。

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パーカーのスペンサーシリーズは,大学生の頃から親しんでいる本である。既に30冊以上が刊行されている。ストーリーの当初,スペンサーは30代で,きちんと年齢を重ねていくと,もう70歳近い。サザエさん的に時が止まっている部分があるが,しょうがないかもしれない。学生の頃,研究で落ち込んで,パーカーの本に助けられ,「また頑張ろう」と思ったときが何度もあった。パーカーの名著「初秋」を読んだのは,学部生時代であった。また,留学時代に刊行された Thin Air (邦題:虚空)はペイパーバックで読んだ数少ない小説の一つである。同じ頃にブリティッシュ・コロンビア大学・ブックストアでのベストセラーは,「Into Thin Air」であった。邦題「空へ」はスペンサーシリーズではなく,エベレストにおける商業登山の悲劇を描いたものである。ノンフィクションのなかでは,ベスト10に常に入り続ける力作でしょう。ついでにこの大学でのロングセラーは,ガルシア・マルケスの「百年の孤独」。百年の孤独は他のポスドクも読んでいて,まじで? と思ったことがある。

「小説を読む暇があったら,論文を読む」と良く言われる。研究で行き詰まっているときに,論文読んでブレークスルーできれば,それはそれで良いと思うのだけれど,俺はいったん離れないと駄目なほうです。ていうか,小説も,格闘技も,研究も全部自分のなかでは繋がっていて,趣味も仕事もぐだぐだに混ざっている方が,好きなのです。どれが趣味でどれが仕事かなんて,分けられるような世界に住んでないぜ。どれもこれも全力で頑張る。でっかく繋がっていく。まあこれがプロとしての理想ですね。