2008-01-10

負けの本質

昨年の後半,ブラジリアン柔術の青帯を取得しました。青帯をとるために3年以上練習を重ねてきたので,色帯になれたことは,存外の喜びでした。しかし,嬉しさの反面,かなりのプレッシャーも感じました。白帯の時はスパーリングをしていても一本重視で楽しみながらの練習でした。何本とられても良いから色帯の人から,一本とれれば良い。そういう姿勢でスパーリングしていました。しかし今は,下の帯の方がジムにいます。色帯の先輩から,「阿部さん,もう下の帯の人からスパー申し込まれたら断れないよ」と言われました。それは冗談半分,本気半分の言葉だと思います。事実,青帯をまいた初日は,連続に近いスパーリングで5分間 X 11 本をこなしました。手荒い祝福でした。しかし,ブラジリアン柔術がここまで普及したのは,この細かな色帯制度があるからだと思います。白,青,紫,茶,黒と昇段していきますが,頑張れば何とかなるのではないか?というところに次の帯があります。 もちろん今の自分には,紫はありえないぐらいの遠い存在です。でも始めた当初は,たった5分間のスパーリングで動けなくなりました。超底辺にいた自分からは,今の青帯の自分も,あり得ない存在だったのです。

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青帯になってまたゼロからの出発。強くなるためにはこれからも負けていくでしょう。3年前の自分も,そして今の自分も,黒帯の人には勝てません。戦ったら負けですが,負けの本質が変わってきています。白帯が大学院生だとすると,青帯はドクターコースの学生さんぐらいでしょうか。白帯の時代に如何に負けて自分の弱点をたくさん知るのか? そういった時期が大学院生だと思います。実験を失敗しなければ良い論文になるのか?というとそうでもありません。自分に課しているハードルが低ければ,それだけ実験の失敗率も減るかもしれません。また,多くの場合,失敗のなかに気づきがあるものです。

目先の結果のとらわれずに,考えた上で,失敗してほしいと思います。うちの学生さんも進歩しています。その証拠にネガティブデータでも奇麗にわかるデータになってきています。はじめは,誰でも納得のいくネガティブデータも満足に出せないものです。

「負けは負け」,でもその負けは,たくさんの実践を通して深化しています。自信をなくす前に,上を向いて歩いていきましょう。

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話は変わりますが,所属ジムが移転することになり,2月1日まで新ジムが稼働しません。ということで,先日,ジムの仲間と出稽古に出かけました。出稽古先のジムには激強の紫帯の方がいて,今のところ,取りつく島もありません。あやうく落とされそうになりました。帰りはラーメン屋で「負け」の分析をして,家に帰って柔術のDVD で似たような展開を探して対応策を考えたりと趣味も行き着くところ,なんでだかプレッシャー感じるようになりました。まあでも頂点を極めることが簡単なら,誰もエベレストには行かない。そんな感じでしょうか。