2013-12-02

せめぎ合う微生物と宿主の分子戦略

「せめぎ合う微生物と宿主の分子戦略」
1PW11 12月3日(火)13:15-15:45 第11会場
http://www.aeplan.co.jp/mbsj2013/program_workshop.html#1PW11

今回,開催される分子生物学会のワークショップにて,ラボの准教授・桑江朝臣先生が「ボルデテラの III 型エフェクターによる免疫回避」についてプレゼンをおこないます。感染症に興味のある方は,是非とも上記ワークショップにご参加下さいませ!

僕らのラボでは,ボルデテラ属細菌(百日咳菌などが含まれます)のIII型分泌装置によって宿主に移行するエフェクターの機能について研究をおこなっています。このなかでも,BopNとよばれるエフェクターが炎症反応の抑制に関与することを突き止めまています。

現在進行しているプロジェクトの一つとして,BopNがどのようなメカニズムで炎症反応に関わる遺伝子群を抑制するのかについて,精査しています。

炎症反応の抑制は,ある種の病原細菌が有する共通の戦略です。BopNの機能は何か? について,我々のストーリーをお楽しみ下さいませ。

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このような基礎研究以外に,百日咳ワクチンの研究もおこなっています。ワクチン関連の研究は,とても長い時間がかかります。

飽きっぽい僕は,単一のテーマに長時間,取り組むことができません。なので,長期間のプロジェクトを短期間のプロジェクトに織り交ぜて,持続力を維持するようにしています。

そして,なんとか,新規ワクチンのベースになるものを自分たちの手で,見出していきたいと思います。

本来ならワクチンメーカーが本腰を入れるべきなのでしょう。まあしかし,新規ワクチンをつくり上げるまでには,その安全性を確認するために,とてつもない研究期間を必要とします。なのでワクチン開発は,手を出しにくい領域なのかも知れません。利益のみでモチベーションを維持するのは,困難です。

日本版NIHが一時期,騒がれましたが「ワクチン開発のような,長期的な人材投入が必要なプロジェクト,かつ,企業がしり込みするようなプロジェクト」に参入するのなら,アリだと思います。

まあしかし,強いドライビングフォースをどうやって創りだし,それを維持していくのか?  見てみたいですね。