2013-12-31

2013年の終わりに

気がつけば,2013年もあと12時間ぐらいで終わりです。

先日,仕事納めにスタッフの桑江先生とプロジェクト確認と今後の優先事項についてディスカッションをおこないました。

僕らのラボでは,III型分泌装置によって宿主に移行するエフェクターの機能解析を中心として,研究を展開しています。細菌が作りだすエフェクターという分子は,宿主の細胞内にはいってから悪さをするタンパク質です。なので,このエフェクターを動物細胞内で発現させたとき,細胞機能がどうなるかを調べることで,その本質を見極めることが可能となります。

このように,やるべきことははっきりしていますが,たとえば,エフェクターに変異をいれて,本来の変異をもたないエフェクターと比較解析する場合,シビアな定量解析が必要とされます。遺伝子発現やトランフェクション効率にブレがでてしまうと,データ解釈が困難となります。2013年は,このようなブレを排除するためのシステム開発に取り組んできました。このへんは桑江先生の尽力が大きいです。

今年は,卒研生も含めて総勢10人ぐらいでラボを運営してきましたが,全体を見渡せば,まあなんとか予定通りに個々のプロジェクトが進展したと思います。2014年はそれらの果実を,発表していきたいと思います。

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個人的には,2年間執筆してきた感染症関連の原稿が校正段階にはいって,ようやくゴールが見えてきました。製本すると約280頁になります。ページ数は多少前後するかもしれませんが,これほどの分量を書いたことがないので,書きながら体力がついてきた感じがします。

また,このブログで何度か取り上げましたが,大量文書をストレスなくこなすためには,システムの再構築が必要でした。ワードを捨ててエディターの世界に突入したのも,この参考書の執筆からでした。コンスタントに文章を書き続けるには,長距離ランナーのような持続力が求められますね。こういったことも勉強になりました。

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まあしかし,家族ではじめて海外旅行にいったり,それなりにリラックスした夏休みをすごすことができました。

アイルランドで開催されたボルデテラ属細菌の国際学会も刺激的でした。普段,競合している連中が2年に一度ぐらい集まって,ディスカッションする会議なのですが,テーマがボルデテラ属細菌のみというマニアックでディープな学会です。初参加でしたが,われわれのおこなっている研究をよく理解してくれて,嬉しかったですね。次回は2015年にアルゼンチンで開催されます。

今年前半は,柔術大会で成績を残すことができましたが,後半はいまひとつでした。ハーフガードの攻略は,自分のスタイルが少しずつ出来上がりつつあるので,来年も頑張りたいと思います。

2013年,結果的にはオーライです。

来年もよろしくお願い致します。


【写真で綴る2013年】

柔術大会・準優勝

雑誌VOLTに掲載

掲載雑誌,ちなみに中畑さんは同郷です。

ボルデテラ研究会にて。阪大微研の堀口先生とツーショット

原稿のないパラオに逃避。。。

メッサきれいなパラオの日没

若コロ@広島 わかくないけど出席した

トリニティー大学でのボルデテラ国際学会
トリニティー大学の図書館。ハリポタ感がハンパない。

話題を選ぶ,トリニティー大学の食堂。

ジェイムズ・ジョイスが幼少時にすごしたブレイ

ラボの飲み会

同じくラボの飲み会

普段はめったにきない白衣をマイケル富岡さんの自宅で着てみた(バラエティー番組の収録)



2013-12-25

クリスマスに Mac mini を注文

先月,サーバーとして使用していたMac mini が落ちてしまいました。いろいろ試しましたが,うんともすんとも,言いません。

そこで,MacBook Air 11にサーバー用のアプリをインストールし,事なきを得ました。まあしかしちょっとモタモタします。←をクリックするとラボのHPにとぶのですが,このモタモタ感は MacBook Air が頑張っている証拠です。

この小さなノートパソコンにBiND6で作成したWebサイトを入れて運営しています。BiND6は前バージョンより,はるかに使いやすくなりましたね。

本日,いろいろなものに区切りがつきましたので,新たなMac miniを注文しました。思い切って Mac Pro という選択肢も考えたのですが,ドライブをSSDにして,ある程度のメモリーを入れれば,僕の環境では,ほぼ満足です。

ただし,SSD上限は miniの場合 256 GBなので,これが不満です。なので,miniのなかでもハードディスクを2台搭載可能なサーバータイプを選択しました。これだと 256 X 2 = 512 GB のストレージを,SSDで確保できます。すこし割高になってしまいますが,通常のハードディスクの世界には戻れません。

前回,購入したMac miniは 2011年でしたので,新たなminiでクアッドコアの実力を知ることになります。そして今使っているminiは,Webサーバーとして余生をおくってもらいます。

こういうライフサイクルで,miniを購入しています。

mini と Mac pro のあいだには,スペック的にかなりのひらきがあるので,あとひとつ中間的なカテゴリーを作ってほしいですね。それでも,製品が乱立している他メーカーと比べて,圧倒的にデスクトップマシンの種類が少ないです。それがかえって,個々の製品の魅力を十分に引き出すマジックかもしれませんが。。。

それと今テレビで流れているアップルのCMは,とても素敵ですね。

多くは語らなくても,家族の絆をうまく表現しています。

ということで,miniを注文しました。

メリークリスマス!



2013-12-24

西村隆太郎の「見る前に翔べ」 留学日記2

現在,修士2年の西村君が短期留学でシンガポールに滞在しています。通常は,博士課程を出て博士号をとってから留学するのですが,修士ぐらいで留学したら,どうなるのか? という試験的な意味でも面白いと思います。

もちろん,修士課程2年間で修了するためには,どうしても短期留学になってしまいますが,それでも得られるものはあると思います。

ということで,第2の西村君を目指したい方は,是非,うちのラボに来てください! 
こういった短期留学も歓迎します。

以下,西村君のレポートを原文で記載します。
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こんにちは!

第2回目ということで、今回はシンガポールにある屋台や食べ物インフォメーションについて書いてみたいと思います。

<ホーカセンターについて>
シンガポールにはホーカセンターという屋台が集まった場所があり、大体$2.5-4で一食を食べることができます。
屋台の中にはタイ料理、中華料理、シンガポール料理などさまざまな種類の食べ物があります。
シンガポールの食べ物はチリなどの唐辛子などが入っており大体スパイシー(辛い)な料理が多いです。
また、ホーカセンターの大部分は中国系の店(シンガポール料理店を含む)が多いを経営しているおじちゃんやおばちゃんは中国系の方が多いので、中国語で話しかけられます。
しかしベーシックな英語も通じるので、英語での注文も大丈夫です。
(シンガポールのラングイッチですが、シンガポールはマレー語、インド語、英語、中国語がよく日常で使われる国です。公用語は英語ですが、中国系の方が多いのでバスや電車、とくに屋台では中国語をよく耳にします。)

ときたま、英語で話しかけてるのに中国語で値段を言われたり、中国語で注文しているのに、英語で値段を言われたりとおかしな現象が生じます。
良い店主の方もいますが、どこでもそうですが中には外国人であるゆえぼったくられることもあるので、値段が表示されていても、お金を渡す前にきちんと値段を確認してからお金を支払った方が良いです。
(値段が表示されていないお店が多かったり、また値段が表示されていても違った値段を請求される場合があります。)

また簡単な英単語や中国語で適当なことを言われ誤魔化される場合もありますので注意したほうがよいときもあります。
※日本語を少し喋れる店主の方や心優しい方ももちろんいます。
また大部分の中国系のホーカセンターの方はおじさんやおばさんが経営しているため、簡単な英単語は話せますが、英語はあまりしゃべることができません。

<ホーカセンターの時間帯>
屋台は朝早く(6amぐらい)からやっているお店もあったり、遅くまでやっているお店(夕方から開き夜中まで)もあったりと様々です。
中には夜中の12時頃から開き、明け方までやっているお店もあったりします。
人気のお店は人が並んでいるので、たくさんある屋台の中で迷ったら、人が並んでいるお店で注文するのがベストかもしれません。

ホーカセンターはアウトサイドで、大体のお店は夜遅くまでやっています。
外にテーブルと椅子があり、そこでおじいさんが友人?と一緒にビールを飲んでいたり、TVのドラマを見ていたりしてのほほんとしているホーカセンターもあります。

<スーパーについて>
シンガポールのスーパーですが、私はよくシンガポールの大手スーパーFairpriceをよく利用しています。
カヤパン、ロータスパン、レッドビーンパン、ココナッツパンなどちょっと変わった菓子パンが80円($1)で売っていたり、ドラゴンフルーツやオレンジ、スターフルーツ、マンゴーなど南国の果物がずらりと並んでおり、しかも価格は日本と比べとても安いです。


<シンガポール料理について>
シンガポール料理はいろいろありますが、
私はラクサ(Laksa)、シンガポールのカリー、インド系の料理がお気に入りです。
また屋台の中でカキ氷系の上に豆系(あずき、うぐいす豆、黒豆、その他)のスイーツ料理を売っているお店があります。
2つトライしたところ『うーん』という味が2つで、1つは美味しかったです。
ちょっとトライ数が足りないのでもう少しトライしてみます。


シンガポールの人と話していると食べ物の話で盛り上がることが多々あるので、シンガポール料理に出会う機会がありましたらぜひトライしてみてください(^^)

※写真

ホーカセンターの様子とラクサの写真です



2013-12-23

冬の連休

冬の連休は,クリスマス前で賑わっておりますね。
現在書いている感染症関連の本が,いよいよ最終段階に入り,少しだけほっとしております。

当初の予定を大幅に過ぎて,そして編集者のYさんにも迷惑をかけて,なだめられて,なんとかここまできました。ありがとうございます!

昨日は,全ての校正を投函後,本棚の整理などをして,それから渋谷に買い物にでかけました。基本的に自宅の半径500m 以内に,職場である大学,とりへい,星野屋酒店,などがあります。この街がとても好きです。この活動圏内を離れるときは,柔術練習のために,Carpe Diemに行くときぐらいです。

なので,買い物をするときも,この活動圏内になるべくはやく戻れるように,iPhoneにお店のMAPを入れてから出かけます。最初から買うものがピンポイントで決まっていて,ブラっとお店に入ることは,あまりありません。

最短距離で行動して,すばやく任務を遂行して,トイレとかも我慢して,2時間以内を目標にして帰ります。

昨日は,Barbour のポーラーキルトジャケットを買いました。本来なら定番のオイルドジャケットを攻略すべきですが,軽いものにしました。

渋谷 Barbourの帰りに,明治通りからキャットストリートに入って,チャンピオンでフーデットパーカー,角の店でヘルスニットの靴下を買って,終了。すぐさまバス停へ。

休日の都バスは,なにか物哀しいです。これで,家に帰ってサザエさんのエンディングが流れていたら,最高に終わった感がありますね。だいたいサザエさんは,愉快ではなくガサツでは,ないですか?

閑話休題。ということで,半径500 mぐらいのところに留まって,生活するのが好きなのです。

あともうちょっとで,2013年も終わりですが,何とか自分なりの締切に間に合わせることができました。2014年も何かの締切があるかと思いますが,今を生きることで,未来につなげていきたいです。

Carpe Diem! 

2013-12-16

西村隆太郎の「見る前に翔べ」 留学日記1

こんにちは。

現在留学生活を送って2ヶ月になります。
私はシンガポールのサイエンスコーポレーションで免疫に関する研究機関に所属して研究しています。

今回は阿部先生のブログをお借りして、留学通信ということで留学生活で感じたことなどを書かせていただくことになりました。

第一回目ということで海外の研究所の雰囲気について少し書きたいと思います。


<研究室>
研究室のメンバーは、ボス、そしてポスドクのMさん、Yさん。Mさん、Kさん、Hさんで、国籍はアメリカ、台湾、マレーシア、シンガポールと様々です。隣の研究室にはフランス人の方もいます。
また他の研究室には、アフリカ人、インド人、ポーランド人、ドイツ人など様々な国からこられている方が多くいます。

<実験室やオフィス>
実験室は共同になっており、隣の研究室の方と同じ実験室で実験をしています。また全体として研究室の部屋がクリアガラスでNanodropやCentrifugeなどの機器を他の研究室に借りにいくことがよくあります。
休憩室としてPantryの部屋が共同で一つあったり、同じ部屋に違う研究室の研究員の方のオフィスあるので、よく違う研究室同士が会話されている光景が見られ、あまり垣根がないような気がしました。
日本ではあまりガラス張りの研究室を見たことがないので少し驚きました。

<雰囲気など>
またこちらでは他のラボの研究員の方が(おそらく日本より)高頻度に声をかけてきてくれたり、話しかけれたりします。(よくPantryなどで食べていると声をかけられます。)

またクリスマス行事として、研究所でリスマスパーティーが行われたり、研究機関全体で記念行事としてカーニバルが行われたりして、そのような雰囲気は外国ならではだなと感じました。


では、短文ではありますがまた次回、書かせていただきます。

2013-12-15

BALMUDA Rain あらたしいカタチの加湿器

ご無沙汰しております。

最近は体調を崩したせいか,すっかりラボに閉じこもっております。それに加えて,今月中に何としても校正を終わらせなければならない原稿があります。

なので,ラボでウダウダしている時間が長くなりますが,僕にとっては一番快適な空間です。

しかーし,冬の季節には湿度がとても低くなります(ここの空調がいまひとつです)。そこでベンタを2台稼働させているのですが,この無骨なドイツ製加湿器ですら,砂漠のような乾燥を変えることはできませんでした。

ベンタはここ10年ほど稼働させており,今まで故障したことは一度もありません。このへんはドイツ製らしい働きぶりです。唯一の欠点として,この加湿器には湿度を感知し,希望通りの湿度にあげる機能がありません。

無骨なベンタ。耐久性はピカイチです。

そこで,BALMUDAデザインのRainという加湿器を購入しました。

とても美しい造形で,まるで花瓶のようです↓

Rainの横顔
有機ディスプレイのレイアウトも素晴らしい。このディスプレイの上に,ヤカンで,水をじゃぶじゃぶかけるのです。するとゲージが自動的に反応し,どれぐらい入れているのか,表示されます。このへんの仕掛けも楽しいです。

自動運転で,湿度を50%に設定したときのディスプレイ↓。もちろん,マニュアルモードもあります。

Rainを真上から覗きこんでみた
この花瓶のような縁がリング構造になっていて,このリングを回すことで,全ての設定が可能です。材質の表面加工も美しいです。


Rainの美しさがわかる表面加工
また,Wifi接続することで,iPhoneからコントロールすることも可能です (UniAutoとよばれるアプリ)。このアプリで,加湿器の自動・手動の切り換え,また,24時間タイマーの設定などをおこなうことができます。このように,1時間毎に加湿器の稼働をOn・Offすることも可能です↓ タイマーは本体からも設定可能ですが,UniAutoからのほうが簡単です。

24時間タイマー。iPhoneアプリのUniAutoからの制御

また,現在の湿度をリアルタイムでみることも可能です。下の画面ではオート設定で50%にしているのがわかります。湿度設定は5%刻みで,60%まで可能です。



まとめ: このRainはアップル製品と同じように,梱包を開ける時に,ワクワク感がありました。また,その期待は裏切られることがありませんでした。

これまで,

家電=機能すればいい 

みたいな一方的な押し付けで,製品を選択せざるを得ないのですが,Rainはこれまでの,どれとも違った加湿器でした。

BALMUDAデザインの加湿器は,はじめから,すごいことになっております。

追記: ラボの湿度管理として,質実剛健なベンタを稼働しつつ,こまかな湿度調整をRainが担当するという感じです。

2013-12-02

せめぎ合う微生物と宿主の分子戦略

「せめぎ合う微生物と宿主の分子戦略」
1PW11 12月3日(火)13:15-15:45 第11会場
http://www.aeplan.co.jp/mbsj2013/program_workshop.html#1PW11

今回,開催される分子生物学会のワークショップにて,ラボの准教授・桑江朝臣先生が「ボルデテラの III 型エフェクターによる免疫回避」についてプレゼンをおこないます。感染症に興味のある方は,是非とも上記ワークショップにご参加下さいませ!

僕らのラボでは,ボルデテラ属細菌(百日咳菌などが含まれます)のIII型分泌装置によって宿主に移行するエフェクターの機能について研究をおこなっています。このなかでも,BopNとよばれるエフェクターが炎症反応の抑制に関与することを突き止めまています。

現在進行しているプロジェクトの一つとして,BopNがどのようなメカニズムで炎症反応に関わる遺伝子群を抑制するのかについて,精査しています。

炎症反応の抑制は,ある種の病原細菌が有する共通の戦略です。BopNの機能は何か? について,我々のストーリーをお楽しみ下さいませ。

*****

このような基礎研究以外に,百日咳ワクチンの研究もおこなっています。ワクチン関連の研究は,とても長い時間がかかります。

飽きっぽい僕は,単一のテーマに長時間,取り組むことができません。なので,長期間のプロジェクトを短期間のプロジェクトに織り交ぜて,持続力を維持するようにしています。

そして,なんとか,新規ワクチンのベースになるものを自分たちの手で,見出していきたいと思います。

本来ならワクチンメーカーが本腰を入れるべきなのでしょう。まあしかし,新規ワクチンをつくり上げるまでには,その安全性を確認するために,とてつもない研究期間を必要とします。なのでワクチン開発は,手を出しにくい領域なのかも知れません。利益のみでモチベーションを維持するのは,困難です。

日本版NIHが一時期,騒がれましたが「ワクチン開発のような,長期的な人材投入が必要なプロジェクト,かつ,企業がしり込みするようなプロジェクト」に参入するのなら,アリだと思います。

まあしかし,強いドライビングフォースをどうやって創りだし,それを維持していくのか?  見てみたいですね。