2011-11-23

邂逅

先週の金曜日に,埼玉医科大学 卒後教育委員会後援学術集会にて,特別講演会を行いました。病態生理部門の片桐岳信教授にご招待頂き,発表の機会を得ることができました。

片桐先生は大学の後輩で,僕が修士の修了間際に,卒研生として配属されてきました。僕と片桐先生が同じラボで過ごしたのは,ほんの少しの間でした。当時,遺伝子工学は黎明期で,僕はその言葉の響きだけで,遺伝子の世界に入ったような気がします。学生だった頃,そこにあるものは最先端のサイエンスでした。cDNAのクローニングで,皆がざわざわしていた頃の時代です。

そんなときに僕らは「遺伝子という共通言語」で,ラボに在籍していました。片桐先生のすごいところは,当時の研究テーマの延長線上に,現在の研究テーマである「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の全体像解明があることです。現在に至るまでには,大変な苦労があったかと思われます。片桐先生は持ち前のポジティブな性格で,自身の研究領域を切り開いていきました。講演会のあと夕食を御馳走になり,あの頃に,しばし戻って行きました。お互い大学院時代の研究テーマは,まったく違っていましたが,ライフサイエンスの世界を通じて片桐先生と再会できたことは,思いがけない出来事であったと思います。

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実験一つ一つで行われることは,長期的な研究プロジェクトからしてみれば,点のような出来事であります。しかし,それをどう紡いでいくのかによって,誰も行ったことのない研究の領域に足を踏み入れることができるかも知れません。当時,制限酵素は数えるほどしかなく,クローニング自体がすごい時代でした。限定された知識のなかで,それでも遺伝子工学は発展して行きました。「遺伝子工学」という言葉も,今では陳腐な響きがあります。僕の20代は研究資金もなく,暫くの間,ヒートブロック上の「柿の種 空き缶」3つが,手動によるPCRマシンでした。空き缶に水を満たして,温度を良い塩梅に調整し,手動でエッペンチューブを移動させて,遺伝子増幅を行なっていました。今は何もかもファインチューニングされていて,研究者間の技術的な格差は,縮まったと思います。それなら「何に焦点を絞るのか?」に,尽きます。そんなことを想いながら高麗川駅をあとにしました。

お互いに良い感じのオヤジになりました。片桐先生(左側)の今後の発展をお祈り致します!