2014-04-19

胃カメラ,ピロリ菌,四逆散料

新学期になったというのに胃の調子がよくない。

今年のはじめに風邪をわずらい,それから胃の調子がおかしくなり,ずっと続いていた。胃腸には自信があるほうなので,自分でも長すぎるかな?と思い,珍しく病院に出かけた。

バリウムではよくわからないので,胃カメラを飲むことに。。。10年ぐらい前に,胃カメラをしたことがあって辛かった。今は科学が進歩して,前よりはマシだという楽観的な気持ちで挑戦したのだけれど,まだ科学は進歩していないみたい。。。

まず,ピンク色の輪を口にくわえた時点で,映画パルプフィクションを思い出してしまった。そのピンク輪のなかを胃カメラのチューブが入っていくわけで,やはり,確信をもって「おえっ」となった。

涙目で検査の方にお礼をいって,また,橋本弁護士似のお医者さんのもとへ。

胃カメラが頑張って撮ってくれた僕の胃は,それなりに荒れていて,しかし大事ではなくホッとした。それから念の為に,ピロリ菌の検査を受けた。呼気で測定するやつ。

まず,尿素 [(H2N)2C=O] のゴクリと飲む。すこし冷静にしてから,15分ほど待つ。もし,胃の中にピロリ菌が存在していれば,その細菌はウレアーゼという酵素を菌体外に分泌している。それによって,胃粘液に含まれている尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解するのである。

(H2N)2C=O + H2O → CO2 + 2NH3 (アンモニア)

このアンモニアは,強いアルカリ。なのでピロリ菌は,ウレアーゼを使って,周囲の胃酸を中和しながら生きていくというしくみ。などということをおさらいして,臨床検査技師の方が用意してくれた呼気パックを思い切り膨らませた。ピロリ菌がいれば二酸化炭素が産生されているはず。

まあしかし,このままでは,通常の二酸化炭素と区別ができないので,僕が飲んだ尿素タブレットは,C13という安定同位体でラベルされている。体のなかにある二酸化炭素は,そのほとんどがC12なので,ピロリ菌ウレアーゼで発生したCO2(C13)は,赤外分析器で容易に検出される。胃カメラはそれほど進んでいなかったけれど,ピロリ菌の検出法は,確実に進展していた。

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病院でわたされた胃酸抑制剤と粘膜保護のほかに,漢方の「四逆散料」を試してみた。効能は「体力中等度以上で,胸腹部に重苦しさがあり,ときに不安,不眠などがあるものの次の諸症:胃炎,胃痛,腹痛,神経症」に効くとある。

これは思ったよりも効いた。何よりも,よく眠れた。アイルランドの学会で,ハーバル系の睡眠導入薬が効いたけれど,それと同じぐらいの効果があった。よく眠れたので,胃の調子がよくなったのか,心なしか寝起きの不快感も,あまり感じなかった。

「四逆散料」は僕にあっていたようだ。

今月17日から,分子細菌学の講義が開講。これが7月終わりまで続く。大学院生の一人が,「講義最終日に,焼き肉パーティーをやるのですか?」という単刀直入な質問があった。

今回の受講生は異様に多いのは,細菌ではなく,焼き肉に釣られたのか,,,変に納得してしまった。

たしかに,ラボの納涼会のついでに,受講生も招待したのは事実であった。分子細菌学の講義最終日は7月31日である。受講生の皆さん,31日を目指して頑張ろう!

しかし,マルバツで答える簡単なミニテストができていない。こっちがガッカリするぐらいの内容。。。先は長いなーと思いながら,怒涛の新学期がはじまった。