家電メーカーの危機である。パナソニックは2期連続で7千億円の赤字。他の家電メーカーも似たり寄ったりで、総計すれば1兆円を軽く超えてしまうのは、やはり異常な事態である。
それとは対照的に、アップルの製品は売れている。
しかし、アップルもベージュ色のコンピュータ時代はどん底で、いつ潰れるのか? 不安であった。ちょうどクローンも、ではじめた時である。しかしジョブスが復帰して、クローンもおしまいにして、おまけに小売店からアップル製品を撤退させ(注1)、小売店の好きな値段で売れないようにしてしまった。横暴な手段であると思ったが、アップルが決めた値段でプロダクトを売るという戦略は成功した。
アップルの製品は値段がほとんど変わらない。日本のデジタル製品のように、1年で半額に落ちたりもしない。あとあとの値崩れに心配しないで、欲しい時に買わせてしまう? という巧妙な戦略である。
今、ぼくはオリンパスのデジカメがとてもほしい。高校の頃にOM-1を購入して、山行はいつも一緒だった。万が一、電源がきれてもシャッターを切ることができた。それ以来、オリンパスの製品を購入したことはない。しかし、先日、スタイラスシリーズがアップデートされた。このデジカメがリリースされたのは先月で、はじめの価格が58000円。それから1ヶ月も経たないうちに価格は12%もダウンして51000円。何もこの製品に落ち度があるわけでなく、どのデジタルカメラの新品も辿る宿命である。
それなら、もう少しまとうと言うのが普通の考え方であろう。しかし、デジカメにも例外は、ある。あのライカである。
ライカは巨額な赤字をだしている日本のメーカーが、OEM生産している。ライカの最新版D-LUX6は、83700円。これとデザインもスペックもほぼ同じ日本製が、D-LUX6の半額で買うことができる。ちなみにライカもアップルと同じように、安売りはしない。デジカメといえど価格帯は守られているのである。
品質の良い製品を、正しい値段で買うことは、健全である。しかし、1年もしないうちに半額になるのでは、メーカーとして、開発力にも影響してくるのではないだろうか。。。
売れる商品を考える以前の問題に、今の家電メーカーは、直面している。
注1:正確にはアップルと正式な契約を結んだ小売店でのみ販売が可能