2017-08-30

初めて英語論文を書く若手研究者へのアドバイス (その6) ディスカッション編

前回に引き続き「ディスカッション」の書き方について,具体例を見ながら解説したいと思います。今回も我々のラボの論文を元に解説していきたいと思います。


 さて,この論文でのディスカッションは6段落となりました。

 一番重要なのは,この論文で明らかになったことを第一段落で濃縮させることです。最後の段落で今回の目玉について触れるのですが,第二から第五段落は結果の重複ではなく,あくまで結果に対して考察を行う部分です。

第一段落で「Results」部分を濃縮させる

 第二段落では鉄飢餓による制御と,III型分泌装置が菌種間によって交換可能であることを示しておりますが,その繋がりは貧弱でした。BLASTサーチによる考察は,はじめに何を考察してよいのか解らないときに重宝します(笑)

 全体的にガツンとくるデータがないので,考察も淡白です。すみません。。。まあでも,長々とした考察で査読者をイライラさせるより,短いほうが断然良いです。

 「Results」部分がこれでもかと重複していて,かつ,おかしな考察な羅列だと,査読者がエンジン全開で突っ込んできます。盛りだくさんよりは「枯れた考察」を意識しましょう。考察を多く書いて褒められるのは,卒論ぐらいですかね。。。

 最後の段落は,お決まりのフレーズが続きます。なのでここは関連領域の論文をいくつか読むことで,何とか書ける兆しが見えてくるはずです。
 
最後の段落はフォーマットが決まっているので慣れてしまえばラクに書ける

【まとめ】
 ディスカッション部分は,書くのがもっとも難しい箇所だと思います。しかし,最初と最後の段落のフォーマットはある程度決まっているので,ここをしっかり書き込むことで,ディスカッションの体裁はなんとか保てるでしょう。

 少しだけ書けるような気がしませんか? 頑張ってください☆

引用元
 The Bordetella Secreted Regulator BspR Is Translocated into the Nucleus of Host Cells via Its N-Terminal Moiety: Evaluation of Bacterial Effector Translocation by the Escherichia coli Type III Secretion System. PLoS ONE, 10(8), e0135140. 

 http://doi.org/10.1371/journal.pone.0135140