という本を買った。ハーバードだからすごいことになっているだろうと思い,期待して買ったら,最初のチャプターが「感謝する」であった。あまりにも当たり前のことなので拍子抜けしたが,実はこの本にぞっこんである。
ほとんどの研究者は具体的に書き出して,論文の骨子を練るはずだ。あるいは,研究の短期,中長期目標を書き出して,タイムスケジュールにそって研究を進めているはずだ。
しかし,いざ自分のことになると,何人の研究者が自分という対象に向かって具体的なことを書いているのであろうか。ようするに自分をさらけだして,自分なりに問題提起をして,自己解決をはかるという訓練をどれだけの人間がしているであろうか。僕の場合,自分について具体的に何かを書くということは,何か恥ずかしい感じして(他人に見せることなく捨ててしまうようなものでも),これまではしてこなかった。だから,自分について書き出していく「ハーバードの人生を変える授業」はとても参考になった。
手で書くというのは,不思議な行為である。例えば「困難から学ぶ」というセクションでは,これまで辛かったことをせきららに書き出していくわけ。最初は外的要因に関する愚痴ばかりが,ばーっとオンパレードしていく。もう,これでもか,これでもかってぐらいの愚痴の連発(笑)。しかし書きなぐっていくうちに,不思議と自分というものが見えてくるのですね。書き出してみたら自分の辛かったことって,実は小さな出来事ではなかったのか? そう思えてくるのである。愚痴なんかA4サイズの1/3も書けないから,やってみてちょ。
ここからは僕の私的解釈
書き出してしまえば紙片の1/3にも満たない辛かった感情が,バグとなって負のループを作っていたのですね。そのバグを目の前にさらけだすと「何だ,たいしたことないじゃん」となるわけ。ストレスとなっている感情<バグ>は,脳の外にきちんと出して,目の前で検証しないと「バグをバグとして認識できない」のです。たぶん。。。「ハーバードの人生を変える授業」はシンプルなメソッドで,脳内のバグをとるという素敵なテキストです。
年の瀬にぜひどうぞ。
追記: 他のポスドクから,「そんな本を読む時間があったら,僕は論文を読む」と留学時代に言われたことがあります。でも,いかに生きていくかについては論文には答えが書いてありません。少なくとも我々の論文では,人生についてのディスカッションがありません。そのためには色々な本をたくさん読んで,たくさん感じること,自己解釈をつけていくことが重要だと思います。読解力をつけることは,そのまま英語論文の読解力にも繋がります。