第93回日本細菌学会関東支部総会が今週の木・金曜日で開催されました。支部総会では若手の研究活動をエンカレッジするためにベストプレゼンテーション賞をもうけております。今回,「ボルデテラ属細菌の新規III型エフェクターの同定と機能解析」というタイトルで発表した久留島潤君(D2)がベストプレゼンテーション賞に選ばれました。他に2人の若手研究者も受賞しました。僕は何かを指導したと言うこともないので,これは久留島君の実力で獲得した賞であります。本当におめでとう! 今回,彼のプレゼンはちょっと詰め込み過ぎかな,後半の絞り込みはどうなるんだろう?とハラハラして聞いていましたが,最終的には手堅くまとめてました。基本,博士課程は通常のスタッフ扱いで,リハーサルもせずにまかせているので,プレゼン内容については当日に知るのですが,もう僕がプレゼンで彼に指導することはないはずです(今までも指導してませんが)。
来年は,北里大学白金キャンパス(東京都港区)で支部総会を開催します。日本細菌学会発祥(註1)の地ですから,それなりの責任は感じますが,それなりの責任を感じて,若手主体の支部総会にしていきたいと思います。一度,枠組みを壊すぐらいの支部総会にしてみたいですね。特に服装に関してはカジュアルにしていきたいと思います。もちろんスーツでも構いませんが,カジュアルな服装での参加をお願いする予定です。以前,学生さんに,細菌学会にはスーツなんか着てくるなと言ったことがあります。しかし,「やっぱりあの雰囲気では無理ですよ」と雰囲気を読まれ,手堅くスーツで発表されてしまった経緯があります。あの雰囲気を変えていく必要がありますので,来年の支部総会の総会長に僕が抜擢されたのだと思います。
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ここ何年か学会のプログラムに関わる機会が増えましたが,こういったことはボランティアでやっているのではなく,自分の研究費で秘書を雇って,お金をつぎ込んでボランティア以上のことをしています。そういったなかでプロの学会屋さんと連動しながら話を進めていくのですが,なかには本当にアマチュアで,僕はついに「学園祭の延長で学会を運営してもらっては困る」と,強く発言したこともありました。こういったところが熟成されていないから,日本の研究者はいつまでたっても雑用が多いのかも知れません。また,アジアにおける国際学会の企画等も周辺諸国に負けている部分があり,COLD SPRING HARBOR ASIA CONFERENCES などはその典型的な例だと思います(まあ,これが良いかどうかは解りませんが)。それに京都国際会議場,横浜の会議場などはべらぼうに高くて,本当にこの国でサイエンスのコミュニティーを熟成させようとする気があるのか?疑問に感じます。
今回,若手研究者と話をして,次の支部総会のぼんやりとしたアウトラインが何とか見えてきました。結局は僕なりの支部総会しかできないのだというところに落ち着きました。このような機会を与えて頂きまして感謝致します。
註1) 第1回日本細菌学会総会の総会長は北里柴三郎であります。日本の細菌学の黎明期には北里研究所が核となって突き進んでいった部分があるのですが,現在もなお北里大学が日本の細菌学を大きく牽引しているのかというと疑問が残ります。これについては,北里大学感染制御機構が新たに立ち上がり,ワクチン開発までを視野に入れたシステムが構築されています。北里というブランドを再定義する意味でも,感染制御における取り組みは,これからの重要なファクターになってくることでしょう。