2009-06-23

10万円で相見積!

複数の業者から見積を取る事を相見積(あいみつもり)と呼ぶ。私が属している大学は,10万円以上の物品を購入する場合,相見積をとる必要があった。これがすごく面倒だった。

物品購入申請書に,抗体とか制限酵素とか,ちょろっと書いたら,
相見積を取らなければならないのだ!

日々,この相見積のために,どれだけアホらしい時間を費やしていたことか。この大学に入った当初は,「10万円で相見積は,ありえない! ウソでしょ」と,色々なところをつつき回し,何とか改善してほしいと騒ぎ立てたが,大学の経理システムを変えるのは大変なのでと,一方的な展開で終わっていた。しかーし,ついに相見積の上限が20万円になった! 微々たる前進であるが,雑用はすごく減ることになる。もちろん相見積は,大型機器を購入する場合などには重要であろう。しかし,日々の消耗品で相見積を取るのに費やされる時間もハンパじゃなかった。

だから20万円の上限アップは本当に嬉しい。

ここまでくるのに,どれだけの事務官に嫌われてきたことか。事務を敵にまわしてはいけない。金の近くにいる人間を怒らしてはならない。これは一般社会の常識だ。まあでも10万円で相見積を取るような大学では,研究のスケールも小さくなってしまう。俺も常識を持ち合わせている方だ。だから,ずっと噛みついてきた。まあでも,こうやって最後には,なんとか折り合いをつけることができた。事務の皆さんありがとう。特に研究支援センターの皆様,ありがとうございました。本当にお互いよく戦いました。事務は事務としてのプロ意識があったし,俺的には,研究にここまで必要か?という規則には,シンプルに怒りをぶつけてきた。大人げないが,大人げなくていいもんねと,開き直った40歳後半の人生である。


追伸: 堀口先生,似顔絵ありがとうございます。似てるけど,実物はもっとダンディーで温厚な感じです!
いや,やっぱ似てるかな(笑)

2009-06-22

準優勝



一応,準優勝しました!
前回の大会では左肘関節を外され,それがトラウマとなって長らく試合からは離れていましたが,ようやく復帰しました。決勝で負けましたが,負けても最後まで自分をコントロールすることができました。長いトンネルからの脱出です。いや,ほんと長かった。恐怖や不安から逃げると,逆に大きくなるばかりで,やっと自分なりに対峙することができました。今まで支えてくれた仲間に感謝!
写真は,父の日スペシャルエディション, KEIKO RACAの柔術着です。
ありがとう。

2009-06-19

課外授業

小学校の課外授業で,「近所で探検したいところ部門」で北里研究所 (現北里大学) が候補にあがり,5人の小学生(2年生)が白金キャンパスに遊びに来てくれました。担任の先生のお話ですと,白金キャンパスのなかを構内道路に沿って外側から説明するだけ(あれが病院ですとか。。)で十分ですと聞いていたのですが,ちょっとだけサプライズを用意しました。
北里柴三郎記念室の森孝之博士に無理矢理お願いして10分弱のプレゼンをおこなって頂きました。子供たちも,子供のための記念室ではないと察知してか,熱心に森博士の話に聞き入っていました(お忙しいところ本当にありがとうございました)。

http://www.kitasato.ac.jp/kinen-shitsu/index.html

子供たちのノートをのぞき込むと,ローベルト・コッホとかきたさとしばさぶろう,はしょうふうきん,とか書いてありました。それから薬草園の周りを散歩して,最後は「コッホ・北里神社」の前で記念撮影をして,子供たちの北里探検は無事に終了しました。北里大学の白金キャンパスは比較的緑が多く,また記念室も充実していますので,子供たちのプログラムがあっても面白いなと思いました。
ということで,また来て下さいね。

2009-06-16

ダイエット

日曜日は久々の柔術大会です。
ついでに組技(打撃なしで関節技,絞め技OKです)の大会にも出ます。

昨日,練習前に体重計にのったら68キロで,
あと1キロ落とせば規定以下になります。

ということで,どれぐらい落とせるか追い込んでみました。
2時間びっしりスパーして66.4キロになったので,
68キロぐらいをキープしておけば,大丈夫だと思いました。

今は,風呂からあがって汗がひいたところで,
加圧スーツのまま,ブログを書いてます。
腕がぱんぱんにはるので,書きにくいっす。
本日はこれにて打ち止めにします。

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いやしかし,この年で試合のために減量するとは。。。
終わったらビールを飲みたい。
あと,ご飯を遠慮なく食べたい。
終わったらメダルを手にしていたいっすね。

2009-06-14

内田樹さん

ここ1ヶ月ぐらいの間に読んだ本,「生物と無生物のあいだ」,「死なないカラダ,死なない心」,「脳の中の身体地図」(これはまだ読みかけ)のオビには,何故か,内田樹さん推薦とか絶賛とか書いてある。3連続でこの内田さんの推薦本を買ってしまったことになる。この内田さんというのは誰でしょうか? 内田さんをぐぐったところ,神戸女学院大学文学部総合文化学科の教授をしている方でした。神戸女学院大学の前進は神戸ホームで白州家が創設に関わったとされています。白州次郎が「俺は女学院に通ったんだ」と何かに書いてあったのですが,これは神戸女学院を指しているのかも知れませんね(間違っていたらごめんね)。話を戻すと,内田さんのプロフィールのなかで私がピンときたのは,合気道六段、居合道三段、杖道三段の武道家であるということです。武道家が推薦する書なら,間違いないでしょう。あ,そんなことないか。

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ということで,6月21日にグラップリングとブラジリアン柔術の大会にでます。でようかなと思った6月初めの時点で,体重は70キロちょっと。自分がでるカテゴリーは67キロ級なので3キロの減量が必要です。現在,68キロで2キロの減量に成功しました。晩酌のビールと炭水化物の摂取量を減らすだけでも減量可能であるが「食べたい!」という欲求はありますね。まあ,6月21日を過ぎればわしわし食べるので,このようなプチ節制はたまには良いかもと思う。

日本のカロリーベースの食糧自給率は平成19年度で40%。しかし食事を半分に減らせば,食糧自給率は一気に80%ぐらいになるはずである。だから気にすることはない。そもそもバランスよく食べることに,規定のカロリーを摂取することに,どれほどの意味があるのかわからない。人間,プチ飢餓状態におちいったほうが,腸内フローラががんばってくれるし,カロリーのきちんとした摂取というのはあまりにも機械論的ではないかと思う。

食料の自給率は,国民の根性でいつでも何とかなるということです。

2009-06-13

現実世界と思っている世界は,実はトリップしている

昨日は晴れていた。
屋外で冷えたコーラを飲もうと思ったら,皆,同じような気持ちだったのか,ベンチが空いていない。しょうがないので薬用植物コーナーの地べたに腰をおろして,そのへんに生えていた雑草を眺めながら一休みすることに。
地べたに腰をおろすと,自分がまだ小さかった頃の視点に戻る。ヒメジョンが可愛らしく花を咲かせ,ツツジにはアリたちが密をもとめて,せわしなく行ったり来たりしている。そういったものに,素の状態で入り込んでいくと,視界が超鮮明になり,きちんとまとめていた左脳のはたらきが鈍ってきて,まわりの風景が動き出す。ヒメジョンがリアルカラーで周りの風景から離れて,自分に近づいてくる。

すごく綺麗なありえない世界。
すべての植物,生命のエネルギーが一体となっているようなフレームのない世界。
ずっとここに留まっていたい世界。

「あああ,この世界,忘れていた!」と楽しんでいたら,
「先生,大丈夫ですか?」と呼びかける声が。
(まじで,落ち込んでいると思ったわけ。ああ,でもありがとう。)

その瞬間に脳のマッピング機能が働き出し,花やアリたちは,記憶された情報に置き換えられ,仮想現実を,現実世界と認識する世界に戻ってしまう。RAW画像で脳がすべてを記憶していたらすぐに一杯になるので,JPEGあたりの圧縮画像に変換されのか。普段,現実と思っている世界から,画像処理のないリアルな世界を見せられると,「うわーなんだ,このぶっ飛んだ世界は!」となるわけ。しかし,この瞬間の情報処理されていない世界が本当であり,処理された過去の情報をもとに,自分の都合の良い未来のことを考えてる人間の思考のほうが,過去の情報をもとに未来へ,トリップしていることになります。それはひどく現実的に,個人的に,処理されすぎてしまって,つまらない。

「大事にしている私の取り囲んでいる世界」の垣根をとっぱらうと,リアルな世界がそこにある。

うまくいえないので,こちらをどうぞ。脳科学者が自分の脳が壊れていく過程で何を体験したのか,そして再生の過程で何をつかんでいったのか,素晴らしいプレゼンです。これからの人間が生きていくヒントがここにあると思います。


ジル・ボルト・テイラーのパワフルな洞察の発作

2009-06-10

ガイジンノクセニ

エイゴガ,チョット,ヘンデスネ。
ロンブン,イゼンノ,モンダイデスネ。

チョット,ツカレマシタ。。。

ジカンダケガ,スギテイキマスネ。

サテ,ドコカラナオシタライイノカ,
ワカラナイデスネ。

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ま,ロンブンのレビューをしたのだけれど,
何気に,関連,ロンブン調べていたら,
同一著書による似たようなロンブンを発見。

あなた,今,12時32分っすよ。
どっかの焼き直しロンブンのために,俺は午前様っすよ。
あほらしー。

こんなときは,pissed off あたりがきわめて
適切な表現でしょうか。。。

寝るね。おやすみ。

2009-06-08

ハードボイルドと研究

読みたいと思った本は,何でも買う。ことに決めた。

「死なないカラダ,死なない心」(成瀬雅春著)を読んで生活のなかに取り入れたのは,カラダの柔軟性。ちょうど右肩をやられたので,リハビリをかねてストレッチ体操をやることに。先週の金曜日は,ジムの空いているスペースでストレッチ。隣のマットではジム生が練習。ナマウスから来た指導者が「おまえは,練習をしないのか」とたずねてきた。肩を壊しているからと,ゼスチャーで答えた。彼はわかったとうなずきマットに戻った。肩に痛みが走るが,スパーリングをしたくなってきた。「やっぱり参加させてほしい」と指導者に断りを入れてから,マットに入る。

スパーリングを終えて,ストレッチ体操は絶対にすべきであると思った。カラダが柔らかくなったぶんだけ,相手の力を分散できる。相対的に相手の力が弱くなる。柔軟なカラダは固められてもロックするまでに時間を稼ぐことができる。その間にエスケープできるかもしれない。コンマ何秒かも知れないが,相手に対する時間的な余裕ができた。これは大きな収穫であった。スパーしたKさんに「カラダの動きがよくなりましたね」と言われた。単純に嬉しかった。怪我をする。何故,怪我をしたのか考える。対処法を実践する。実際に戦い,その効果を確認する。また改良していく。これだからスポーツは楽しい。

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他に村上龍氏の「無趣味のすすめ」を読んだ。字が大きい。2週間近くたった今,あまり思い出せないが,全部が本気で繋がっているってことか(後述)。それからバガボンド30巻で「引け目」を学び,そうこうするうちにロバート・B・パーカーの文庫本「冷たい銃声」がでた。このなかで朋友ホークが撃たれた。果たして結末は? そんでもって,今は福岡さんの「生物と無生物のあいだ」を読んでいる。この本が最近発刊された「動的平衡」にどう繋がっていくのか,読み進めているところ。通勤時間に感謝。

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パーカーのスペンサーシリーズは,大学生の頃から親しんでいる本である。既に30冊以上が刊行されている。ストーリーの当初,スペンサーは30代で,きちんと年齢を重ねていくと,もう70歳近い。サザエさん的に時が止まっている部分があるが,しょうがないかもしれない。学生の頃,研究で落ち込んで,パーカーの本に助けられ,「また頑張ろう」と思ったときが何度もあった。パーカーの名著「初秋」を読んだのは,学部生時代であった。また,留学時代に刊行された Thin Air (邦題:虚空)はペイパーバックで読んだ数少ない小説の一つである。同じ頃にブリティッシュ・コロンビア大学・ブックストアでのベストセラーは,「Into Thin Air」であった。邦題「空へ」はスペンサーシリーズではなく,エベレストにおける商業登山の悲劇を描いたものである。ノンフィクションのなかでは,ベスト10に常に入り続ける力作でしょう。ついでにこの大学でのロングセラーは,ガルシア・マルケスの「百年の孤独」。百年の孤独は他のポスドクも読んでいて,まじで? と思ったことがある。

「小説を読む暇があったら,論文を読む」と良く言われる。研究で行き詰まっているときに,論文読んでブレークスルーできれば,それはそれで良いと思うのだけれど,俺はいったん離れないと駄目なほうです。ていうか,小説も,格闘技も,研究も全部自分のなかでは繋がっていて,趣味も仕事もぐだぐだに混ざっている方が,好きなのです。どれが趣味でどれが仕事かなんて,分けられるような世界に住んでないぜ。どれもこれも全力で頑張る。でっかく繋がっていく。まあこれがプロとしての理想ですね。

2009-06-04

実験医学 vs. PNE



PNEの2009年6月号増刊号は,「感染現象」ー その理解の深化から疾患制御への展望。一方,実験医学の増刊号(Vol.27 No.10)は,感染症ーウイルス・細菌・寄生虫の感染戦略となっています。どちらも良いです!

手前味噌ですが,PNEでは「細菌と宿主の相互作用」のセクションで,私の拙文「細菌の病原因子分泌機構の新展開」が掲載されています。また,実験医学の「病原体と宿主の攻防概論 病原因子と宿主防御機構」のセクションでは「病原細菌による宿主防御機構の撹乱」という項目を担当させて頂きました。昨年の11月から今年の1月にかけて1ヶ月に一報のペースで総説を脱稿しなければならず地獄でした。その甲斐あって自分でも勉強になりました。編集頂きました先生方に改めまして感謝です。

ところで実験医学の「病原細菌による宿主防御機構の撹乱」に掲載した図5の矢印が,ずれておりました! うわああああ。
羊土社の方に連絡を取って,校正時の見落としで大変なことになったのかもと連絡を入れたら,実は印刷にまわす段階でトラブったみたいです。自分のミスでこんなことになったのかとショックでしたが,羊土社のホームページに正誤表がアップされるようです。

ということで時間ができたら,上記2冊をゆっくり読んでみたいと思います。
あ,時間は作らないとないっすね。

鍵っ子




私は鍵っ子。
ついでにUSBメモリも鍵っぽくいきました。
LaCie製。超頑強な作りです。

2009-06-02

引け目

それ自体は心に生じた小さな波にすぎぬ。

不安にほうへ振れれば心は閉じる。

見まいとして固く閉じた心の中では
不安はやすやすと恐怖に変わり
敵意へと育つ。

バガボンド 30巻

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俺的には,人生,引け目の連続です。不安の連続です。引け目は誰だって直視したくはないものですが,直視しないとどんどん不安がふくらんできて,住んでいる世界を自分で住みにくくしているようなものです。

引け目を感じないようにするには,自分の立ち位置を認識することだと思います。そういったなかで自分のハードルを少しずつあげていき,自分なりの高みに行くことは可能でしょう。また,それは,自身の自由度を上げていくことにもなります。引け目を感じながら将来の研究をデザインしても,それは誰かを超えるためだけの実験になってしまう。

自分の方向性には自信はあるが,世の中にはすごい奴らがたくさんいるのも事実。自分の立ち位置,これが大切だと思う。


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現在,右足首を痛めてテーピングで固定中。夕方になってくると痛みが増してくる。右肩をかばいながら,スパーリングしたのがいけなかったのか。。。何十年もつきあってきた体でさえも,何故,故障したのか思い出せない場合がある。ともかくも,がむしゃらに体を使う時期はとっくに過ぎているので,このへんでどう体を動かしていくのか,
考えなくては。。。