2015-08-20

「現在」「過去」「未来」 8月13日,午前 3:08 に気付いたこと

今日は少しだけ真面目な話をします。

われわれが,実際に物理的に掴むことができるのは,「現在」に存在している形あるものです。

また,大切なのは「過去」におきたことでもなく,「未来」におきることでもありません。大切なのは「今を生きること」です。

わかりきったことですが,それを実践するのは難しいと思っていました。

一方,われわれの抱えている問題や悩みは,「過去におきたこと」と「未来におきること」で占められています。現実には存在しないものに,心を煩わされているのも事実です。

夏の休暇を取って8月9日に尾瀬に入りましたが,僕の心には引っかかるものがありました。空は晴れているし,まさに絶好のハイキング日和でした。まあしかし,ちょっとした瞬間によぎる気持ちで,暗く沈み込んでしまうこともありました。

13日は実家で夜の9時頃までペルセウス流星群を探してねばりましたが,眺めることは叶いませんでした。眠りについたのは,11時頃だったと思います。

色々考えながら眠ったせいか,夜中に目が醒めてしまいました。やがて心は曇った糸に絡め取られるように,鬱々としてきました。僕にはよくあることで,何度か寝返りを打ちながら夜が明けるパターンです。またかと思いながら,うつらうつらしていました。

しかし,13日の夜は,いつもと違ったのです。

それは,

「すべてを,まるでそこにあるのかのように,つなぎとめておくことはできない」

「手でつかまえられるのは,今,目の前にあるものだけ」

ということを,よくわからないけれども直感したのです。

毛糸玉のような意識が中空に浮かんでいて,それが幾千本もの細かい糸でつなぎ止められている感覚がイメージされました。そしてその細い糸たちは,ゆるやかに消失していき,最後には丸い意識だけになったのです。

「思い,不安,欲,執着心,,,」というたくさんの細い糸で,自分の意識を,まるでそれらがないと壊れてしまうのかのように,繋ぎ止めていたのです。

「つなぎとめておくことはできない」と思ったときに,それらの糸はなくなり,とてもリラックスした感情が押し寄せました。この感覚はとても軽やかで,大切だと思ったので,枕元にある iPhone で時間を確認しました。

それが,2015年8月13日の 3:08 でした。

大切なのは,今を生きることです。しかし,この感覚をきちんともつことができませんでした。自分の意識を細胞骨格のように取り巻いていた「細い糸たちの切り離し」を行うことで,「今」が見えてきた感じです。

僕はこれまで,自分だけではなく周りをも強くコントロールしようとする気持ちが強すぎました。しかし,「過去におきたこと」,そして,「未来におきること」もコントロールすることはできません。そういった執着を午前 3:08 に手放したことで,気持ちがラクになりました。

あまりにも強すぎる願いは,かえって人を弱らせます。

まだ観察中ですが,この感覚と寄り添っていたいです。こういったことが穏やかにわかってくるのも歳をとるという恩恵なのでしょう。

皆さんの気持ちが少しでも晴れやかになれば,さいわいです。











2015-08-01

スリーシーズンのテントはこれだ: NEMO TANI 2P

二十代の終わりから,ノースフェイスのVE-23というテントを使用してきました。大人が3人ラクに寝られるようなテントで,まだまだ現役です。今年の夏もVE-23で山に行こうと思っておりましたが,ポールの長さが80 cmぐらいあって,ザックからはみ出してしまうのが難点でした。また,重さも4 キロ弱。。。もう50を越えたので,山に苦行を求めなくてもいいかな? と思うようになりました。

そこで,現在の主流でもあるライトウエイトテントを探してみようということになりました。

最終的に,2人用でありながら 1.23 kg という超軽量の「NEMO TANI 2P」を購入しました。これに専用のフットプリント (テントの下に敷くグランドシート) もあわせて購入しました。あと,付属のペグは最低限必要な5本なので,それに7本足してガッチリ固定したいと思います。なのでガイロープも別途購入しました。

テント本体・フライとポール。ナルゲン1Lのボトルと比較するとそのコンパクトさがわかります。

http://www.iwatani-primus.co.jp/

あらかじめ,テント本体とフットプリントをつないでおいたほうがいいかも。

四隅のポール差込口に装着。

あとはテント本体のフックをポールにかけて,フライをかぶせれば完了です。一人でも数分で組みたてられます。

コンプレッション式のスタッフサックに組み立て方が書いてあります。
あらかじめフットプリントとテント本体をジョイントしておいたほうが,現地での設営がラクです。テントを収納するスタッフバッグはコンプレッション式で,フットプリントを付けたままで収納が可能です。このへんも親切な作りとなっております。

設営場所についたらフットプリントと本体をばっと広げて,本体4隅についているプラスチック製のポール差込口にポールを入れ,この自立したポールにテントについているフックを引っ掛けるだけで設営が完了します。たったのこれだけです。
ものによっては,ポールをテントにセットするときに,すごく力が必要なものもあるのですが,NEMO TANI 2P は女性でも簡単に設営することが可能です。

僕が2人用テントを購入する上で注意したのは,

1. 重さが2キロ以下であること
2. ポールの通しなど設営がラクであること  
3. ポールがカーボン製でないこと

です。軽量化のためにカーボン製のポールを採用しているメーカーもありますが,縦にピシっと割れたという記事を読むことがあります。一方,NEMOのほうは,DAC社製のなかでも接合部強度が高いアルミ素材を使用しています。また,このテントも2代目ということで,改良が加え続けられております。

唯一,僕が気にしたのは,ポールを装着する部分の受け手です。この部分はプラスチック製なので,その強度に不安がありました。しかし,粘着質的にWebで検索したのですが,この部分のトラブル報告もありませんでした。

総合的な評価で,NEMO TANI 2Pにしました。まだ山行にいっておりませんが,使用レポートなどは改めて報告いたします。

いやしかし,今のテントは本当に軽いです。山の備品はお金をかけることで軽くなっていくので,財布にはやさしくはないですね。。。

つい最近,テントを Zerogram El Chalten 1.5P に変えました。コチラでレビューを書いてますので,よかったらどうぞ。

2015-07-26

論文と研究者

4月の半ばに出した論文が,昨日,ようやくアクセプトされました。論文審査に加わった2人のレビューワーも好意的で,追加実験の指示もなく,久々にすんなり通りました。

本来,論文のレビューシステムというものは,自分の研究領域に近い研究者が論文の査読をすることで,論文のブラッシュアップをおこない,より質の高い論文として,世の中に送り出す役目を背負っているのですが,まあなかには,重箱の角をつつくようなコメントを頂くことも,多々あります。それでも,全てのコメントにレスポンスしなければ,リジェクトされる確率が高くなりますので,「めんどくせーな」と思いながら,黙々とこなす必要があります。なので,変にプライドが高い人間とか,他人の意見をふだんから聞けない人間は,研究者には向いていないのかもしれません。

話を元に戻すと,
今回の論文は,データ量が足りないと判断されるかもしれないと思って,レビューワーのコメントを想定した追加実験もしていたのですが,結局,既存のデータを全部吐き出すことでOKでした。

なので,今あるデータは次の論文にまわせるので,ツイていました。まあしかし,しつこいようですが,こういったことはそんなにないです。

なので,本日は,晴れ晴れとした気分で週末をおくっています。

研究者は潜水艦の乗組員みたいなものだと思っております。ほとんどのデータは水面下にあり,それらがまとまると,久々に陸に上ることができます。まあしかし,それもつかの間で,また大海原の深いところに潜っていきます。

晴れていても,曇っていても,水面下で黙々と仕事をこなし,アクセプトという陽の目を見る機会は1年に何回もあるものではありせん。

まあそれでも研究が好きだから,続けていられるのでしょうね。

*****

2日前に,蛍光顕微鏡にて,とあるタンパク質の培養細胞内での挙動を観察しました。FLAGタグで標識されたそのタンパク質は,顕微鏡下で眩い緑色の蛍光として検出することが可能です。眼下にある細胞はとても美しかった。

また,研究の世界に戻ることができて,幸せです。

2015-06-09

徒然に思う: あと10年!

 カナダ留学から帰国して,北里研究所に戻ってきたのが1999年で,それから自分のラボを立ち上げ,気がつけば今年で50歳。天から授かった命を知る年頃になりました。研究に残された時間はあと10年ちょっということになります。漠然とひろがっていた研究領域もこのような現実を突きつけられると,当然できることは限られてきます。この10年間は自分の好きなように基礎研究を行いました。あと10年は何をするのか,いや,何を残したいのかということを,昨年あたりから自問自答しました。結論として,今後10年を人材育成と社会還元に使おうと思いました。もちろん論文を出して行くことは研究者として重要だと思います。しかし数年前の論文ですら,すぐに忘れ去られてしまいます。研究者は前に進むことによって,研究者としての存在理由があるのですから,あとに論文が残されるという思いは自己満足にしか過ぎません。しかし,若い人材により良い研究環境を与えることができたのなら,彼ら彼女らが独立したときに新たな種子が蒔かれるでしょう。そのときに私が論文としてまとめてきた「こと」が先へと繋がっていきます。

 カナダから帰国し日本で研究を開始したときに,腸管病原性大腸菌の仕事ではワクチンにならないと言われました。北里研究所が製造しているバクテリア関連のワクチンのなかで,III型分泌装置をもっているものは百日咳菌しかありませんでした。III型分泌装置は私のメインテーマでもあり,ここは主軸としたかったので,必然的に百日咳菌関連の研究テーマになりました。そこで百日咳ワクチンの改良についてワクチン製造部の先輩に申し出ると,「その必要はない!」と断られました。私は先輩から免罪符をもらったような気持ちになり,ワクチンの研究をすることもなく,つい最近まで基礎研究を続けてきました。しかし百日咳は全世界で再興感染症と認識されるに至り,ワクチン接種率が高いにも関わらず患者数が増加の傾向にあります。このようななかであと10年で何をするのかという個人的な問いかけが始まって,最後はワクチン開発で勝負しようと思いました。もちろん基礎あっての応用のスタンスは崩しませんが残りの10年は社会還元することで,これまでお世話になった方々へ感謝をこめてペイ・フォワードしていきたいと思います。


 さて堅い話はこれでおしまいにします。研究者として一番重要なのは,自分でこれだと思ったらとことん突き詰めることだと思います。そこには精神的な苦痛が伴うかも知れませんが,何かを成し遂げたいと思ったら,覚悟を決めることだと思います。またバランス感覚も重要です。私は毎週必ず総合格闘技のジムで汗を流すようにしています。42歳からブラジリアン柔術を初めて,かれこれ7年になります。習い始めた当初は,家に帰るだけのエネルギーしか残っておらず,家についてそのまま動けないまま朝を迎えたことが何度かあります。それまでは研究のストレスで不眠症だったので,何も考えることができずに朝を迎えることができて,とても落ち着いた気持ちになったのを覚えています。昨年は,練習中に肋骨を折って長らく戦線から離脱しておりましたが,ランニングという趣味も加わりました。しかし,東京マラソンは抽選から外れました。総合格闘技のジムで嬉しいことは,高校生ぐらいの子が徐々に体力をつけて,やがては私を追い越して,プロになっていくステップを歩むことができたことです。

追記:特定領域のニュースレターに掲載されたものです(2011年1月執筆)

2015-05-30

食指が動かない Apple Watch。。。

Apple Watchがリリースされからしばらく経ちますが,今回は何か「すごい!」と思いませんでした。


僕なりに時計に求める基準があって,それは,


  • 充電する必要がない
  • 時刻を合わせる必要がない
  • カレンダーも合わせる必要がない
  • シュノーケリングぐらいなら大丈夫な防水

一番重要なのが,何もしなくとも正確に時を刻んでくれることです。あと,アラーム機能がついていれば最高ですが,電子音のピッという音はそろそろ再定義されても良いかと思います。

さて,Apple Watch ですが,僕が今ひとつだと思っていることは,母艦の iPhone がないとその機能を十分に発揮することができないということです。

あと,GPSは実装して欲しかった。どうしても実装して欲しかった。そうすればランニングのときだけでも,Apple Watchをつけて走りたいと思いました。

もちろん,Apple Watchはつけてみなければわからない良さがあるのかもしれませんが,老眼の僕にとって,あのチマチマした液晶で何かをやろうという気がありません。

その点,シチズンのプロマスターは上記の基準を満たしており,しかもチタン製です。この軽さになれると,重いステンレス製にもどることができません。

なので,Apple Watchに,GPSが実装され,駆動時間も3日ぐらいになったら買おうかなと思います。今思えば,iPhoneも初代と比べるとかなり進歩しましたし,実現可能な技術だと思います。

僕はアップルの新製品がリリースされるたびに,飛びついていましたが,今回ばかりは今ひとつでした。次のバージョンに期待します!

2015-05-25

「ライフハックで雑用上等」のブックレビューが実験医学に掲載

「ライフハックで雑用上等」のブックレビューが実験医学(vol.33 No9)6月号に掲載されました。

うれしいことに,僕が敬愛してやまない A. Hill 教授(Pond Univ.)が寄稿された書評であります。ものすごく忙しい先生なので,本当に恐縮しております。

A. Hill 教授については謎に包まれている部分も多いのですが,オートファジーの世界的権威者であり,マラソン好きで,アヒル年生まれ,ということがわかっております。

A. Hill 先生による "ロジ裏" 的な書評はウイットに富んでおり,「何でもかんでもいいから A. Hill 先生の書いたものが読みたい」という気持ちになってしまいます。さいわいにも,先生の文章はこちらに収蔵されております。A. Hill 先生に興味をもたれた皆様は,是非とも訪れてくださいませ。

書評には「格闘技系教授の生活と意見」を執筆してほしい,との要望もございました。また,「著者が,全然研究者にみえないところもいい」と,お褒めの言葉をいただきました。

「ライフハックで雑用上等」を執筆したことで,A. Hill 先生からとても楽しい書評をいただくことができました。A. Hill 先生に深く感謝いたします。また,このような執筆の機会を与えて頂きました羊土社の皆様に感謝いたします。

先生の書評にも触れられておりますが,僕は Carpe Diem というところで,ブラジリアン柔術の稽古に励んでおります。道場主の石川先生に紫帯を頂きました。道場は様々な職業のかたが寸暇を惜しんで稽古にきております。
本書の,鮮やかでひと目を引くカバーデザインは,Carpe Diemで一緒に練習している戸倉さん「トサカデザイン」にお願いしました。また僕のプロフィール写真は,写真家の石毛さん(RINTARO ISHIGE OFFICIAL WEBSITE)に撮ってもらいました。ふだんはモデルさんとか美的な被写体なのに,無精髭をはやしたオヤジですみません。。。

戸倉さん,石毛さん,ともに柔術の紫帯。次は誰が一番はじめに茶帯をとるのか楽しみです。

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常々,「僕はほんとうに一冊の本を書き上げることができるのだろうか?」という素朴な疑問がありました。そして,羊土社さんのお世話になり 2冊の本を上梓することができました。

そして僕は本格的に研究の領域に戻っています。本書を通して,自分の立ち位置を再確認することができました。

ラボの規模は小さいのですが研究者としてどこまでいけるのか,ライフハックを活かして実験とラボのマネジメントを両立していきたいと思います。

A. Hill 先生,書評,ほんとうにありがとうございました。

Photo by Rintaro Ishige

2015-05-09

FieldAccess2 の使用環境を aLOKSAK で完璧なものにする

山行には,iPhoneアプリである FieldAccess2 を愛用しています。

FieldAccess2 の画面。山行で利用する紙ベースの25000分の1地形図(国土地理院発行)をデジタル化したもので,日本地図センターが販売しています。紙ベース地図をもっていくことは必須ですが,稜線で風に吹かれた場合にはこっちのほうが便利です。
高校1年のとき,冬の安達太良山で遭難しかけたことがあります。広い稜線でホワイトアウトになりました。なんとか助かりましたが,心臓が締め付けられる恐怖感を味わいました。

iPhoneをもっているのなら,FieldAccess2 の利用をオススメします(ガーミンがあれば最高ですが)。

iPhone が圏外になっていてもGPSは絶えず動作しています。FieldAccess2 にあらかじめ地図をダウンロードしておくことで,圏外でも GPS と連動したマップ表示が可能となります。

人間はパニックになると,ついつい自分の都合の良い方向に歩いてしまいます。ホワイトアウトになっても自分の位置さえきちんと把握していればパニックになることはありません。山行を重ねていればホワイトアウトには確実に遭遇します。

何も見えないので,地図とコンパスだけで切り抜けるのは難しいです。また,吹雪のなかでは地図を広げることもできません。GPSがあれば遭難する割合は確実に減ります。

まあしかし,前回の磐梯山では雨にやられ, iPhone 画面に雨粒が落ちてきて,サッと見てサッとしまうというような貧弱な環境でした。そこで防水ケースを探していたのですが,山のお店で aLOKSAK という防水ケースを発見しました。正確に言うと防水完全対応のジップロックみたいな製品です。なのでポケットに入れてもかさばらないし,また,タッチパネル操作が可能なので雨風を完全にシャットアウトした状態で FieldAccess2 にアクセスすることが可能です。

体調が悪いときに登って雨に降られ激しくやられました。僕以外に誰も登っていませんでした

今回の山行は天候に恵まれていたので悪天候でのテストはできませんでしたが,タッチパネルの認識も大丈夫でした。

ジップロックに近いつくりです。まあでも,ポケットにも入れやすいです

とにかくも,山においては,身体も機器類もドライに保つことが大切ですね。