2016-09-21

飯豊連峰を縦走してみた(弥平四郎から大石ダムまで)

日本アルプスの縦走から自宅へと戻り,達成感とともにテントやシュラフをベランダに干しました。今回の縦走はあまりにも完璧だったので,明日からはじまる飯豊連峰の縦走に迷いがでました。

わさび平にて
エスケープルートがほとんどない飯豊連峰に登るのが少し億劫になったというのが,正直な気持ちでした。まあしかし,レトルト食品や燃料も含めてすべて揃っていたので重い腰をあげ,奥穂高の翌日には東北行きの新幹線に乗りこみました。



飯豊連峰の主脈を縦走してみました。福島県側の弥平四郎から北上し新潟県側の大石ダムに下山しました。
1. 野沢駅にて

車窓からみえた磐梯山
実家に一泊して,福島県にある野沢駅で下車しました。

JR野沢駅

今回はデマンドバスの「こゆりちゃん号」という乗り合いバスを予約してあります。

こゆりちゃん号
僕以外に乗客はいなかったので,登山口に近い弥平四郎まで45分ぐらいで到着しました。ちなみに料金は500円でタクシー移動だと10000円はかかると思います。こゆりちゃん号は廃校になった小学校前に停車しました。

弥平四郎の廃校。
ここから1時間ほど歩いて登山口へ向かうのですが,途中,百名山の完全登頂を目指している S さんの車に拾って頂き,時間の短縮となりました。Sさん,ありがとうございます☆
さて,いよいよ飯豊連峰のふもとにたどり着きました。主峰である飯豊本山に至るルートはいくつかあるのですが,僕は新長坂を選びました。高校時代に下山に利用したルートです。飯豊山はどのルートもそうなのですが,稜線上にたどり着くまでが長いです。あまり見通しのよくない樹木帯を移動するのですが,湿度が高く喉がすぐに乾きます。それと,人間よりもこの山域のフォースのほうが圧倒的に強く,しかも歓迎されてない感じです。。。すれ違う登山客もほとんどなく,あまり考え事をしないよう集中して稜線を目指しました。疣岩山の分岐へと合流する稜線上にやっとたどり着きました。

疣岩山に至る稜線にて
ここまでくると濃い樹木帯のフォースも弱くなります。ここから三国小屋を目指します。小屋についたときにまだ時間があったので,切合避難小屋のテント場を目指しました。
夕方頃,切合小屋に到着しました。ここにテントを張って飯豊本山や飯豊連峰の最高峰である大日岳に向かう方が結構いるのでテント場は賑やかでした。小屋裏のテント場は一杯だったので,すこし離れたところにNEMO Tani を設営。夕日を独り占めできる最高のロケーションでした。それにキンキンに冷えたビールが最高でした。

キンキンに冷えたビールで乾杯
切合小屋のテント場でNEMOを設営
晩御飯です
もうすぐ日が落ちます。最高のロケーションでテント泊

2. 飯豊本山,御西岳,烏帽子岳,北股岳を経由して門内小屋へ

翌日は曇り空で,僕のテンションも下がり気味でした。それでも雨は降っていないので,切合小屋を午前6時頃,出発しました。少し歩くと唯一のクサリ場である御秘所に到着です。

鎖場がある御秘所
ここを越えると飯豊連峰の主脈が姿をあらわします。しかし,飯豊山避難小屋についたときにはガスがかかって何も見えませんでした。

飯豊山避難小屋
飯豊本山も濃い霧のなかで広がっているであろう周りの風景も視界ゼロでした。これに続く御西岳もガスに包まれていました。

霧に包まれた御西小屋
なので,最高峰である大日岳へのピストンは諦めました。。。そこで,北股岳方面に向けて歩き出しました。GPXファイルをみると,12:22 に北股岳を通過して13:22には門内小屋のテント場についています。「山と高原地図」のタイムコースは,すごくゆとりがあるように思えました。

霧の合間に雪渓が見えてきました
相変わらずの天気で何も見えないので,門内小屋のテント場でカップヌードルを食べたあと昼寝をしました。夕方になってやけに周りが騒々しいので起きてみると,完全に澄み渡った世界がそこにありました。テントからガバッと起きて,夕焼けに映える山々を飽きることなく見続けました。日本海側に沈む太陽は圧巻でした。

門内小屋からの絶景
日本海側に沈む太陽
夕日に照らされた稜線
太陽が沈みかけるとあたりはひんやりとしてきた

3. 朳差岳を越えて大石ダムへ

翌日も快晴。この天気なら梶川尾根を下って飯豊山荘でのんびりできるだろうと思いながら下山開始。ほどなくして梶川尾根に下る分岐に到着しました。空は晴れ渡り,鉾立峰,杁差岳へと続く稜線が目の前に広がっています。

「これは行けるんじゃないか?」という衝動に駆られました。

同時に,Curiosity killed the cat... という諺も思い浮かびました。天候が悪化するのは午後だから,急げば大石ダムまでたどり着けるのでは?と思えてきました。大石ダムに至る林道のマップはGPSアプリにダウンロードされており,道に迷うことはないと確信しました。

頼母木小屋が見えます。杁差岳に続くたおやかな稜線
門内小屋から頼母木小屋までは1時間20分で到達したので,このタイムなら午前中に下山できると思いました。それにしても頼母木小屋は素晴らしいロケーションにあり,稜線上にぽつんと立つ姿は可愛らしくもあります。次回はこの小屋の前にテント泊したいと強く思いました。

健気な頼母木小屋
頼母木小屋の水場

頼母木小屋から鉾立峰に至る登りはかなり急でしたが,お花畑が全開で,まさに桃源郷です。百名山として飯豊本山方面は人気がありますが,主脈を縦走する登山客はあまりいないようです。門内岳から大石ダムへ至る稜線上ですれ違ったのはたったの4名でした。なので,静かな山々をじっくりと縦走してみたいという方には,杁差岳方面はオススメです。

鉾立峰に至る稜線。どこまでも歩きたくなる世界

杁差岳を過ぎると,寂しくなるぐらい,どんどん降下していきます。

カモス峰(847 m)まで下るとまた湿気が襲ってきます

大内淵。水がすごく綺麗です。
此処から先は人間と猿の世界。
林道終点についたのは11:40でした。このあたりで天気予報どおりに大雨が降ってきました。そして,林道の終わりから大石ダムの駐車場まで,1時間半ぐらいかかりました。この間,ずっと目に突入してくる小さな虫にイライラしながら,また,登山靴はぐしょ濡れで不快感マックスでした。。。

大石ダムの管理所
大石ダムの駐車場について,山ではまったく役に立たないソフト◯ンクがギリギリ繋がって,どうにかタクシーを手配することができました。荒川タクシーさんにJR越後下関駅までと伝えると「日帰り温泉がありますよ」と教えていただき,速攻で「お願いします!」と返事をしました。濡れた登山靴はザックのなかにしまいこんで,サンダルに履き替えて,温泉でサッパリして,同じ運転手さんを指名して駅に向かいました。

JR越後下関駅
4. 後記

今回,久々に飯豊連峰を訪れました。僕の高校時代はトイレ設備も不十分で,また,入山者も極端に少ない山塊でした。当時はキスリングで登り,6テンとよばれるキャンバス地のテントでした。22キロを超えていて4泊5日の山行でした。。。当時は足元の風景しか見えていませんでしたが,今回は「ああああ,こんなにも綺麗な稜線だったのか!」と感動しきりでした。
今回は2泊3日で縦走しました。荷物の重さはテント有りで12キロです。当時は肩に食い込むキスリングの重さに辟易していましたが装備の進化に感謝です。

来年夏は,是非,頼母木小屋でテント泊したいです。