3月までラボに在籍していた久留島君(現 群馬大学医学部)の研究内容が,本日,PLoS ONEにアクセプトとなりました。昨年の11月から続いていた論文の固め打ち作業に,やっと決着がつきました。
今思えば,昨年の11月から3報の論文を,彼は仕上げたことになります。半年弱でファーストオーサーを3報まとめた経験は僕にはありませんし,彼の力量はすごかったのです。論文には旬な時期が必ずありますし,手元にあるデータで勝負しなければならない時もあります。そういったときに,固め打ちできる体力は必要です。枝葉の実験に時間をかけるより,論文推敲に時間をかけるよりも,速さが勝負です。
結局,彼は博士課程で4報の論文(ファーストオーサー)を仕上げたことになります。最初はPLoS Pathogensへ投稿しましたが,あっさりリジェクトでした。そこで審査期間が比較的短いPLoS ONEに,再挑戦しました。レフリーはよく見ていて,2人とも同じポイントを突いてきました。裏を返せば,そこを集中的に突き返せば,通るのではないかという自信もありました。桑江君とも相談して「虎の子」であった解析データをつけて,レフリーのコメントに応じました。再投稿後,エディターからの返事が,なかなか返ってきませんでした。虎の子であった「全菌体タンパク質の網羅的解析」は140万円かかっています。データだけ,いいように盗られたかなと悲観的になってきた矢先に,アクセプトの知らせが届きました。
PLoS ONEのrevisionは基本的に1回で,レフリーのコメントを総合的にエディターが判断し,ジャッジを下す方式だと思います(たぶん)。PLoS ONEのpeer reviewシステムは,他の方から聞いても,今のところ正常に働いているような感じがします。
数年前の話です> ジャーバクとか3回もリバイズくらって,おまけに審査途中で「おまえのやっている仕事は面白そうだから,共同研究しないか」と構造解析のオバちゃんから(結構,大御所)連絡がはいったり,もちろん断ると,審査段階でレフリーが変わったりと,しんどい経験をしました。なんとかアクセプトされたのですが,審査期間が異常に長い「ジャーバク」と「MM」は,2度と出さないと誓いました。あと,僕の領域ではCMとかに投稿すると「回さないでほしいレビューワー」にレビューが回ったりしますから,油断ならないです。CMには別件の論文で,JEMで行った研究内容についてイントロに書いたところ,JEMでの追加実験の指示があったりと,どうも性格の悪い野郎がいるようです。異なった研究内容の論文にも関わらず,我々の出した過去のデータに難癖つけてくる時点で,ここのpeer reviewシステムは終わったなと思いました。だから,こんなアフォー(候補)を「回さないでほしいレビューワー」につけるのだけれど,CMはそっちに回すからタチが悪いです。
「完全に,peer reviewという名の報復システムですね(笑)」
多くの雑誌のpeer reviewシステムは,当たり前のように崩壊していますから,なおせと言われたところをきちんと直して,アクセプトされる雑誌はありがたいと思いました。サイエンスの領域は競争が激しいので,いろんな大人の汚い世界が見えてしまいますが,とにかくサクサクだせるような雑誌にだして,まとまった時に,ガツンとIFの高い論文を狙っていければと,思います。
久留島君,3連弾,ご苦労様でした!