2010-06-13

Talking Bacteriology

先週木曜日の大学院生講義「分子細菌学」は、阪大微研の堀口安彦先生をお招きしての公開講座でありました。堀口先生には、遠隔授業(相模原-白金)のセットアップ等でご迷惑をおかけ致しましたが何とか無事に終わりほっとしております。本来ならば細菌毒素に関する講義なので、細菌学者の端くれとして自分自身で講義の準備をすべきですが、堀口先生は細菌学を掘り下げて語れる数少ない先生のお一人でありますので、そして、堀口流プレゼンを間近で感じたいという思惑もありました。ぽんぽん学生に質問を投げかけていくテンポは、バリバリの大阪の血が流れていると思いました。学生さんもどんな質問が来るのかちょっとドキドキで寝落ちしているヒマもなかったと思います。私のほうも講義のテンポ、アニメーションの使用法、学生を引きつける話術に飲み込まれてしまいました。


講義終了後は、堀口先生、ストックホルム大学から帰国した桑江講師との3人で田町まで飲みに出かけました。この3人で出かけるのは久々であります。田町の「湯浅」で乾杯しました。実は堀口先生は旧北里研究所時代の先輩であります。私は当時、20代後半で高等真核生物の転写制御の研究で挫折し細菌学に鞍替えしたばかりでした。学会も分子生物学会から細菌学会に鞍替しましたが、当時の細菌学会はとても封建的で閉鎖的でした(だから理事になって、このへんを改革しているのですが)。話を戻しますと、当時、身近なところに喜々として細菌学をやっている堀口先輩がいて、この人について行こう!と思ったのでした。しかし堀口先生はそれからすぐに阪大微研に赴任され、先生と同じ時代を過ごしたのは2ヶ月ばかりでした。堀口先生と同じ領域で何とか研究者と生き残っているのは、不思議な感じがします。研究で挫折し、細菌学にこわごわと足を踏み入れ、そんな時に堀口先生の明るさと前に向かって進んで行く力は、当時の私にとって大きな支えとなりました。身近なメンターは誰にでも必要だと思います。長々となりましたが、これが私と堀口先生のファーストコンタクトであります。


堀口先生、ありがとうございました!