一週間の会期で開催されていたIUMS 2011が無事に終わりました(ウイルス部門はこれからです)。今回は細菌学会総会も同時進行で,総会長の中根先生が気苦労された部分が多かったと思いますが,大きなトラブルもなく盛会でありました。
IUMS 2011のプログラム企画に参加して,多くの先生方と知り合いになれたことは大きな収穫でした。その反面,国際プログラム委員の意向が強すぎて,コンビーナの先生方に不快な思いをさせてしまったことも事実であります。私自身,何の前触れもなく,コンビーナから外されました。まあしかし,私も外されたおかげ?で,「実は私も戦力外通告を受けたのですよ」と,他の先生に弁明ができたので,これもプラスに働きました。プログラムのやりとりでは散々な思いをしましたが,大震災・原発問題にも関わらず,多くのスピーカーが海外から参加してくれたことで,それなりの成果を残せたと思っております。
また,カロリンスカ研究所で活躍している,アグニータと再開できたことも嬉しかったですね。彼女は留学時代の私の友人で,大きなグラントを獲得し,ますます波に乗っているようです。彼女と僕は同じ年齢ですが,スケールが違うなと思いました。何が違うのかというと,まず,垣根がないことでしょうか。自分が知りたいこと,やりたいことに貪欲で,その分野で専門外であると思ったら専門のスタッフを雇って,自分でイニシアティブを取っていく姿勢がすごいなと思いました。今の学生・ポスドクは「将来,自分をどうやって売り込むのか,そのブランディングができていない」と熱く語っておりました。私も「あ,すみません」みたいな感じになって行きました。。。彼女には,「自分の専門領域ではないから」と躊躇してしまう部分が,ありません。彼女は,細菌の病原因子がカルシウムシグナリングに影響を与えるという研究から発展し,「病原細菌が自分のバックグランド」であるとしながらも,今はニューロサイエンスの研究,新規ポリマー素材を用いての人工神経系の構築にも関与しています。限られた時間しかないから,好きな事をやる。彼女の言葉は印象的でした。きちんとやろうとするから,小さなことしかできない。今の自分にはこういった部分があるのかなと思いました。
国際学会の良さはプログラムもさることながら,一流の研究者がどう考えているのか,教えてもらうことができる点です。アグニータがブランディングについて彼女なりの視点で語ってくれましたが,これはグランドホテルの近くにあった居酒屋でした。いろいろなものを注文して,そのなかでも彼女はカニクリームコロッケがひどく気に入ったようです。僕はこれを覚えておきましょう。