2009-05-06

動的平衡とめまい

今年の連休は自宅で静養した。
ゆっくり考え,ゆっくり体を使った。

自宅にこもる前に田町の「あゆみブックス」で本を四冊ほど購入した。私のお気に入りの本屋の一つであり,本のレイアウトがなんとなくしっくり来て,店舗もほどよい大きさで,スタッフの思い入れが伝わってくる。本の脇にはスタッフの書評もあって,これが楽しい。この書店で週刊ベストセラーに入っていたのが,福岡伸一さんの「動的平衡」という本。色々と突っ込みたい部分はあるが,福岡さんの生物に対する独自の視点は新鮮だ。彼の視点は以下の文章に要約されると思う。

世界のあらゆる場所に,容易には見えないプロセスがあり,そこではグジャグジャの,つまり一見,混沌に見えて,その実,複雑な動的平衡が成り立つリアリティーが生じているはずなのだ。私たちはいま一度,それらを直視するための勇気と,それを定量しうるだけの思考の解像力を求めなければならない。
「動的平衡」抜粋 福岡伸一

例えば「消化」についても,他者の情報を解体し,自己の情報としてインプットするためのプロセスとして捉えている点。生物事象を著者の視点で消化し,自分の言葉で発信しているスタンスは,共感できる。すぐに読めてしまう本なので学生の皆さんも如何でしょうか。

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その他,購入した本は,鎌田浩穀さんの「一生モノの勉強法」。こういった本も私は好きなほうで,ついつい買ってしまう。この手の本は短時間で読んで,また目次に戻って,気になったところをチェックして,1割残れば良いという感じで読んでいる。他人の思考法は自分にはあてはまらない部分もあるので,このような本は多読,速読で情報量を多くしていくという戦略。ま,当たり前か。

あと雑誌ブルータス「居住空間学2009」を購入。小さくても住み心地の良い家がたくさん。やはり自然に近い環境で住みたいなあと思ってしまう。

最後に,青木真也の総合格闘技入門。海外ではブラジリアン柔術系の格闘家が良書を出しているが,日本でも徐々にこの手の解説書が出てきた。関節技,ポジショニングのコツについても丁寧に解説。例えば腕十字の時に相手がクラッチしたときの切り方とか,ギロチンチョークのグリップとか,基礎から学べる一冊である。

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連休中はずっと自宅にこもっていた。

今回は,めまいというわかりやすい兆候があって良かったと思う。めまいなんかと馬鹿にしていたが,結構,めまいもしんどいなと思った。めまいになったら自分の意志ではすぐに治せないし,耳鳴りにしても一端アブラゼミが鳴り出したら止まらない。原因はおそらくストレスであろうと予想はできるが,原因を知ったところで根本の解決にはならない。具体的な改善策を,体から激しく求められてきた。それが今回のめまいであろう。

ストレスは留学時代から引きずっていたのかも知れない。それまでは頭痛を経験したことはなかった。だから他人から,「今日は頭痛がする」ということを聞いても,ピンと来なかった。留学時代に初めて頭痛を経験して,タイレノールが常備薬となった。1999年にカナダから帰国してちょうど10年。ストレスを解消するために総合格闘技のジムにも通っているが,今回,まさかのめまい。

結局,精神的なリラックスができていないことを突きつけられたかたちとなった。

今回は対処療法ではなく,真っ向から挑まなければならないと実感した。熟知しているはずの自分の体が,実は一番,知らない,いや,知りたくはなかったのかもしれない。
今後,どう付き合っていくのか,これからの課題。