2014-09-30

第13回あわじしま感染症・免疫フォーラム in 奈良

久々の出張でした。

京都府立大学大学院で講義をおこないました。食環境安全性学ということで,どのように細菌学の講義を並べていいのか戸惑いましたが,オートファジーと殺菌排除にフォーカスをあてて,新たな自然免疫のシステムについて説明するとともに,実はこのオートファジーは,長寿とかガンの進展とかにも関係しているのです。なので,このへんの領域は機能性食品などにも応用可能かもよ,という話で何とか折り合いをつけました。。。学生さん,寝ないで聞いていてくれたので,ホッとしました。

講義の後は,THE SODOH HIGASHIYAMA KYOTO に移動しました。古民家を改築としたレストランでフレンチ料理を楽しみました。岡先生,南山先生,ありがとうございました。

THE SODOH HIGASHIYAMA KYOTO
レストランをあとにして近鉄で奈良へ移動。

夜の11時頃,ありきたりのビジネスホテルにチェックインし,翌日,ありきたりの朝食をホテルですませてから,奈良県新公会堂へ向かいました。

この新公会堂で,第13回あわじしま感染症・免疫フォーラムが開催されるのです。今回は,はじめて淡路島を離れての開催でした。東大寺や春日大社の近くにあり,昼食後に散歩するのには,最適なロケーションでした。

奈良県新公会堂

プレゼンテーションは能楽堂でおこなう趣向です。演者は,外国人のスピーカーを含めて,靴を脱いでの登壇となります。新鮮でした。


修学旅行のときに拝観した東大寺も,まったく記憶になくて,唯一,柱の穴をくぐっている子どもたちを見て,もしかすると来たかもしれないと思いまいした。

東大寺
この学会では,僕の恩師であるフィンレイ先生に久々に再会しました。1995年から1999年の4年間,彼のラボに留学し僕の進むべき道が決まりました。非常にバイタリティーあふれる先生で,いまでもそれを強く感じることができました。

もし,ラボをもつのなら,彼のように明るく前向きな姿勢で,運営していこうと思いました。約20年ぶりに日本で再会できたことに感謝です。

恩師との再会
 奈良といえば鹿ですね。こんなに鹿がいたのかと感動しました。まだ子鹿でしょうか。鹿せんべいをもっていないときは,非常に可愛いです。

奈良といえば鹿です
話を元に戻すと,このフォーラムは,細菌,ウイルス,寄生虫などの病原体が起こす感染現象について徹底的に議論するとともに,それを宿主側の免疫応答も含めて話し合おうではないか,というスタンスのもとで開催されております。

本学会は,大阪大学微生物病研究所と東京大学医科学研究所が主導的に動いてきましたが,これからは,京都大学ウイルス研究所,長崎大学熱帯医学研究所,北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター,大阪大学免疫学フロンティア研究センター,感染症国際研究センターなども参画して,さらにフォーラムを活性化させるそうです。楽しみですね。

病原体の感染現象,それを排除しようとする宿主側の機構,,,これらを1つのフォーラムで俯瞰するような学会はありません。とてもアグレッシブなフォーラムです。

その一方で,他領域の先生方が話されるプレゼンに,ついていけない部分がありました。多くの先生方は,自分たちが所属する学会でおこなうプレゼンと同じかたちで発表していたと思います。もう少しイントロに時間をかけて,研究のフォーカスとなる部分について,じっくりと説明してほしかった。たくさんのスライドを,これでもかと飛ばすことが,プレゼンではないはずです。

「大切なのは知識の深さによって相手を感心させることではなく,これから先もずっと役に立つような何かを伝えることなのだ」  ガー・レイノルズ

あわじフォーラムはこれからも発展していくと思いますが,各領域がさらに密接に連携するためには,オーガナイザーのほうできちんとした共通言語のフォーマットが必要かと思いました(これについてはフォーラムのアンケートにもお願いしてあります)。


たくさんの刺激を頂いたあとは,近鉄奈良から京都へ向かいました。品川駅から山手線に乗り換え,田町駅で下車しました。陸橋から見える車の流れを眺めて,ようやくホームタウンに着いた安堵感を味わいました。

今回のフォーラムでは,フィンレイ先生のほかに,オーストラリアから来たベンさん,エリザベス(EPEC研究をしている)にも久々の再会でした。インターネットが発達しても,人とあうことが重要だったりしますね。

多くの出会いに感謝。